オリジナルデザインでサプライズをカタチにすることを基本理念に自転車用アクセサリーを企画・開発している日本ブランド
#自転車鍵 #防犯グッズ #開発ストーリー
株式会社クロップスはシリコンライトなど様々なヒット製品を生み出し、現在のメインラインナップは、多くの方々がサイクルショップなどで目にした事がある「サソリマーク」のCROPSブランドロゴの入ったコンパクトワイヤーロックである。
そのコンパクトロックのイメージの強い同社が新たに開発した折りたたみ式U字ロック「BENLOCK(ベンロック)」
BENLOCK(ベンロック)
今回は、ブランド創設者であり創設時より全ての開発に携わっている代表取締役の大雅 啓示にBENLOCK誕生の舞台裏や、製品開発にかける想いについて話を聞きました。
開発ストーリーを語る大雅啓示
全世界のマーケットをターゲットに創業
CROPS創業時より、マーケットを日本国内だけにを絞る事なく全世界をターゲットとして製品開発を進めて来ました。また、製品パッケージも製品の重要なパーツとして捉え、他メーカーにない独自のパッケージを自社で数多く作って来ました。
創業時のメイン商材はライトでした。きっかけは海中で使える青色に点灯する防水ライトの開発で道が開いたため、ライトをメインで開発を進めました。そしてシリコンライトシリーズを機に自転車業界での認知度が上がりました。
シリコンシリーズのライト:MX1
シリコンシリーズのライト:ZX1
ロック商材の開発が新たなブランドイメージの構築につながる
ライト以外にもロック、その他の商材含めリリースはしていましたが、当時はライトのイメージが強かったです。当時ロックといえば、ゴジラロックと呼ばれる重く大きいロックが主流でした。当社も同様に重厚感のあるロックをリリースはしておりましが、大きなインパクトを与えることは出来ませんでした。 そんな中、カラフルなシリコンライトシリーズのヒットに相乗しカラフルでコンパクトな小型の南京錠型のロックをリリースをきっかけにロック市場にて新たなポジションを開拓出来ました。 そこから立て続けにカラフルなコンパクトロックをリリースし、現在でもブランドの顔となるコンパクロックのQシリーズに繋がりました。
コンパクトな南京錠タイプのSPIDER-G
コンパクトロックの代名詞となったQ4
ここからロックの開発に力を入れ、CROPSといえばロックのブランドイメージが定着しました。 日本国内での認知度は急速にアップしましたが、創業時より全世界のマーケットをターゲットとして展開している中、海外ではコンパクトロックの需要は少なく、おもちゃ扱いされる事もありました。そこを脱却しようと重厚なカギのCROPS-PROシリーズを立ち上げ、ロックのラインアップをコンパクトタイプから重厚なタイプまで拡充し、それにより一気にロックブランドとして認知度が高まりました。
開発のこだわりは使いやすさとギミック
これまでも工業デザインそして自転車に付属するその他のパーツとの組み合わせなど様々な角度からアプローチしてきました。しかし、数多くの製品を世に送り出して来たが故に開発途中である程度、自分自身のイメージしている完成形に到達出来るか否か。また、製品として完成した際に現実的に適正な市場価格を設定出来るか。
といった様々な要因が障害となりました。
製品開発で拘っている一つのポイントとして、繰り返し何度も触りたくなるギミック。
例えるなら「簡単で癖になるサプライズ」が製品の中に組み込まれているという事です。
このサプライズこそが創業時より開発する際に一番大切にしているブランドのコンセプトであり、製品開発の肝になります。
このサプライズを製品にいかに機能して落とし込み、かつシンプルで使いやすさを追求出来るかを意識し、ロックのカテゴリーの中でも一番持ち運びや収納が難しいU字ロックをあえて今回の開発のターゲットにしました。
プロダクトにはサプライズが重要だと語る大雅啓示
U字ロックを開発するきっかけ
U字ロックは文字の通りUの字の形をしたロックで、重量や持ち運びにくさなどのデメリットを除くと、セキュリティが高く操作性も良く、ワイヤー錠などとも合わせて使える事から欧米ではポピュラーなロックとして高い認知度があります。
しかし日本国内では、欧米に比べ安全で盗難が少ない観点もあることから、根本的にロックを選ぶ際の条件として、自転車本体に収納が出来、かつ手軽に持ち運びが出来る事が重要視され、U字ロックは敬遠しがちのカテゴリーでもあります。
また、元々日本は一般車(ママチャリ)文化のため、自転車購入時に車体に鍵が付属している認識が高く、欧米に比べ、後からロックを購入したり、購入車体の金額に見合った金額のロックを購入するという認識が低いという側面もあります。
近年、サイクリストは車体の軽量化に伴い、ロックも軽量でコンパクトな製品を求めています。一方で、車体の盗難被害は増加しており、頑丈で高いセキュリティのロックを求める需要も高まって来ております。
U字ロックをコンパクトに収納が出来、かつ手軽に持ち運びが出来る事を実現出来れば、日本国内のサイクリストの悩みを解決出来る。
一般的なロックとベンロックの比較チャート
「BENLOCK」開発スタート
今回の開発のポイントはまずは如何にしてU字ロックの最大の特徴でありデメリットでもあるU字の部分をコンパクトにするか。
コンパクトの定義は千差万別ですが、「片手に収まる程度で少なくともポケットに入るサイズ」。開発の初期段階として候補として下記2点が挙げられました。
1.フォールディングロックのようにジョイント(繋ぎ)を活用する。
2.U字を2つにセパレート(分割)する。
1はコンパクトには出来るがU字のメリットが損なわれる。
2は2つを1つにする結合部分の耐久性に問題が生じる。
ジョイントの要素を活かして、2つを1つに出来ないか試行錯誤して、専用の結合技術を開発でき、U字の部分を半分に折る事を実現出来ました。
ジョイント部分
次の問題点として、
せっかくU字部分をワンアクションでコンパクトに設計出来ても、それを収納する、また収納から再び開いてU字にして施錠するまでに時間がかかり過ぎる点です。
➡️ユーザーから選ばれるロックの要素として短時間で施錠かつ使用後に収納が出来るかも重要です。
次のステップはこの一連の作業を如何にして短時間にするかです。
従来のU字ロックはロックする際はU字部分をシリンダー部分から1度外して使用します。
U字部分をワンアクションでコンパクトに設計した最初の段階では、収納までを下記の3段階の流れを想定しておりました。
1.U字部をシリンダーから外し(分割する)
2.U字部を折りたたむ
3.折り畳んだU字部とシリンダー部を専用の収納ケースに入れる
しかし、これだと収納までの時間もかかり、さらに持ち歩くパーツも増えてしまいます。
最初の解決策として、上記3の工程を簡素化出来ないかを考えました。
・パーツを少しでもなくすためにまずは収納ケースを無くし、より手軽なストラップで折り畳んだU字部とシリンダーを巻き付け収納する。
➡️軽量にはなりましたが、収納時が不格好で完成形としては程遠い形でした。
「BENLOCK」理想型へのこだわり
やはり、「ワンアクションで折り畳みから収納まで完結したい!」それを実現しなくては完成とは言えないと思いました。とはいえ、簡単に答えは出ず。
一旦、鍵以外の製品の開発もあり、問題を解決出来ないまま時が経ってしまいました...。
過去にも、このまま埋もれていった製品は多々あるので、同じ道を辿るのではないかと思いました。
しかし、一定期間鍵の開発から離れて、ロックとは異なる開発をしていた事が良い結果を生みました。
「BENLOCK」アイデアの熟成
従来のU字ロックはロックする際はU字部分をシリンダー部分から1度外して使用します。
至極当たり前の工程である、U字部分をシリンダー部分から分割する従来の方法を根本から見直すことを考えました。
なぜなら、分割しなければ、施錠・収納のワンアクションが減るからです。
イメージはU字ロックの状態でU字部分とシリンダー部分を外して分割せず、変形ロボットのようにU字ロックの状態から収納状態に変形させることです。
視点を変えることによって、新しいアイデアが湧いてきて、一気に完成形に至ることができました。
いくつものデザイン賞を受賞し、製品付加価値も高まる
通常、当社の製品は自転車ショップさんへ流通させ、そこからお客様へ流れます。しかし、今回の製品は従来のCROPSファンの評価はもちろん、そうでないお客様の声や評価を聞きたいので、ブランド初の試みでクラウドファンディングMakuakeにて先行販売しました。
また、海外(特にヨーロッパ)の評価もダイレクトに感じたいと思い、今まで出品した事がない世界3大デザイン賞の一つiF DESIGN AWARDへエントリーしました。
無事、受賞でき、製品そしてCROPSブランドへの付加価値が高まった事は嬉しい限りです。
合わせて日本国内で認知度の高いGOOD DESIGN AWARDも受賞する事が出来たのは何よりの成果です。
一方で既存の国内のお取引先様やユーザーさん向けの展示会での反応も上々でした。
特に今回の最大のギミック(U字部分を折りたためる)の、”ワンアクションで折り畳みから収納”という作業を自然と繰り返してしまう、癖になる所作が病みつきになると評判が良く、まるでZIPPO(ライター)のような何度でも繰り返してしますと仰ってくださった方もおりました。
ワンアクションでロック
ワンアクションで収納
更なるサプライズを提供するための製品開発は続く
今回の製品開発を通して、改めてモノづくりの難しさを体感しました。
しかし、その一方で新しいチャレンジをする事で凝り固まった発想が刺激され、
新たな製品への構想も湧いてきました。今後も初志貫徹でお客様にサプライズを
お届け出来るように製品開発を続けて行きたいと考えております。
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