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製品開発の舞台裏に迫る!ネスレ ヘルスサイエンス初の介護食「アイソカル 高カロリーのやわらかいごはん」開発者達の熱い想いと苦労

著者: ネスレ日本株式会社

2023年8月8日、食品飲料業界のリーディングカンパニーである「ネスレ」の中で、ヘルスケア領域に強みを持ち、栄養補助食品や流動食等を多くの医療機関や介護施設等に展開する「ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー」(以下「ネスレ ヘルスサイエンス」)は、少量高カロリーのおかゆ「アイソカル 高カロリーのやわらかいごはん」を発売しました。


高齢者が抱える食事課題である、「少量しか食べられない」、「栄養が不足しがち」、「硬いものが噛めない」などに着目した、カロリーとたんぱく質の補給を主軸にした製品開発には、約2年もの歳月を要しました。


ネスレ ヘルスサイエンス初の介護食がどのようにして誕生したのか、製品開発担当者 山本 達郎さんと、マーケティング担当者 葛井 綾さんに聞いてみました。



まず、今回のプロジェクトは、「在宅高齢者」に向けての製品開発です。

ネスレ ヘルスサイエンスは、BtoBビジネスに強みをもつ会社と聞くことが多いのですが、なぜ今回はBtoCの「在宅高齢者」なのですか。


マーケティング担当 葛井 綾さん(以下、葛井):

超高齢社会となった日本では、高齢者人口、在宅介護が増加の一途をたどっており、高齢者の食事の質や、良好な栄養状態を保つことへの重要性はますます高まっています。一方で、加齢によって食事意欲や食事量自体が少なく、本来あるべき適切な食事量から必要な栄養をとることが困難になりがちです。

特に、病院や介護施設など食事や栄養がきちんと管理される環境から離れ、家で過ごす「在宅高齢者」が、知らず知らずのうちに栄養不足を引き起こしていたり※、食事で困っても相談相手がおらず、偏った食生活を続けてしまうケースは少なくありません。「在宅高齢者の約7割に栄養不足(低栄養)の可能性がある※」との報告もあることから、深刻な社会課題の一つとしてとらえ、食品を扱う会社として、『食と栄養』の観点から、製品開発担当(山本)と何かできることはないかと考えました。


※国立研究開発法人 国立長寿研究医療センターによる「在宅療養患者の摂食状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書(平成24年)」


前例の無いものを開発したい!

知られざる高齢者の苦悩を聞き、「自分なら何か出来る」と、

ネスレでは、ゼロからの挑戦にかけてみた


製品開発担当 山本達郎さんは、社内外の各所と連携し、製品レシピの配合、製造工程の管理や資材調整に至るまで一連の業務を担当しています。山本さんは2015年に入社し、これまで数々の製品開発に携わってきましたが、高齢者向けの主食製品の開発は初めての経験でした。


ネスレでは、常識にとらわれず新しいアイディアや技術を取り入れるという企業カルチャーが根付いており、山本さんも「前例のない製品を開発することは容易ではないけれど、食と栄養の観点から高齢者をサポートすることができる!」という強い情熱と決意を持って取り組んできました。

左:ネスレ日本株式会社 霞ケ浦工場

中央:「アイソカル 高カロリーのやわらかいごはん

右:製品開発担当 山本達郎さん



一般的には、主食に分類されるごはん製品(おかゆ)に着眼したのはなぜですか。


製品開発担当 山本達郎さん(以下、山本):

食事や栄養不足に悩む在宅高齢者が、1日3食の食事から自然な形で栄養をとれて、健康な毎日を過ごしていてほしい、とマーケティング担当(葛井)と考えが一致しました。日本の食文化に根付いており、献立の代表格である主食をきちんと食べられることは、食の楽しみや健康面の自信につながります。一般的におかゆは、「低カロリーかつ水分でかさの増した、さらりと食べる」イメージが定着していますが、それとは真逆の、「高カロリーで少量、しっかり食べきる」のコンセプトを以って、高齢者の食事をサポートすることは、開発者として非常に高揚するものでした。



逆転の発想から生まれた画期的な製品ですね。


山本:

はい。私たちは、この製品を通じて、在宅高齢者の食生活に必要な栄養を届けたいと思っています。改めて、普段の食事を追究し、栄養面にも配慮した製品を開発し続けることで、食事の質を向上させることができると信じています。



開発のカギである「高カロリー」をどう実現するか

試行錯誤の末にたどり着いたアイディアは油分と米粉。

食品ロス削減にも!


そもそも、「おかゆ」の主な材料はお米と水分。シンプルな材料で、どうやってカロリーを上げたのですか。


山本:

今まで携わってきた栄養補助食品の開発経験を活かして、少量高カロリーの製品を創ること自体には自信がありました。一方で、農作物であるお米を主原料とする製品を扱うのは初めてだったので、これは難しい挑戦になるとも感じていました。いろいろな原料や栄養素がある中で、着目したのは、「油」。家でおかゆを作ったりご飯を炊いたりする時、油を入れることはまずないと思うので、意外に思う方も多いと思います。水と油という、相反するものを、分離することなく混ぜ合わせることができるのか、不安に思いつつ試作を開始したところ、やはり予感は的中。単に油を入れるだけだと、おかゆに油が浮かんでしまって、製品にはとてもできないモノでした。

しかしながら、幾度となくトライアンドエラーを繰り返し、研鑽を重ねた結果、油を分離させず且つ油っぽさも感じにくいおかゆに仕上げることに成功しました。国産精米にこだわり、味と品質の両方の側面から製品の魅力を最大限引き出した、メイドインジャパンの魅力がしっかり詰まった製品です。



社内外のプロフェッショナルとの連携

夫々の思いが結集した、唯一無二のヒット製品


開発者である山本さんは、中身を作るプロフェッショナルではあるものの、製品パッケージや食品表示などについては、社内外の協力がなければ、実現出来なかったと言います。



山本:

今回の製品は、社内で経験やノウハウがほとんどないレトルトタイプの主食製品だったため、レシピの開発と並行して、製造工場の調整や管理、パッケージの材質選定など製品周りの進行も一筋縄ではいきませんでした。

製品を入れるパッケージは、包材のプロであるパッケージング部。商品説明のチェックは法律関連に長けた食品法規部。賞味期限の算定や品質面のチェックは、品質保証部のメンバーが尽力してくれました。これらはほんの一例で、製造協力工場の担当者の方はもちろん、数えきれない各部門の方が支えてくれたからこそ、ゼロから製品を作り上げることができました。




発売後の反響はいかがでしたか。


山本:

発売後は、社内外各所から「こんな商品が欲しかった」「すごくインパクトのある商品」「ぜひ商品を紹介したい人がいる」などの感想が届き、まさに、一人の力ではなく、チームの力で作り上げたからこそのヒット製品なのだなと、実感しています。



一番大変だったことは何ですか?


山本:

「研究室で作り上げたレシピと同じ味が、工場で製造できるのだろうか」という点が、もっともドキドキが大きかったです。工場の担当者と、栄養に加え、納得のいく美味しさが出せるまで、何度も何度も調整と試作を重ね、製造工程を完成させました。初めて製造する前日は、緊張の最高潮で心配で眠れませんでした!






山本さんは、プロジェクトを知り、即「自分の手で作り上げたいと思い、フライングで研究に着手した」と聞きましたが、その熱意の背景にきっかけはありましたか?


大切な人が教えてくれた、

「口から食べることの喜び」、「最期まで、より良く生きる」こと


山本さんが、どうしてもこの製品に携わりたかった根底には、大切な人との想い出があると言います。


山本:

幼いころから病とそれを直す薬について考えることが身近にあり、大学では薬学を専攻しました。修士課程まで必死で学んだにもかかわらず、現在の技術では、治らない、治せない病があると気づきました。それが、学生当時にたどり着いた現実でした。また、大切な人に病が見つかるという、辛い経験もありました。病と闘う中で、最期の直前まで、口から食べられることを喜んでいた大切な人の姿が、今も印象に残っています。病や不調に抗えないことがある一方で、人は、最期を迎えるまで生き続けなければならない。ならば、『病気が治らない中でも、どうすればよりよく生きてもらえるかを食と栄養の観点からサポートしていきたい』という思いが芽生えたのです。



山本さんの製品開発は、単なるモノの開発を超えて、「生きることの本質」に強く結びつく取り組みと言えます。 ネスレ ヘルスサイエンスは、これからも山本さんのような情熱的な開発者達と共に、新たな製品やサービスを開発し、社会の課題解決を目指していきます。




  • あとがき


今回は、製品開発者の情熱と想いが聞けた貴重な物語でした。特に、山本さんは、普段はとても冷静で論理的な印象ですが、その内に秘めた想いは、製品開発への強い原動力となっていることがわかりました。サイエンティストとしての探求心と、食と栄養への情熱が組み合わさり、今回の新製品が誕生したと言っても過言ではありません。物語はまだ始まったばかり、これからの発展を乞うご期待ください!


左:生産本部 製造サービス部 栄養食品課 製品開発担当 山本達郎さん 

右:山本さんの上司 課長 森田浩史さん





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