本格焼酎「CANBASY(カンバシ―)」。蔵人たちの創意工夫で生まれた華やかな香りをお届けする福徳長酒類の挑戦
オエノングループの福徳長酒類株式会社(代表取締役社長:清水春夫 本社:千葉県松戸市)は、“自然の恵みを活かし、バイオ技術をベースに、人々に食の楽しさと健やかなくらしを提供します。”というオエノングループの企業理念のもと、「博多の華 むぎ」を代表とする麦焼酎をはじめ、米焼酎やそば焼酎などの本格焼酎と、「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 純米吟醸」に代表される清酒を製造・販売する酒造メーカーです。
このストーリーでは、日本酒の吟醸酒のような華やかな香りのする本格焼酎の開発について紹介します。
オエノングループの焼酎開発。香りにこだわる新たな挑戦
2023年9月、同社は、本格焼酎「CANBASY(カンバシー)」を発売しました。同社が長年持ち続けてきた“焼酎の概念を覆すような、香りが特長のお酒を造りたい”という構想を形にした、吟醸酒のような華やかな香りが特長の米焼酎です。
低迷を続ける清酒市場のなかで吟醸酒など華やかな香りの商品の売上が伸長していることから、より香りの特長が分かりやすい商品があれば、焼酎ファンだけではなく清酒ファンにも興味を持っていただけると考えました。
また、昨今の特徴的な香りがする焼酎の流行は、華やかな香りが特長の焼酎開発に追い風となりました。同社では、以前より、香りの高さを特長とした焼酎原酒を製造していましたが、ほかの焼酎原酒にブレンドすることによる香りの補強や隠し味としての使用が中心で、香り高い焼酎をそのまま商品にすることはほとんどありませんでした。2011年には、清酒造り純米吟醸酒に使われる“吟醸酵母”を使用した本格米焼酎「博多の華 吟づくり」を発売した経緯があり、この商品の香り・味わいを改めて確認したうえで、さらに香り高い新たな商品の開発を目標に、2020年頃から、より香り高い焼酎の再開発をスタートしました。
手始めに“吟醸酒”というキーワードをもとに、純米吟醸酒造りで使用しているオリジナル酵母で試作したところ、手ごたえのある結果が得られました。
香りの探求のため試行錯誤。醪(もろみ)※1の発酵を徹底研究
そこからが茨の道で、何度も試作を繰り返し、試行錯誤を重ね目指す香りに近づけるため、麹(こうじ)や発酵温度等の焼酎と清酒の造り条件の違いが大きく、納得する出来にはなりませんでした。そこで、試作ロットごとの香りの傾向を分析し、発酵条件なども詳細に比較したところ、醪の温度が一般の焼酎造りより低いある条件下で、より目指す香りに近づいていることが判明しました。
そこで、清酒造りの経験がある蔵人の知見を活かし、清酒造りのような仕込み配合での設計や発酵経過の管理を取り入れたり、活性の高い吟醸酵母を使用し、香りの立ち上がりが良い状態の醪を造るなどの工夫を行いました。醪の発酵が旺盛になると醪の温度が上昇し、華やかな香りが造れなくなるため、通常の焼酎製造時の醪の温度より低めに徹底管理しました。さらに、醪の温度が、外気温からの影響を受けないようにするため、涼しい季節だけに仕込むことにしました。
本格焼酎「CANBASY(カンバシー)」のこだわりの製法。唯一無二の華やかな香りとスッキリした飲み口を実現
また、酒母(しゅぼ)※2の撹拌(かくはん)も、繊細な力加減が可能な人力で優しく丁寧に行いました。現在でも、人力での撹拌と同様な繊細な作業が行えるよう、製造技術を磨き、製法をブラッシュアップしているところです。
蒸留工程にも従来の焼酎造りとは異なる工夫を取り入れました。低温減圧蒸留は醪の蒸留温度が重要になります。蒸留後半は醪の温度が上昇し、オフフレーバーや雑味が生じやすくなるため、レギュラータイプの焼酎造りより、少し早めに蒸留工程を終了することとしました。また、通常、蒸留後の焼酎には余計な油分や雑味成分が残り、濾過を行うことで酸化作用による香りや味わいが劣化を防止します。雑味を濾過で取り除く必要があるのですが、同時に芳ばしい香りが取れてしまう懸念があることから、「CANBASY(カンバシー)」は雑味を取り除き、且つ香りを残すように、細心の注意を払い、濾過温度を0℃に設定し、氷点濾過製法を駆使しました。
そのような蔵人たちの創意工夫の結果、「CANBASY(カンバシー)」の発売後、お取引先様やお客様からは、“華やかな香りがよい”、“炭酸割りでさらに香りがたつ”、“スッキリした飲み口で飲みやすく食事と合わせやすい” 、“おしゃれで目を引くデザイン”などの感想をいただきました。
製造現場の担当者コメント
展示会などでお客様に味わいやデザインについて高い評価をいただき、商品に改めて自信を持ちました。さらなる品質向上、拡売に向けての励みとなりました。
香り系の焼酎が注目される中、早く商品を出さなければという周囲からのプレッシャーもあり、何度も開発中の酒質で妥協しようかと思い悩んだこともありますが、最後まで目標を変えず、諦めずに商品化できましたので、自信をもって皆様にお勧めできます。
華やかな香が爽快に感じられる炭酸割りがお勧めです。寒い季節やほっこりしたい時にはお湯割りがおすすめです。まろやかさや口中に広がる甘い風味が増し、食事との相性もバッチリです。
オエノングループ 福徳長酒類は、焼酎の本場九州は福岡県久留米の地で本格焼酎を製造しています。普段から気軽に飲んでいただける焼酎の製造だけではなく、お客様から求められている味わいの新商品を開発し、新たな価値を創造していきたいと考えています。
※1 醪(もろみ):酒類の原料を仕込み、発酵状態になったもの
※2 酒母(しゅぼ):酛(もと)とも言い、醪の発酵を促す酵母を大量に培養したもの
【本格焼酎「CANBASY(カンバシー)」ブランドサイト】
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