生成AIを活用し案件創出につながるリスキリングサービスを。親子で作りあげた、AIネイティブな法人営業向け育成サービスの開発秘話
4DL Technologies株式会社(フォーディーエルテクノロジーズ、以下4DL)は、2023年3月に創業した千葉県に本社を置くEdTech企業です。
「ヒトとチームにReskillingを」をミッションに掲げ、新しい教育テクノロジーで付加価値の高い個を育成し、自由で自立した人材のあふれる社会を創るために、現在はDXソリューションを提供している企業のセールス部門、マーケティング部門などを対象に、生成AIなどの最新ツールを活用して案件創出につなげるためのリスキリングサービスを提供しています。
4DL は2024年3月15日に、新たなサービスとして「ANC-B0」をリリースします。
今回は、このAIネイティブな法人営業向け育成サービス(以下ANC)を作った背景を、CEOの荒巻智隼、CCOの荒巻順へのインタビュー形式でお伝えします。
テクノロジーを生かした新しい教育ビジネスを進めたいという想いで創業を決意
質問:4DL Technologies設立の経緯を教えてください
荒巻智隼:
4DL Technologiesは私が代表として2023年3月に創業した会社です。社名に含まれている4DLとは「4th Dimension Learning」つまり、四次元学習の略です。これはメタバースとAIを活用した4DLの考えるまったく新しい教育概念です。私は前職でも教育ビジネスに携わっており、テクノロジーを生かした新しい教育ビジネスを進めたいという想いで創業しました。今は、父である荒巻順にCCOとしてジョインしてもらい、二人で会社を運営しています。
荒巻順:
私はNTTドコモ、NTTコミュニケーションズといった大手企業の法人営業部門への人材育成のコンサルティングを提供してきました。テーマとしては「ドコモグループの通信回線やクラウドソリューションを通じたお客様の課題解決を提案できる法人営業人材の育成」です。
長年継続してご契約を頂戴し、全国にお客様を抱え、飛行機で年間150回も飛び回るような人生を送っていました。そのような中、新型コロナ禍などで長年のビジネスモデルも壊されたこともあり、年齢的にも事業承継を考えるタイミングだったこともあり、息子の智隼が独立するタイミングで、CCOとしてジョインしました。
今は私の持つコンサルティングセールスのアナログなノウハウを、社長が持つテクノロジーでデジタルに置き換えるという役割分担で、二人三脚で事業に取り組んでいます。
生成AIを活用することでコンサルティングセールスにおける営業戦略立案の効率化と生産性の向上を実現
質問:AIネイティブな法人営業向け育成サービスとはどんなサービスですか?
荒巻順:
私は、法人営業というのは「アカウントユーザーの経営課題をどう解決していくのか、そして経営者のビジョンをどう実現していくのか」という視点を最終的には持たないとダメだと言うことを長年伝えてきました。
それを一言で言うと「コンサルティングセールス」という言葉に要約できるかと思います。最終的には、お客様の経営参謀的な役割として営業ではあるが、お客様にとって無くてはならない存在というのを理想として考えています。
こうしたコンサルティングセールスを実施するためには顧客に関する膨大な情報の整理と、そこからの課題抽出が必要です。
荒巻智隼:
これまではこうした提案前の情報整理作業は人間が行うしかありませんでした。そこにはかなりの時間がかかりますし、個人のスキルによって提案内容に大きな差が出てしまいます。
そこでこの情報収集、整理から提案シナリオ作成までを生成AIを使って効率化、高精度化できるようにしたのが当社のAIネイティブコンサルティングセールスです。
AIネイティブなコンサルティングセールスにスキルセットをアップデートすれば、経験の浅い方や担当が変わったばかりの方でも効率的に高いレベルのコンサルティングセールスができるようになります。
ANCはコンサルティングセールスのプロセスに沿って複数のメニューを用意しており、2024年3月中旬にはB0という初歩のAIリテラシーを身に着けるサービスをリリースします。
還暦を過ぎた父親の入院、その中で生成AIの登場からビジネスモデルの転換を決意。父親のノウハウを息子が生成AIでデジタルで再現
質問:AI ネイティブな法人営業人材プログラムをどんなきっかけから作ろうと思ったのですか?
荒巻順:
前述した通り、私は法人営業のノウハウを自分の言葉で伝えてきました。お客様からも信頼を頂き、営業手法改善や営業研修、社内制度設計の際には多くお声がけを頂きました。仕事としては非常に充実していたのですが、転機となる出来事がありました。
私が病気で入院したのです。幸い、大事には至らず10日間程度の入院で済んだのですが、当時スタッフも抱えていましたが、私が企画設計のコンセプトやアウトラインを全て作るような状況でビジネスを行っていたので、私を頼ってくださるクライアントにご迷惑をおかけしないかずっと気がかりでした。年齢のこともあり、いつまでも今の仕事のやり方は続けられないなと感じたのです。
そうした中で、ある時ふと、生成AIに詳しい息子に「自分がやっているコンサルティングのノウハウをAIで再現できないか?」と聞いてみたのです。息子は「できると思います」と即答。
実際に生成AIで試してみると、私が提供するコンサルティングセールス研修の課題に対して、最高ともいえる回答を生成AIが出してきたのです。息子の対応力と生成AIの技術力に感銘を受け、今後は生成AIを活用した新しい時代が来ると身をもって実感しました。これをサービスとして昇華させてできあがったのがANCです。
四半世紀にわたって作り込まれたコンサルティングノウハウを、新しいテクノロジーの生成AIに置き換える技術的・感覚的ハードルへの挑戦
質問:AI ネイティブな法人営業人材プログラムを作る際に苦労したのはどんなことですか?
荒巻智隼:
最初は、荒巻順のノウハウをAIで再現できることに盛り上がってしまった私たちは、営業研修の中でも最高水準の回答をAIで導き出すサービスとして作ってしまいました。しかし、これだとそもそも営業スキルも、AI活用スキルも一定以上の方しか理解できず、AIを使いこなしてリスキリングするということが難しいと分かりました。
実際にサービスを使っていただいた方のアンケートからも
・短時間の中ではよく理解できなかった
・何かすごいことをやっていることはわかるが自分でできるかは疑問
という声が寄せられました。
そこで、利用者のAIリテラシーに合わせて活用しやすいようにサービスメニューの改善を図っていきました。
荒巻順:
利用者のAIリテラシーに合わせること以外に、プロンプトエンジニアリングというAIを使いこなすノウハウも試行錯誤しながら作り上げていきました。当社のサービスはOpenAIのChatGPTを活用することを前提に設計しているのですが、ChatGPTが進化して学習モデルが変わるたびに、同じ質問を入れても回答が変わってしまうという点に苦労しました。
また、コンサルティングセールスにおける情報活用は、収集、分類、分析というプロセスで行うのですが、AIで分析を行うと、質問の仕方によって分析結果に大きな違いが出てしまうことも分かりました。財務諸表分析に偏ったり、市場環境分析に偏ったりと、バランスの良い分析結果が出ないのです。
こうしたAIならではの癖ともいえるものを人間がどう使いこなすかをノウハウ化して、最初にリリースしたANC-B1というプログラムに詰め込んでいきました。
AIによって作業が劇的に短縮、マネジメントや育成にも活用できそうと好評の声
質問:AI ネイティブな法人営業人材プログラムに対するユーザーの反応はいかがですか?
荒巻智隼:
おかげさまでとても良いですね。「こんな方法があったんだ!」とお客様が喜んでくれる姿を見られるのがとても嬉しいです。実際の効果としても、人間が行えば2、3時間かかる作業が、AIを活用することで30分以内に短縮でき、劇的な効果を実感していただいています。
荒巻順:
私が印象的だったのは、以前からお付き合いしている普段は冷静なお客様が、代表の作ったコンサルティングセールスをChatGPTに置き換えた複雑なプロンプトを実際の動作を見たときに腰を抜かして「これはすぐにやらなくては!」とおっしゃっていたことですね。営業担当者の効率化だけでなく、営業マネージャーの視点からは、マネジメントや育成にも活用できそうだとのお声もいただいております。お客様がAIを活用するきっかけを作れたのが嬉しいですね。
AIを活用できるコンサルティングセールス人材を4DLのリスキリングサービスで社会に増やす
質問:AI ネイティブ コンサルティングセールスを、今後どのようにしていきたいですか?
荒巻順:
私のアナログなノウハウを、AIを活用してデジタル化し、より多くの方に使っていただくという観点では、まず第一歩が順調に踏み出せたと思っています。また、個人的にはChatGPTという新しいテクノロジーが登場したという偶然もあったとは言え、自分の作ってきたビジネスをこのような形でお客様に引き続き提供できるのは本当に嬉しいの一言です。
またその結果、中小企業の事業承継という社会的課題への取組にも繋がったのはとてもホッとしています。
荒巻智隼:
AIを使うことが広まりつつある世の中で、当社の事業もどんどん広げていきたいと考えています。
現在は荒巻順のコンサルティングセールスのノウハウをAIで再現したリスキリングサービスが主力事業ですが、こうした人間のノウハウをAIを使ってデジタル化し拡張させていくことは他の領域でもできると思いますし、可能性が非常に大きいと感じています。
アナログなノウハウのデジタル化をまずは自社で実践したので、今後はリスキリングを広めて新しい社会で活躍できる人をどんどん増やしていきたいと思います。
リンク
4DL Technologies株式会社 公式サイト
ANC-B0
ANC-B1
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