カーボンニュートラル実現と再生可能エネルギー化率向上に向けて
プライム ライフ テクノロジーズグループが取り組むカーボンニュートラル
プライム ライフ テクノロジーズグループは2022年に脱炭素社会を目指して、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と宣言しました。2023年4月には、グループ横断のカーボンニュートラル推進委員会を発足させており、各事業会社が一体となって目標達成に向けて様々な施策に取り組んでいます。なぜグループとしてカーボンニュートラルに取り組むのか。目標達成に向けてどのような課題があり、それをどのように克服していくのか。カーボンニュートラル推進委員会事務局リーダーを務めるプライム ライフ テクノロジーズ株式会社 技術企画推進部 部長の白浜一志に聞きました。
共通の物差しづくりからスタートし、目標を設定
2020年1月、「くらしの“あたりまえ”をかえていく」をコーポレートメッセージに掲げて誕生したプライム ライフ テクノロジーズ。グループ会社(パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホーム、パナソニック建設エンジニアリング、松村組)が持つ住宅やまちづくり、建設のノウハウを融合し、まち全体でのくらしの新たな価値を創造していくにあたり、脱炭素社会の実現は企業の責務という認識のもと、2021年、グループ横断メンバーによるワーキンググループを発足させました。「事業会社それぞれがカーボンニュートラルの推進に取り組んではいたものの、温室効果ガス排出の算出方法などはバラバラでした。各社共通の物差しをもったうえで目標を定めるとともに、第三者によるお墨付きを得て対外的に取り組み姿勢を客観的に評価してもらうことが大切だと考え、共同で取り組むこととしました。プライム ライフ テクノロジーズグループは社会的責任を担う会社なのだということをグループ内にも示し、働く社員の方々に誇りを持ってほしいという思いもありました」と白浜は推進に向けた思いを語ります。
プライム ライフ テクノロジーズ㈱ 技術企画推進部 部長 白浜一志
そして、2022年7月にカーボンニュートラルに向けた目標数値を提示し、2023年4月にはワーキンググループをコーポレートガバナンス体制に組み込んだ実行組織として推進委員会へと格上げしました。「住宅事業」(パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホーム)においては2030年の温室効果ガス排出量を2020年比で50%削減(新築戸建、集合住宅におけるサプライチェーン全体としての目標値)、「建設事業」(パナソニック建設エンジニアリング、松村組)においては、2030~40年のできるだけ早い段階で40%削減(自社事業での目標値)、「まちづくり事業」(グループ全社)においては住まい、建築のエネルギーマネジメントはもちろん、DX等を活用した新しいくらしサービスを通じて、人・ものの移動を含めたサステナブルなまちづくりを実現することを、それぞれ掲げました。さらに、グループ各社が事業活動で使う電力については、2030年までに60%、2040年までには100%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えることを目指しています。
順調な進捗の一方で課題も
その目標達成に向けた進捗状況をみると、2022年度に公表した実績値では、「住宅事業」で2020年度比-12.9%、「建設事業」で-13.2%、また、再生可能エネルギー化率は2.15%となっています。「住宅事業、建設事業における進捗は現在のところ順調に進んでいます」と白浜。ただ、詳細をたどっていくと課題も浮かび上がってきます。
「住宅事業」については、新築戸建住宅におけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス=「省エネ」と「創エネ」によって、年間で使うエネルギー量が創るエネルギー量との差し引きで、概ねゼロ以下となる住宅)の導入比率が2020年の51%から2022年には74%と伸びたことが進捗に寄与しました。一方で、取り組みが始まったばかりの新築低層集合住宅のZEH化を示すZEH-M(ネット・ゼロ・エネルギー・マンション)の比率は2020年の0%から4%へと実績を上げつつあるものの、取り組みに遅れが見られます。「順調に普及が進む新築戸建住宅はいずれ頭打ちとなるため、いかにZEH-M化を普及していくかがこれからは重要になってきます」と白浜は話します。
プライム ライフ テクノロジーズグループでは、ZEH-M化の中でも低層集合住宅を主なターゲットとし、全体に占めるZEH-M化の比率を2030年50%まで引き上げることを目標としています。
[新築戸建住宅のZEH率]
[低層集合住宅ZEH-M率]
低層集合住宅の場合、複数世帯が居住するため戸建住宅に比べ入居者にとって電力費削減のメリットが薄く、また、太陽光発電パネルの設置費用がオーナー様負担となるためZEH-M化を進めてもオーナー様がメリットを享受しにくいという課題があります。
そこで、太陽光発電搭載率の向上に向けて、太陽光の反射による「光害」を避けるため設置できなかった北面でも表面のガラスに凸凹加工を施すことで反射を低減した防眩仕様のモジュールの取り扱いをグループとして開始しました。また、一部の事業会社では、電力会社とのリーススキームを構築し、賃貸オーナー様が太陽光発電システムを初期投資負担ゼロで賃貸住宅の屋根に設置することを可能にしました。それによって入居者は太陽光発電システムで発電した電力を使用可能となるため、賃貸オーナー様にとっては入居者満足の向上が図れます。さらに、賃貸オーナー様には月々の電気代と併せてリース費用を電力会社に支払うことで、再生可能エネルギーを導入しやすくなるビジネスモデルを提案しています。
プライム ライフ テクノロジーズグループだからこそ参画できた国際的な枠組み「RE100」
もう一つの課題が、グループ各社が事業活動で使う電力の再生可能エネルギー化をいかに推進するかです。プライム ライフ テクノロジーズでは、再生可能エネルギー化率向上を加速させるべく、2023年5月に「RE100」に参画しました。「RE100」とは「100 % Renewable Electricity」の略称で、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的な取り組みです。2014年に発足して以来、米国のアップルやグーグル、スターバックスコーヒー、スウェーデンのイケアのほか、日本でも大手企業が加盟しています。
「加盟するには、年間の消費電力量が50GWh以上という要件をクリアしなければらなす、各社単独では加盟できませんでしたが、プライム ライフ テクノロジーズがグループ一体となることで、この国際的なイニシアティブに加盟する要件を満たすことができました」と白浜はグループ一体で進めることのメリットを語ります。
加盟に際しては明確な目標の設定と、その実現に向けたロードマップの作成に加え、進捗状況の報告が求められ、第三者監査が推奨されています。プライム ライフ テクノロジーズでは第三者監査についても近く導入を検討しています。「当社グループが事業活動で排出する温室効果ガスの排出量は全体の数%に過ぎませんが、バリューチェーン全体で排出量を抑えるためにサプライヤー様にも排出の抑制をお願いしていることもあり、自ら範を示し、決意をもって取り組むことが重要だと考えます」と白浜は意気込みを語ります。
電力の再生可能エネルギー化を後押しする「PLTでんき」
この再生可能エネルギー化の推進に当たって今後、大きな役割を果たすのが、住宅事業を担う、パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホームのオーナー様やリフォーム工事の契約者を対象に、電力会社の固定価格買取(FIT)期間を満了した太陽光発電システムの余剰電力を買い取る「PLTでんき」というサービスです。
FITとは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの早期普及を促すため、再生可能エネルギーでつくった電力を大手電力会社が市場価格より高めに設定した買取価格で一定期間買い取ることを国が定めた制度です。2009年に始まったFIT制度では、住宅用の太陽光発電の固定買取期間は10年間(※)と定められており、2019年から順次、対象となる住宅において買取期間が満了しています。期間満了後は、買取価格が下がるため、オーナー様にとっては余剰電力を無駄にしないためにも新たな売電先を探し、使い道を見直す良いタイミングとなります。
そこでプライム ライフ テクノロジーズでは、太陽光発電システムの余剰電力買取サービスで知見を持つ大阪ガスマーケティング株式会社や株式会社ファミリーネット・ジャパンと提携し、オーナー様向けサービスの枠組みの検討を2022年秋からスタートしています。
※太陽光発電の容量が10kW以上の場合は、固定買取期間は20年間と定められています。
今回、「PLTでんき」のサービス立ち上げにご尽力をいただいた、大阪ガスマーケティング株式会社のご担当者にお話を伺いました。
(役職等は取材時2024年3月時点)
大阪ガスマーケティング(株) 法人営業本部 法人住宅営業部長 北村 一彦様
▶カーボンニュートラルについて一言いただきました。
「お住まいになるオーナー様が「気づいたら環境に貢献している」。そんな仕組みが大切。」
大阪ガスマーケティング(株) 法人営業本部 法人住宅営業部 勝山 貴文様
▶カーボンニュートラルについて一言いただきました。
「「PLTでんき」は企業同士や、お客様との関係強化、環境問題解決への貢献につながると実感。」
Q:ご担当業務についてお聞かせください。
A:北村様
ハウスメーカー様を対象に、家庭用燃料電池「エネファーム」などのガス設備機器のご提案をしています。電力の小売全面自由化がスタートした2016年からは一般家庭向けに電気の小売販売を開始。2019年には卒FITを迎えた住宅オーナー様を抱えるハウスメーカー様に対して、余剰電力買取サービスのご提案を始めました。
Q:2024年春から「PLTでんき」を開始させていただくことになった経緯をお聞かせください。
A:北村様
プライム ライフ テクノロジーズ社の経営幹部の皆様に、2022年に当社のカーボンニュートラル技術の研究開発拠点「Carbon Neutral Research Hub」をご視察いただいたのがきっかけです。Daigasグループは、2021年1月に「カーボンニュートラルビジョン」を発表し、2050年までにカーボンニュートラルの実現を掲げるとともに、そこまでのプロセスとして、2030年度目標として以下、3つの目標を示しています。
① 自社開発や保有に加えて、他社からの調達も含めて、国内外で500万kWの再生可能エネルギー電源の普及に貢献します
② 当社の国内電力事業における再生可能エネルギー比率を50%程度にすることを目指します
③ 年間1,000万トンのCO2排出量を削減し、社会に貢献することを目指します
これら目標を達成するための一つの方法として余剰電力の買取サービスを開始し、ハウスメーカー様をはじめとする外部の事業者様と連携した枠組み作りにも取り組んでいます。
*ご参考:関連サイト https://www.daigasgroup.com/sustainability/valuecreation/carbon_neutral_vision.html
Q:「PLTでんき」の特長について、お聞かせください。
A:勝山様
最大の特徴は大手電力会社よりも買取価格を高い水準に設定したことです。これによってオーナー様に、よりメリットを感じていただくことができ、ごく自然に再エネの普及に貢献いただくことができます。「PLTでんき」の利用が進めば、プライム ライフ テクノロジーズグループの事務所や工場で使う電気はオーナー様由来の卒FIT電力で賄うことも将来的には考えられます。
Q:今回の取り組みが、環境(カーボンニュートラル)に向けて、どのような影響をもたらすとお考えになりますか?
A:北村様
大阪ガスマーケティングでは将来の構想として、工場や家庭などが有する分散型の電力リソースであるエネファームや太陽光発電、蓄電池、電気自動車などをIoTを活用して束ね、あたかも一つの発電所のように機能させるVPP(仮想発電所)の事業化を目指しています。VPPは電力負荷平準化や電力不足時の供給などにより、地域の電力システムの安定に貢献ができます。余剰電力の買取を通じて、プライム ライフ テクノロジーズグループの住宅オーナー様に、より安心、快適に電気を使える環境をご提供できればと考えています。
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プライム ライフ テクノロジーズグループでは、「PLTでんき」のほかに、PPA(※)事業者から購入した再生可能エネルギー由来の電力を、展示場などで使用することも進めています。「PLTでんき」に加えて、同スキームの推進を担当するプライム ライフ テクノロジーズ株式会社 経営企画部 事業企画室 主任の前林大介はこの取り組みの目的について語ります。
※PPA:Power Purchase Agreement 電力ユーザーが発電事業者から一定期間、単価を固定して電力を購入するスキーム
※プライム ライフ テクノロジーズ社・Sustech社調べ(2023年5月16日時点)
前林:
「当社は、2024年春より、発電事業者の株式会社Sustechと提携し、同社によって発電された再生可能エネルギーをRE100に対応したトラッキング情報付き非化石証書と共に購入し、当社グループの住宅展示場へ供給する取り組みを始めました。すでに、展示場および展示場内の建物を含めて、計61案件への導入が決まっています。住宅展示場に太陽光発電を設置することは難しいですが、このスキームであれば、自然再生可能エネルギーと同等の価値を持つ電力を使用することが可能になります。今後も、その他の展示場も含めて、脱炭素化を進めていきたいと考えています。」
と抱負を語ります。
プライム ライフ テクノロジーズ㈱ 経営企画部 主任 前林大介
プライム ライフ テクノロジーズグループは、カーボンニュートラル達成に向けて事業で使用する電力の再生可能エネルギー化による「RE100」を目指すなど、あらゆる可能性を探り、取り組みを進めていきます。
*プライム ライフ テクノロジーズグループ社員によるカーボンニュートラル宣言*
プライム ライフ テクノロジーズ(株) 技術企画推進部 部長 兼 カーボンニュートラル推進室事務局 リーダー 白浜一志
プライム ライフ テクノロジーズ(株) 経営企画部 事業企画室 主任 前林大介
◎プライム ライフ テクノロジーズ株式会社
▶ホームページはこちら
▶サステナビリティページはこちら
▶カーボンニュートラルの取り組み(インタビュー)はこちら
▶環境コミュニケーションブック ダウンロードページはこちら
◎関連プレスリリース
▶https://prime-life-tec.com/news/2024/0125/index.html
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