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80代の著者さんもおられます。

100匹のねこ、それぞれに考えられた名前と個性、自由に想像できるストーリーが魅力の能動的な絵本「100ぴきかぞく」シリーズの誕生秘話

著者: 大日本図書株式会社

「いつでも どこでも ねこ100ぴき!」で夢中になる絵本です!


「100ぴきかぞく」シリーズは2022年11月にスタートしました。1作目が『100ぴきかぞく』、2作目が『100ぴきかぞく ゆうえんちへいく』で、どの見開きページにも100ぴきのねこのかぞくが登場します。

2冊を読まれた方々からは「なかなか読み終わらない!」という感想が届いています。




子どもも大人も夢中になって楽しめる、惹きつけられる100ぴきのねこの魅力

當田(担当編集者):32ページの絵本で「なかなか読み終わらない」というのは、すごいことですよね。


古沢(著者):はい。「100ぴきもいるので、1ページをずっと、じーっと見ていて、なかなか先に進まない(笑)」とか、「子どもが大好きで、雨でも持って歩く(苦笑)」というご感想をいただいています。ありがとうございます!


當田:絵本はもともと、お気に入りになると何度も繰り返し読まれるものですが、「100ぴきかぞく」シリーズは、子どもも大人も夢中になって楽しめる、本当にすてきな絵本になりました。

でも、ページごとに100ぴきを描くのは大変でしたよね。1冊あたり、1,500ひきも描いているんですよ! 2冊だと、3,000ひき!


古沢:そうですね。でも、ねこが大好きで、ねこの絵本を描きたいとずっと思っていたので、嬉しさのほうが大きいです(笑) 

ストーリーだけじゃなく、それぞれのページで「こんな子がいるよ。どこかな?」みたいに、探すことも楽しめるようにしたんですが、それだけじゃなくて「推し」の子を探したり、その子だけを追いかけて読んだり、いろいろな読み方をしていただけて、描いたかいがありました。



100ぴきにはちゃんと名前と個性が!

當田:100ぴきの名前が最初(前見返し)に出てくるので「自分と同じ名前だ!」とか、持っているものを見て「好きなものが一緒!」とか、共通点が見つかって惹きつけられるのも特徴ですね。100ぴきの子たちについて教えてください。



古沢:絵本を描きはじめる前に、すべての子の個性と名前を考えました。

たとえば、おっちょこちょいだから「ドージ」、礼儀正しいから「ジェントル」、いつも眠いから「ネム」…とか。


當田:名前より、個性を先に考えられたんですか?


古沢:そうです。昔、家に10ぴき以上ねこがいたときがあって、本当にみんな個性があるんです。だから絵本のなかでも、みんな違った個性にしようと。

気をつけたのは、細かく説明をするんじゃなくて、しぐさや行動などでパッと見てわかるようにすることです。見たときに、個性と名前がぴったりするように。

絵本のページをめくるたびに、眠そうな目をしている子がいると「あ、この子はいつも眠いんだな」と思ってもらえますし、そこで名前が「ネム」だと、覚えやすいかな、と思ったんです。


當田:なるほど〜。でも100個の個性がうまく生かすのも大変かな、と。


古沢:はい。最初に考えていた子で、やっぱりやめた子もいます。絵本のなかで生きてこないというか…。

100ぴきもいると、どうしても埋もれてしまう感じになっちゃうんですよね。逆に、その子だけではあまり目立たないかもしれないけど、ほかの子と絡むことで生きてくる子もいて。たとえば、「この子たち、いつも3びき一緒にいるよね」とか。そういうふうに考えていったら100通りの個性を考えられました。

ちょっと悩んだのが、性別です。みんな洋服を着ているので、ズボンやスカートみたいな形のものになるんですが、それを性別分けみたいにしたくなくて…


當田:そうでしたね。性別で分けるよりも、その子たちの個性で洋服も好きなものを着るようにしましたよね。

ストーリーのなかで言葉遣いでの性別もなくて(セリフ自体がほとんどありませんが、笑)読まれた方が自由にその子たちがどんな子なのかを想像できて、とてもよかったと思います。



描き分けはペンの多色遣いで乗り切り、原画のねこちゃん確認はグループ総出でチェック

當田:ところで、洋服の色や柄、100ぴき分を考えるのも大変だったのでは?


古沢:ねこの大きさはみんな同じ(おかあさんとおとうさんはちょっと大きいですが)なので、服の形もほぼ同じで、色や柄は、その子の個性とペンの多色遣いで描ききりました。

ペンはコピックというもので、300色くらい持っています。色を混ぜて使うことはなく、ぜんぶその色自体で描いています。ボーダー柄やチェック柄は、色と太さで違いを出すと、かなりいろいろな種類が描けます(笑)



類を見ない原画チェック方法!

當田:いろいろな種類の洋服を着てくれているおかげで、原画のねこちゃん確認が少しラクでした! 

100ぴきのねこの子たちがちゃんといるか、洋服は間違っていないか、もっと言えば、体の模様は違っていないか、肉球はちゃんと描かれているか…など、全ページの確認がとても1人では無理でしたので、古沢さんをリーダーに、7名で確認しましたね。1人2ページくらいを受け持って、前見返しの100ぴきの絵と名前を頼りに。

難易度MAXだったのは、おふろシーンですね(苦笑)



古沢:そうでした。おふろなので服を脱いじゃって、模様だけでしたからね。しかも後ろ向きという子もいて…(苦笑) 

その次に難易度が高かったのは、野菜畑のスモック姿ですかね。


當田:はい! 洋服は着てるけど、みんなお揃い(笑) 顔の模様だけが頼りでした!


古沢:その確認のときに、間違いが見つかりましたよね…すみません。


當田:いえいえ。こちらこそ、コピックペンを全部持ってきていただいて、その場で原画の修正をお願いしちゃって失礼しました! 

あ、はずきルーペもご持参でしたね(笑)


古沢:そうなんです。100ぴきの子たちだけじゃなくて、背景もできるだけ細かく描きたいので、だんだん目がチカチカしてきてしまうんです。必需品です(笑)


當田:2作目のときも同じように全ページの原画をグループで確認しましたし、「100ぴきかぞく」シリーズでは定番の確認方法になりそうで楽しみです!



ストーリーがシンプルだからこそ、自由なドラマが想像できる「能動的な絵本」に

當田:絵の細かさとは逆に、ストーリーはとてもシンプルですよね。


古沢:あえてそうしました。

あまりいろいろ書き込まないで、言い方がよくないかもしれませんが、ちょっと突き放している感じというか…。読者の方があれこれ想像しながら、ぐいぐい入ってこられるようにしたかったんです。

読まれた方から「能動的な絵本」と言われたときは、ぴったりな表現だと思いました。わかっていただけてすごく嬉しかったです。


當田:「能動的な絵本」、なるほどですね。

100ぴきかぞくが何をしているか、ということは書かれていますが、なにを感じているかとか、どう思っているかなどは書かれていないので、自然に絵の中のみんなの表情やしぐさを見ながら、想像しますね。

そこに、100ぴきそれぞれのドラマが展開しているんですね。そして読まれた方も、みなさん自由にドラマ作りをされている。だからなかなか読み終わらない(笑)


古沢:そうだと思います。ページによっては、ねこ以外の動物も登場して、ねこたちと絡んだ絵になっていますので、100ぴきかぞく以外でのドラマも想像できるんです。


當田:「この子を探してね」的な文章もありますよね。朝ごはんのページで「ペロペロキャンディーを なめている ペロちゃんはどこかな」と読んだときに、朝ごはんのときに? と思って探しはじめたら、「あ、チップはポテトチップを食べてる〜」とか、他の子たちの様子も気になっちゃいました(笑)



古沢:探すのって楽しいかなと思ったんです。そうやって、ページを隅々まで見てもらえるし(笑)


當田:そこも能動的! 見つけてもらう子は、どうやって決めたんですか? 


古沢:うーん、直感かな(笑) 描き上げた原画を見て、目にとまった子に。そのページでは、この子に注目してほしいなあ、と。

あとは、いまの話のように「ごはんの時間なのに、おやつ食べていいの?」みたいな、読む方へのとっかかりを持ってもらえるかなというふうにも考えましたね。



3作目も決定している100ぴきかぞくシリーズ、これから描きたいアイディアはまだまだ多数

當田:1作目の『100ぴきかぞく』は、おじいちゃんとおばあちゃんの家へ行きました。

2作目はタイトル『100ぴきかぞく ゆうえんちへいく』にある通り、ゆうえんちへ行きました。

100ぴきかぞくは、おでかけ好きですか?


古沢:はい。100ぴき全員が乗れる2階建バスを購入したので、おでかけがラクになったんです(笑)


當田:そうそう、1作目のときは電車でしたね。乗り換えのときに、おとうさんが「いそいでー」と呼んでいて、乗り換えに間に合うか、100ぴき全員ちゃんと乗ったか、ハラハラしちゃいました(笑)

2作目はみんなバスでリラックスしながら、ゆうえんちへ。


古沢:ゆうえんちでは、100ぴきが一度に乗れる乗りものが少なくて、どうしようかと思いました。順番に並んで2回にわけて乗ることにしたんですが…。 

でも、一つくらいはみんなで乗りたいじゃないですか。だから、ゆうえんち内を走る汽車だけは、みんな一緒に乗れるようにしたんです。



當田:そうですね。でも、お弁当を食べるときやおみやげを買うときはみんな一緒で、とっても楽しそうです。おみやげやさんでは、みんなそれぞれ好きなものを選んでいて、なに買うの? と、やっぱりページを隅々までじっくり見ました。

写真を撮るシーンもいいですよね。プチサプライズ(?)で、100ぴきの集合写真が付いているのも好評です。



古沢:びっくりするくらい、みなさん「あれがいい!」と言ってくださって(笑) 

でも描くのは大変でした。絵本用に描いている原画よりもサイズが小さいので、より細かくて…。気に入っていただけて、ものすごく嬉しいです。


當田:次回の3作目も、どこかにおでかけですね?


古沢:はい、おでかけします。どこへ行くかは、まだ内緒です(笑) 

「100ぴきかぞく」はまだまだ描いていきたいと思っています。

1作目、2作目では着ている洋服が同じですが、おでかけ先によっては変わるかな…とか、いろいろ考えています。


當田:お楽しみがいっぱいのシリーズになりそうで、嬉しいです! 今後ともよろしくお願いいたします。




書名:100ぴきかぞく

   100ぴきかぞく ゆうえんちへいく

著者:古沢たつお

出版社:大日本図書

定価:1,430円(本体1,300円+税)

商品詳細ページ:https://www.dainippon-tosho.co.jp/books/child/?type=fw&series=%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%E3%81%B4%E3%81%8D%E3%81%8B%E3%81%9E%E3%81%8F%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA


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