治療法がないと言われた患者さんを慢性的な痛みから救いたい。痛みの原因「モヤモヤ血管」に注目した画期的な治療法『動注治療』を開発するまでのストーリー
医療法人社団祐優会オクノクリニックは慢性的な痛みに悩む患者さんのために効果的な治療法を提案する、痛みの専門クリニックです。
東京表参道・銀座、横浜、大阪、神戸、福岡をはじめ日本全国計10医院を展開。肩こり、五十肩、腰痛、ひじ痛、ひざ痛、手の痛みなど約1分から2分で終わる動注治療やカテーテルによる治療を行っています。
当院で行なっている関節痛の治療が、今までにない新しい着眼点であることから、「これまでどこの病院に行っても痛みが治らなかった」という多くの患者さんに役立ててきたばかりでなく、国内外の医師からも注目されています。
今までに20,000人以上(※動注・カテーテル治療を合わせた数 2022年当院調べ)の患者さんが動注治療やカテーテル治療をうけています。また、昨年ではドイツで、一昨年には米国にて保険診療として認可された治療です。日本では数年後の認可が見込まれています。
様々な部位の痛みを根本的に解決する治療法の開発を日々続けており、治療部位を増やしています。治療法がないと言われ痛みを我慢するしかない患者さんに痛みのない日常生活を取り戻して欲しい思いから、患者さんへの負担が少なくメスを使わない入院の必要がない日帰り治療を提供しています。
本ストーリーでは根本的治療がないと言われる慢性的な痛みの治療法「動注治療」の開発を紹介します。
「痛みの本質を理解する重要性」に着目したきっかけは、研修医時代の出来事
「医師になったばかりの研修医の時に、痛みの本質を理解する重要性を改めて感じさせる出来事を経験しました。」と、痛みの新治療を開発するオクノクリニック総院長奥野祐次がふり返ります。
研修医として働いていたある日、先輩の先生の外来を見学していたときのことです。
患者さんは、膝に人工関節を入れる手術をうけ、2年間経過しているのに膝がいまだにひどく痛むと執刀医の医師に訴えました。
しかし、レントゲン検査の結果、人工関節は正常に挿入されており、異常は見られませんでした。この結果に先輩の医師は患者さんの痛みの訴えを無視し、「これで痛いのはおかしい!」と、怒鳴りつけるという行動に出ました。
その光景を目の当たりにした私は、痛みの本質を見失ってしまっている医療の現状に疑問を感じました。この出来事が私の人生を変えるきっかけとなりました。
痛みの原因が「モヤモヤ血管」にあると発見、さらなる研究に従事
その後、私は放射線科医として活動し、癌治療に携わることとなりました。癌の発生部位に見られる異常な血管に着目し、その血管を閉塞する治療を行う中で新たな発見がありました。
ある患者さんが、癌とは無関係な部位に慢性的な痛みがあると訴えるので、その部位を検査すると薄い影のようなモヤっとした異常な血管が増殖していることを発見しました。
その血管をカテーテル治療で消退させたところ、患者さんが痛くなくなった、軽くなったと喜び症状が改善する出来事がありました。
この経験から、痛みの原因はモヤッとした異常な血管「モヤモヤ血管」にあると考え治療に関する研究・開発に従事する日がはじまりました。
治療法がないとされる手の痛み「へバーデン結節」に「モヤモヤ血管」を減らす治療をする必要性を見出した
この長引く痛みの原因となるモヤモヤ血管ですが、打撲や捻挫などの外傷、スポーツや仕事による繰り返しの負担や、年齢とともに起こる身体の変化などが原因で生じます。
たとえば、捻挫や打撲などの外傷によって不要な血管が増加しますが、若いころは、2~3週間ほどすると自然にその不要な血管が減少する仕組みが働きます。しかし、加齢とともにこの不要な血管を減少させる機能が低下し、炎症部分に異常な血管が残ってしまうようになります。四十肩や五十肩などのように、ある年齢になると関節が痛くなる人が増えるのはこのことが原因です。
さらに、人間の身体には、「血管と神経が同時に発達する」という基本的な原則があります。言い換えれば、血管が増加している部分には神経も同様に増加し、この余分な神経から痛みの信号が脳に送られることが知られています。
この慢性的な痛みの原因となる血管と神経の増殖は、レントゲンには映りません。また湿布や塗り薬では治らないため、根本的な原因である不要にできた血管「モヤモヤ血管」を減らす治療をする必要があります。
その代表的な症例として治療法がないと言われる手の指の関節の痛み「へバーデン結節※1」の動注治療の開発についてお伝えします。
※1へバーデン結節とは指の第1関節が腫れ骨が変形し、痛みをともなう変形性関節症の一種です。原因不明とされ根本的治療がなくサポーターなどの保存療法が推奨されています。
プロゴルファー丸山茂樹さんの治療の過程で、より少ない負担で治療の回数を減らせる新たなアプローチ法を考案した
私たちは以前から手の痛みにも、モヤモヤ血管が関与しておりそれに対するカテーテル治療を行ってきましたが、その際に足の付け根や鼠蹊部などの手からは離れた場所からのアプローチが一般的でした。
しかし、患者さんの痛みの原因が指の先端にあることから、より効果的で患者さんの負担が軽減につながるアプローチ方法を模索する必要があると感じていました。
そこで、手の指からすぐ近くに位置する手首からのアプローチが可能かどうかを考えるようになりました。橈骨動脈という、手首で「脈をとる」ときに使う血管を介して薬を流すことで指の先端に直接アプローチして治療ができる方法を開発しました。
さらに動注治療の開発のきっかけとなった出来事がありました。それはプロゴルファーの丸山茂樹さんです。丸山さんは2017年に当院に来院されました。当時、親指の痛みが7年ほど続きアメリカで手術をしたのですがそれでもよくならず既に引退されていました。
引退してから1年半ほど経過したときに、私達のモヤモヤ血管の治療のことを知り来院されました。私が診察したところ、親指には非常に多くのモヤモヤ血管があったため、1回のカテーテル治療では、効果を十分に出すことができないと考え、身体への負担がかからないようにより簡便に何回か薬を投与する方法はないかと考えました。
その際、親指の近くにある橈骨動脈という脈を触れる血管に細い針を刺し、そこからモヤモヤ血管を減らす薬を流すことができれば、少ない負担で治療の回数を減らせる可能性があると考え開発しました。
この新たなアプローチは成功し、丸山さんは2回の動注治療で痛みが半減し、最後にカテーテル治療を行うことで、完全に治癒するまでに至りました。この経験をもとに、動注治療という新たな治療法が患者さんへの負担を軽減し、生活を改善する可能性を示すことができました。
新治療の改善により治療時間の短縮と出血リスクも軽減
新しい治療の開発当初は、触診を頼りに血管を探して針を刺していました。ブラインドといって脈を確認しながら触診を頼りに動脈にアプローチする方法です。
しかし、この方法だと血管が細い人は何回か針の刺しなおしが必要で内出血をおこす場合もあり時間も約10分弱とかかっていました。
そこで超音波を使用したエコーで患部を確認しながら極細の注射針で治療する方法を考えました。これにより、血管の細い患者にも対応できると考えました。
新治療の改善により治療時間が約1分ほどになり極細の針を使うことで内出血や出血のリスクが軽減されました。
動注治療により、治療法がないとされていた多くの患者さん達が痛みから解放された
動注治療を開始すると、ヘバーデン結節に苦しむ患者さんが多く、特に女性を中心に治療を受けた方の口コミや紹介によって、当院を訪れる患者さんが増えました。
従来、ヘバーデン結節に対する治療法は限られており、整形外科を受診しても加齢による症状であるため、痛みに耐えるしかないと言われ諦めるしかないと冷たく対応された患者さんが多くいました。しかし、当院の動注治療によりその状況が変わりました。
痛みがなくなり、趣味であるピアノを再開できるようになった患者さんや、料理や裁縫などの家事に集中できるようになった患者さんが多くいます。痛みを気にすることなく日常生活を送ることができ、人生が大きく変わったことを喜んでいます。
さらに、アキレス腱炎やゴルフ肘、テニス肘などの症状に悩む患者さんも多くいます。整形外科を受診しても、保存療法しか提案されず、根本的な治療法がないことに悩んでいました。このような患者さんたちも、動注治療によって痛みから解放され、日常生活を取り戻すことができました。
痛みがない日常を忘れていた患者さんも多く、動注治療によって痛みから解放された喜びを感じています。この喜びは、医療の進歩と痛みへの新しいアプローチがもたらす希望を象徴しています。
今後も、患者さんの生活をより良くするために、痛みに対する新たな治療法の開発と普及が重要だと日々感じています。
今後も新たな治療法を開発し、様々な痛みを抱えるより多くの患者さんの生活を改善したい
痛みがない日常を忘れていた患者さんも多く、動注治療によって痛みから解放され元気になる患者さんにたくさん出会いました。
痛みの本質を見失っている医療現場に疑問を持ち、痛みの治療に取り組むことが患者さんの未来を明るくしていると感じでいます
今後も、患者さんの生活をより良くするために、様々な痛みに対する新たな治療法の開発と普及が重要だと日々感じています。
日帰り治療が可能で日常生活の制限もない画期的な動注治療。国内では60以上の医療機関に導入されている
動注治療は、痛みの発生部位にできる異常な血管、つまり『モヤモヤ血管※2』を減少させる画期的な治療法です。
最近の研究により人間の身体には正常な血管だけでなく、痛みの原因になってしまうモヤモヤ血管ができてしまうことが分かってきました。これらのモヤモヤ血管と一緒に神経もできてしまうため痛みが生じます。
動注治療は加齢や保存的療法など根本的な治療がなかった痛みに対する新しいアプローチ方法です。
一般的な点滴で用いる極めて細いチューブ(サーフロー)を用いて、手首または足首の動脈に直接注入します。1~2分ほどで終了し、その日ご帰宅いただける治療で日常生活の制限はありません。
国内ではすでに8,000人以上(2023年当院調べ)の方がこの治療をうけており、重篤な副作用は報告されていませんが注射した部位に内出血を起こしたり、蕁麻疹がみられることがまれにあります。
動注治療は国内では60以上の医療機関に導入されており、日本からのみならず海外ではアメリカ、ドイツ、台湾などでも論文が発表されています。
動注治療の費用について
自由診療
ヘバーデン結節、CM関節症への動注治療
※片手におさまっていれば痛い指が複数あっても25,000円です。痛みが両手におよぶ場合は35,000円になります。
片手 25,000円(税込価格: 27,500円)
両手 35,000円(税込価格: 38,500円)
足底腱膜炎、外反母趾、アキレス腱炎、痛風への動注治療
片足 30,000円(税込価格: 33,000円)
両足 40,000円(税込価格: 44,000円)
テニス肘、ゴルフ肘、野球肘への動注治療
片肘 30,000円(税込価格: 33,000円)
両肘 40,000円(税込価格: 44,000円)
肩こりへの動注治療
片側 30,000円(税込価格: 33,000円)
両側 45,000円(税込価格: 49,500円)
初診をご検討で事前に医師に相談したい方は下記URLより質問・相談ができます。
https://okuno-y-clinic.com/contact
オクノクリニック総院長 奥野祐次
2006年3月、慶応義塾大学医学部卒業。放射線科医として血管内治療に従事したのち、大学院にて「病的血管新生」の研究を行い、博士号を取得。その後、江戸川病院で運動器疾患に対する血管内治療を専門とし、2014年4月に運動器カテーテルセンター センター長に就任。2017年10月に横浜にてオクノクリニックを開院(現在東京を中心に全国10院を運営)。
年間30回以上の講演に登壇。治療の認知と普及、そして指導のために、世界を中心にテレビ出演、取材対応、論文執筆などの活動を展開。
ヨーロッパの学会(CIRSE2023)にてインターベンショナル・ラジオロジーの進歩へ貢献した医師に贈られるAward of Excellence and Innovation in IR 2023を受賞。世界中で高い評価をうけ、海外および国内の著名な学会に招待されている。2023年の年間の招待講演はのべ20か国。
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奥野祐次
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