焚き火とさらにじっくり向き合う過ごし方を作りたい。焚き火で煮出しながら作る「焚き火でチャイ」誕生の裏側
火と向き合う時間は、今の現代人の心と身体に必要なエネルギーをもたらします。その時間をより豊かに、快適に、簡単に、楽しく過ごせるようなプロダクトの開発を行うために2022年ikoruは誕生しました。このストーリーでは、ikoruの変遷と代表ブランド「焚き火でチャイ」誕生の裏側について代表の松浦俊宏が振り返ります。
約100年続く材木商が家業の妻と結婚。薪の生産者と向き合うにつれ、林業における根深い課題を知る
大学卒業後、一般企業に就職しサラリーマンとして働いていた私は、約100年続く材木商を家業にもつ妻と結婚。ここから木の面白さや奥深さと、日本の林業の実情や課題に触れるようになりました。
COVID-19が後押ししたキャンプブームで、焚き火用の薪についての問い合わせが入るようになったとの話を聞いたことがきっかけで、自分自身も焚き火に興味を持ち、仕入れた薪で薪を燃やしてみました。
すると、焚き火の薪は広葉樹や針葉樹、また樹種によっても多種多様な特徴や違いがあり、また流通している薪の質や価格も千差万別であることがわかりました。ゆったり火と向き合える薪を調べるにつれて、木の奥深さに魅了され、自分自身で納得のいく薪をプロデュースしたいと考えるようになりました。
実際に薪の生産者と向き合うにつれて、次第に日本の林業における根深い課題を知ることになったのです。
材木価格の低下によって従事者の高齢化し手つかずの森林が増加。すると健全に成長できる木々が少なくなることで、森林に住む動物たちの木の実(食料)が減っていき、食害による森林の荒廃が拡大、といったまさに負の連鎖が起きていました。
この連鎖を食い止めるには、材木の需要そのものをさらに生み出す必要があると考えました。
ikoruブランド「材木店が選んだ薪」生産地近くの宝塚市山林にて
薪そのものの需要を喚起できる商品を作りたい。焚き火に合うチャイの開発
2022年4月、都藤商店とタッグを組み、”材木店が選んだ薪”を発売。長年培ったネットワークを活かして、市場には出回らない高品質な広葉樹薪をプロデュース。煙が少なく、ススが出にくく、爆ぜにくい最高の薪が誕生しました。間伐材の材木そのものが、煙が少なく火持ちの良い薪として生まれ変わった瞬間です。
ここでこの薪そのものの需要を喚起できるようなプロダクトを開発したいと思い立ちました。当時焚き火で湯を沸かしてコーヒーを淹れる楽しみ方が人気となっていました。しかしブラックコーヒーが苦手な私はまったく興味がなく、焚き火で沸かしたお湯でティーバッグからお茶を淹れるのも味気ないと感じていました。
ある日チャイを自宅の鍋で作っていた時、ふとした瞬間に感じたスパイスの香りが焚き火の香りとマッチする気がして、焚き火に合うチャイを作ってみたくなりました。
スパイス配合の勝ちパターンを探求。絶妙なバランスを発見するのに半年研究
数十種類の様々なスパイスを仕入れベストな配合を研究。妻と一緒に夜な夜な0.5g単位で膨大なスパイス配合の勝ちパターンを探求しました。結果、カシアシナモン、クローブ、カルダモン、ブラックペッパー、フェンネル、アニス、コリアンダーシード、ジンジャーパウダーの8種をブレンド。
最初にふわっとフルーティーな香りが広がり、その後ミルクとスパイスの柔らかな甘み、飲み終わった後に感じるピリッとスパイシーな香り。重たすぎず軽すぎない絶妙なバランスを見つけるために約半年研究。毎週末インド人街に出かけ、茶葉も試飲を繰り返し、火力が不安定な焚き火でもしっかり煮出せる茶葉を採用。同封されている砂糖においても、コクと甘みのバランスが優れスパイスの香りを邪魔しない有機きびざとうを使用しています。
また、パッケージデザインについても将来的な店頭販売を見据え、気になって手に取っていただけるように、焚き火でチャイの開発秘話を短編小説風に文章化しパッケージに印刷。23年6月に発売したルイボスには続編をデザインしました。
「焚き火でチャイ」から新しい焚き火の楽しみ方を提案したい
そして2023年1月、「焚き火でチャイ」を発売。"焚き火とさらにじっくり向き合う過ごし方を作りたい”という想いから、スパイスを自分で粉砕し、焚き火で煮出しながら作る商品に。煮出す直前に自分で粉砕するので、元々パウダー状になっている商品よりも香りを豊かに楽しめます。アウトドアでも楽に後片付けができるよう、ティーバッグを付属してスパイスや茶葉が鍋にへばりつくことがなく調理できるようにしました。
焚き火でじっくり煮出したチャイは、レンジで手軽に作るよりも味の深さが段違いです。焚き火でゆっくり煮出すので、完成には時間がかかりますが、火を育てながらじっくりチャイを煮出していく時間そのものを楽しんで頂きたいと思っています。
現在は定番のアッサム、ピリッとしたジンジャーが癖になるSPICY、ノンカフェインで夜や家族で楽しめるルイボス、23年12月新発売の燻製した茶葉「ラプサンスーチョン」を使用したSMOKYの全4種をラインナップ。
「焚き火でチャイ」をきっかけに、アウトドアに興味を持ってくれたら嬉しい
発売後はアウトドア系メディアにも取り上げて頂くなど多くの反響を頂きました。アウトドアファンのみならず、チャイ好きの若年女性にもご好評を頂いております。焚き火でチャイをきっかけに”焚き火”に興味を持ってアウトドアの世界に足を踏み入れていただけたらこの上なく光栄です。
今後焚き火でチャイは生産量を増やし、スパイスを全てオーガニックに切り替えることを検討しています。そしてikoruとして、日本の豊かな森林資源と産業へのインパクトをもたらすメカニズムの構築に引き続き挑戦していきます。
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