世界で活躍するエグゼクティブたちから高い評価を受けている「T JAPAN」。情報を伝えるメディアではなく、「価値を伝えるメディア」としての在り方とは?
豊かな知性や洞察力を持ち、真に価値あるものを求める読者のための無料ラグジュアリーマガジン「T JAPAN」(集英社刊)は、米国ニューヨーク・タイムズ社が発行する「T:The New York Times Style Magazine(通称「T Magazine」)」の日本版です。ファッション、アート、建築、美容、食、旅など、すべての記事に独自のスタイルを持ち、グローバルな視点で世界と日本の今を伝えています。
世界的なラグジュアリー企業のトップが『「T JAPAN」でならぜひ』とインタビューに応じるなど、その質の高い誌面づくりで多方面から信頼を獲得してきた同誌。2015年の創刊以来、編集部が大切に守り続けているポリシーとは──。
(写真)「T JAPAN」編集長 八巻富美子
グローバルな視点を持ちながらローカルである
『「T JAPAN」の独自性は、大きくわけてふたつある』と編集長・八巻富美子は話します。ひとつめは「グローバルな視点を持ちながら、ローカルであること」です。米ニューヨーク・タイムズ社が発行する、全米で最も影響力のある雑誌のひとつ、「T Magazine」をベースとしているため、確固たるジャーナリズム精神とグローバルな視座を通して物事を深く捉える誌面作りを目指しています。
「T JAPAN」は上質なライフスタイルを楽しみ、豊かな知性を持つ大人、すなわち”知的富裕層”のためのラグジュアリーメディア。ハイブランドのファッションやハイジュエリーなどを洗練されたビジュアルで掲載しています。一方で、たとえばファッションデザイナーへのインタビューでは、クリエーションの根底にある思想や哲学に深く迫ります。
滅多にメディアに登場しないことで知られるプラダとミュウミュウのデザイナー、ミウッチャ・プラダ氏のインタビュー(2023年11月号)では、学生時代に労働者のデモやストライキに参加したり、マルクス主義に影響を受けていたことなどが語られました。また、バレンシアガのアーティスティック・ディレクターであるデムナ氏のインタビュー(2022年11月号)では、故郷グルジア(現ジョージア)の内戦により幼少期に体験した、壮絶な避難生活が語られたことも。
T JAPAN 2023年9月号/集英社 Photograph by Akinori Ito
T JAPAN 2023年11月号/集英社 Photograph by Collier Schorr
八巻富美子「T JAPAN」編集長(以下、八巻)「ファッションやアートの記事の中にも、人種や性的マイノリティの声や、女性のエンパワメントなど、社会的な問題意識が盛り込まれています。美しいものをただ紹介するのではなく、客観性と批評性を忘れず対象に踏み込むスタイルは「T Magazine」の記事の特徴。それは日本版においても、私たちが常に心がけていることでもあります」
一方で、全体の半分以上を占める日本オリジナルの記事では、あえて日本ローカルなモノや人物に焦点を当てます。たとえば著名な建築家が渋谷の遊歩道に畑を作る話や、東京・成城にある甘味処を40年間切り盛りしている店主の丁寧な手仕事の話など。
八巻 「ローカルを知ってこそ、真にグローバルな視座を持つことができると考えるからです。この振り幅の広さ、記事の多様さが「T JAPAN」の面白さであり、知的好奇心あふれる読者に支持される理由だと思っています」
フリーマガジンならではの「新たな知」との出合い
「T JAPAN」のもう一つの独自性は、「新たな知」との出合いの場であること。「T JAPAN」は、朝日新聞購読者のデータをもとに、経済的に余裕があり、ファッションやカルチャーへの感度が高い”知的富裕層”に、年4回ダイレクトにお届けするフリーマガジンです。ともすれば似たような情報ばかりの”フィルターバブル”に囚われがちなネット社会の中で、家に届く”リアル”な雑誌「T JAPAN」をふと開けば、「未知のものに触れる喜び」や「世界の解像度が上がる感動」を体験できます。
2023年9月号では、”AI時代の茶の湯の魅力”を紹介。最先端のテクノロジーを茶の湯を通して模索するソニーコンピューターサイエンス研究所の取り組みや、古民家に現代アートを飾り、日本やヨーロッパの経済人などを招いてお茶を振る舞う茶道宗徧(そうへん)流十一代家元の幽々斎山田宗徧(山田長光)氏など、茶の湯の新たな価値を創造し世に広める人々を取り上げました。
T JAPAN 2023年9月号/集英社 Photographs by Tamaeki Oshiro
八巻 「こんな世界があるのか、と視野が広がり、ビジネスの場でもちょっと話題にしたくなるようなトピックを選びます。難しいことでも初心者向けにかみ砕きすぎず、少しだけ専門的なところに踏み込むことで、読者の知的好奇心を刺激し、いい意味で「知った自分」に優越感を感じていただける。その”ちょうどいい塩梅“を心がけています。実際、読者からも『毎号、他では読めないような記事に出合える』『新たな発見がある』という声を多くいただきます」
ラグジュアリー企業のトップも信頼するクオリティ
「T JAPAN」ではこれまで、グッチやサンローランなどを擁するケリングのCEOフランソワ・アンリ・ピノー氏(2022年11月号)、ティファニーの社長兼CEOアンソニー・ルドリュ氏、ブシュロンCEOエレーヌ・プリ=デュケン氏(共に2023年11月号)など、世界的なラグジュアリー企業のトップのインタビューを掲載してきました。これは、「T JAPAN」のクオリティが認められ、信頼を醸成してきたからこそ実現できたこと。また、いわゆるモード誌とは一線を画す“読ませるラグジュアリーメディア”であること、もちろんビジネス誌や業界誌でもない、唯一無二のポジションを築いていることも、彼らがビジョンを語る場として「T JAPAN」を選ぶ理由です。
T JAPAN 2022年11月号/集英社 Photograph by Yasutomo Ebisu
八巻 「ラグジュアリー企業のトップが語る経営哲学や戦略は、その顧客でもある「T JAPAN」の読者にとっても大きな関心事です。たとえば、今の時代は当然、サステナビリティに対する取り組みが話題となります。カーボンニュートラルの実現目標といった大きな括りだけでなく、サプライチェーン全体における環境負荷の低減や、全世界に何万人もいる従業員の労働環境の改善とウェルネス、男女間の待遇格差の解消など、経営目線で語られる内容は、問題意識の高い「T JAPAN」読者の購買行動にそのまま影響しうると考えています。ハイブランドの素敵なバッグが、どういった哲学のもとで作られているのか。責任ある経営者の口から読者、すなわち顧客に直接伝えられるのは、「T JAPAN」ならではです」
また、2023年11月号では、ラルフ・ローレン氏が所有する米・ニューヨーク州モントークの別荘を日本のメディアとして初めて紹介。世界的デザイナーが家族だけで過ごすプライベートな空間を、八巻編集長自ら取材しました。
T JAPAN 2023年11月号/集英社 Photographs by Miguel Flores Vianna
八巻 「実は2018年に、米・ニューヨーク州ベッドフォードにあるローレン邸を取材したことがあるんです。ローレン氏が日本を大切なマーケットと捉えていることはもちろん、前回の記事のクオリティを評価してくださり、今回もモントークでの取材の許可をいただけたと思っています。フランク・ロイド・ライドの弟子であるアントニン&ノエミ・レーモンド夫妻が1940年に設計した木造のビーチハウスは、襖のような木製の引き戸など、至るところに和のテイストが感じられ、ぬくもりのある空間でした。ローレン氏が家族や親しい人と休暇を過ごす、心から安らげる家を撮影させてもらえたことは、「T JAPAN」への信頼があってこそだと思います」
「作り手」の思いと物語を伝える
幅広いテーマを扱う「T JAPAN」ですが、すべての記事に共通する編集ポリシーは、「人ありき」ということ。ファッションやジュエリーであろうと、建築やロボット、化粧品や和菓子であろうと、それを創り、生み出した人の話に耳を傾けると、そこには物語があり、なぜ生まれたのか、なぜ長く続いているのかという社会的な文脈が必ずあります。
八巻 「美術品のような時計やジュエリー、オートクチュールのドレス、寝たきりの人と社会をつなげるロボット、畑づくりから手掛けた料理。どれも、『こんなに素晴らしいものを作ったのはどんな人なんだろう』という視点で記事にしています。本当にいいものは、作り手の思いが込められているからこそ人の心を動かすと信じています。作り手の愛や信念、哲学、その思いと物語を伝えることが「T JAPAN」の一貫した編集ポリシーです」
「T JAPAN web」にはプリント版の記事をすべて転載し、年4回刊行のプリント版ではカバーしきれない幅広い情報を発信していますが、編集ポリシーは変わりません。ニュース性の高い情報をタイムリーに届けるだけでなく、人の思いを丁寧に汲み取る記事を、webでも発信しています。web版は、より若い世代のエグゼクティブ層にも広く読まれています。
少数精鋭の編集者に共通するDNA
「T JAPAN」の編集者は、八巻編集長を含めて4人。ファッション誌「non-no」、「MORE」、「BAILA」、「SPUR」などで編集長クラスを経験してきた少数精鋭のベテランです。そのため、それぞれに得意ジャンルがあり、そこに紐づく人脈も嗅覚もあります。そして根底には、集英社の女性誌で培ってきた「おもしろいことをわかりやすく伝える」DNAが。
八巻 「各ジャンルに精通した優秀なスタッフが提案してくれる企画を、”知的富裕層“の読者に届けるためにはどう料理すればいいのか。そこにアジャストできる編集者の経験値は大きな強みだと思います。ジャーナリズムの精神を持ちながらも、あくまでもスタイルマガジンである「T JAPAN」は、読んだ人を幸せにするメディアであるべきだと考えています。『美しい』『面白そう』というエンターテイメント性はとても大切で、その裏にさまざまなメッセージを込める。それは集英社の編集者だからできる表現手法であり、私たちが「T JAPAN」を制作する意義だと思っています」
膨大な情報が飛び交う現代において、誌面のビジュアルの美しさにふと手を止め、知的好奇心を掻き立てるテキストを通して自分の世界を広げることができる──。ほかでは得られない体験を提供する「T JAPAN」は、情報を伝えるメディアではなく、価値を伝えるメディアです。
八巻 「読者の方からは、「持っていることがかっこいい、読んでいることがかっこいい」と言っていただけたことも。くるりと丸めて持ち歩ける手軽さと、長く手元に置いてじっくり読みたくなるような特別感がある。本物の価値がわかる読者に向けて、これからも質の高い雑誌を作り続けていきます」
- 「T JAPAN」とは
豊かな知性と洞察力に裏付けられた記事内容で、全米で最も影響力のある雑誌のひとつとされているニューヨーク・タイムズ社発行の「T:The New York Times Style Magazine」(通称「T Magazine」) の日本版。株式会社集英社が発行するラグジュアリー・フリーマガジンとして、米国版から厳選した翻訳記事と、日本版独自の記事で構成。ファッション、アート、インタビュー、旅、食、美容など、すべての記事に独自のスタイルを持ち、グローバルな視点で世界と日本の今を伝えるインテレクチュアルなスタイルマガジンです。
媒体に関す詳細はこちら:https://adnavi.shueisha.co.jp/media/tjapan/
- 「T JAPAN」配布先・配布方法
ラグジュアリー・フリーマガジン(※注)として、国内最多の20万部、年4冊を刊行。株式会社集英社と株式会社朝日新聞社が持つ顧客ルートを駆使し、上質なライフスタイルを楽しみ、知的好奇心に富んだ、真に価値ある情報を求める読者にダイレクトにお届けしています。刊行は3月、6月、9月、11月。
※注)定期購読は集英社の公式通販サイト「HAPPY PLUS STORE」にて取り扱い。
- 「T JAPAN」Webサイト
「T JAPAN web」には、本誌のコンテンツとともに、WEBオリジナルの記事も掲載。年4回発行の本誌ではカバーしきれない情報をタイムリーに取り上げながら、独自取材にもとづく本誌と同等のクオリティの記事を配信しています。
- 「T JAPAN」編集長 八巻富美子(やまき ふみこ)
「non-no」編集部、「MORE」編集長、「UOMO」編集長を経て、2017年より「T JAPAN」編集部へ。2020年7月「T JAPAN」編集長に就任。 現在、第8編集部(「SPUR」、「MAQUIA」、「T JAPAN」)部長、 エディターズ・ラボ部長を兼任。趣味は能楽、歌舞伎、文楽、バレエなどの鑑賞。日本舞踊花柳流名取。3年前より観世流能楽の稽古中。
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