Insta360マーケティング総責任者が語る、X4誕生の裏側と、X3成功の秘訣、日本市場での取り組み
Insta360は、全天球VRカメラで世界シェアNo.1を誇る、業界のリーディングカンパニー。世界で大ヒットとなった、360度カメラXシリーズの4世代目となるInsta360 X4を2024年4月16日に発売。360度カメラでは画期的な8Kを実装し、発売以来、クリエイター、バイク乗り、アスリートといった、幅広いユーザーから支持されています。
発売を記念して、Insta360ユーザーでありクリエイターの大川優介さんを深圳にあるInsta360本社へお招きし、Insta360マーケティング総責任者のMaxにインタビューしていただきました。
新製品8K360度アクションカメラInsta360 X4の開発秘話から、開発にあたり課題、Isnta360 X3が成功した理由、日本市場での取り組み、これからについて対談形式でお話しさせていただきました。
ー新しい360度カメラInsta360 X4が発表されましたが、これについてどう思いますか?
Max: 素晴らしい気分です。これは当社にとって大きなマイルストーンです。まず、これは当社の主力製品シリーズで、360度カメラをご存じの方は、360度カメラといえばInsta360という認識を持っていらっしゃるでしょう。そして、このカメラを新しいレベルに引き上げたことを非常に誇りに思っています。画質を向上させ、より堅牢にし、レンズガードを着脱式にしました。さらに、ソフトウェアとモバイル側のUXに専門技術を投入しました。全体的に見て、本当に次世代の製品、将来業界をリードする360度カメラになると思っています。
Insta360 X4
ーInsta360 X3はヒット製品となりましたが、要因についてどう考えますか?
Insta360 X3
Max: Xシリーズは、多様なタイプのコンテンツを作成することを目的としています。アクションといった特定のタイプの映像だけではなく、クリエイティブな多様なショットが撮影できます。
一般的に人々が撮影する従来なショットだけでなく、このカメラを使えば自分の創造力を発揮できます。それがこのカメラをとても興味深いものにしている理由です。
特定なシーンだけでなく、バイク乗り、ウィンタースポーツアスリート、クリエイティブなビデオグラファー、写真家、 誰もがクリエイティブになれる、すべての人に向けたカメラです。X3で特に際立った点は、ユーザーがX3で作り出したコンテンツです。
私たちは毎日 Instagramや、Tik TokといったSNSプラットフォームをチェックしており、ユーザーが生み出すものに驚かされています。その中の一つが、360度カメラを口に咥えて撮影する「ノーズモードチャレンジ」というもので、実は日本のユーザーの発想から生まれました。
360度カメラを口に咥えて撮影する「ノーズモード」
そして、ユーザーが毎日カメラで作成する映像からインスピレーションを得ています。それが最終的には成功だと考えており、カメラの成功の要因は、多様なシーンで使えて創造的、様々なタイプの人々が使えるカメラだったという事ではないかと考えています。
ーX4はX3からどのように進化しましたか?
Max: X4とX3を比較すると3つの主な改良点があります。一つ目は、画質です。5.7Kから8Kへとアップグレードし、8K30fpsで撮影が可能です。カメラ好きのクリエイターの方は特にこの点を喜んでもらえるでしょう。なぜなら、初めてシネマティックなVlogやシネマティック映像に360度動画を非常にスムーズに統合できるようになったからです。これは多くのコンテンツクリエイターにとって、本当にゲームチェンジャーになると思います。さらに画質の向上と、性能の向上に関連して、フレームレートも向上しました。5.7k 60fpsで、4K100fpsで360度撮影できるようになりました。これにより、創造的でシネマティック、クリエイティブな可能性が広がります。ユーザーがそれらを利用してどんなコンテンツを作るのか私たちは楽しみにしています。また、私たちはユーザーの意見にも常に真摯に耳を傾けています。ユーザーの意見を反映したものの一つが、レンズガードです。
Insta360 X4着脱式のレンズガード
以前から、魚眼レンズが剥き出しで傷つきやすく扱いづらいという指摘があり、その意見に傾け解決策を検討し、新しい取り外し可能なレンズを設計しました。これにより、レンズを守りながら、傷がついても簡単に交換できる様になりました。特にアクションスポーツ、山、トレイルといったアウトドアでの撮影の際に安心して撮影してもらえるようになりました。
3番目は、新しいリフレーム方法が追加され、AIを活用したアプリの可能性を押し広げたことです。
新しいリフレーム「クイック」を使用したアプリでの編集
60度カメラは撮影してから後でアングル調整できるため、創造の可能性を生み出します。しかし360度映像を編集するには、時間や手間がかかります。そこで私たちはAIを活用しました。AIを活用して最高のショット、瞬間、アングルを見つけられ、ユーザーが可能な限り簡単に編集できる様にしました。そしてそれが私たちのミッションであり、360度編集を一般の人に馴染みやすいものにしたいと考えております。
ー360度カメラには将来性があると思いますが、まだ市場で広く普及していない様です。X3の強みはなんですか?
Max: 顧客に寄り添ったアプローチをとってきたことに関係していると思います。
Insta360の本社内を歩くと気づくと思いますが、社内の壁には多くのミッションステートメントが貼られており、そのうちの一つが「ユーザーセントリック(顧客中心)」という考え方です。
本社に貼られたミッションステートメントの数々
エンジニアやマーケティングチームはFacebook グループやモバイルアプリでユーザーがどのようにカメラを使用しているか日々確認しユーザーの声に耳を傾ける様にしています。絶え間ないユーザーからのフィードバックにしっかりと耳を傾け、カメラの弱点を明確にします。そしてそれらの改善点は、すぐに改善できるように取り組んでいます。これらは数ある事例の例になりますが、課題を見つけた時には、Facebookグループやエンジアグループにフィードバックをしどのようにしたら改善できるか徹底的に話し合います。そして簡単な修正はファームウェアのアップデートなどで対応します。
このようにソフトウェアとハードウェの両面でカメラを進化させています。これがInsta360が限界を押しあげ、進化し続けることができた理由かもしれません。
ーInsta360が支持されている理由をどう考えますか?
Insta360深圳本社
Max: それは、当社がソフトウェアの開発に力を入れていることと関係があるかと考えています。実はエンジニアの60%がソフトウェアエンジニアです。カメラメーカーはハードウェアエンジニアを多く雇っていると考えられがちですが、当社はソフトウェアにより注力しています。ハードウェアは将来的に似通ってきます。私たちの強みはソフトウェア面であり、常に注力してきました。そして360度カメラに投じた多くの研究開発と投資を、他のタイプのカメラにも活用しています。Insta360が独自に開発した追跡アルゴリズム「ディープトラック」等は、Flowにも、他のカメラにも組み込まれています。また、 X3で開発したAIを活用したジェスチャー操作は、Ace Proでも搭載され、 X4にも組み込まれています。
そしてこれらの機能の多くは、実際にはソフトウェアによってもたらされたものです。そして昨今では更にAIによりもたらされています。最近ではAIを活用したソリューションに取り組む専任のAIエンジニアを約100人採用しました。編集ラボ(英語名: Shot Lab)シリーズといったAIを活用した自動編集だけでなく、PureVideo、PureShotをいったAI機械学習を活用した画質の向上に至るまで、AIを活用した機能がすでに実装されています。
様々なカメラメーカーがありますが、当社は他社と比較して、ソフトウェア面において強みを持っています。これからも、常に新しいもの作り、常に新しいものにアップデートし続けて行きます。
ーX3について、日本での反応はどうでしたか?
Max: 日本市場においては、X3は非常に成功し、世界でトップ3に入る市場の一つです。日本のユーザーはカメラをとてもクリエイティブに活用していると思います。また、多くのクリエイティブなキャンペーンを展開し、例えば、「No Drone No Problem (ドローンなしでも問題ない)」というキャンペーンでは、カメラを自撮り棒に取り付けてドローンショットを真似て撮影してもらいました。すると、人々はこれがドローンで撮ったものなのか、違うのか疑問に思うでしょう。私自身も数年前に東京の渋谷の交差点でNo Drone No Problemショットを撮りました。日本ではドローンの使用について承認を得るのが大変ですが、そういった場合に360度のカメラを自撮り棒につければ、自撮りで素晴らしい第三者視点のショットが撮影できます。
No Drone No Problem ショット
そういった制限があるからこそ、日本では、多くの創造性が生まれていると考えてます。しかし、昨今では冬季スポーツやバイクのアプリケーションも増え、伝統的にカメラの大市場である日本は今後も成長が見込まれています。360度カメラの利点をより多くの人に知ってもらいたいと考えております。きっと知ったら、試してみたいと思ってくれるでしょう。そして、X4の発売により、日本市場も将来的に私たちにとって重要な市場になると確信しています。
ー他の市場と比較して、日本市場での課題は何がありますか?
Max:一番の課題は間違いなく「ローカライゼーション」だと思います。つまりコンテンツを日本市場に合うように最適化することです。日本の文化は米国や中国とは異なり、間違いなく独特の特徴がありますが、現在、日本支社には15人弱のローカルスタッフが働いています。よりお客様に近い商品を展開することや、人々が手にしやすいように心がけています。そしてオフラインでの体験や実物を見てから購入するといった、日本人の購買行動のニーズに応えるようにしています。
ーX4の開発における最大の挑戦は何でしたか?
Max:最大の課題は、画質の向上と、8K 画像記録などの容量向上をどう組み合わせるかを考えることでした。8K映像の記録には大量のデータ処理を必要とし、より優れたチップセットが必要になります。そのため、カメラに5nm AI チップを搭載し、大容量のデータを処理できるようにしました。しかし同時に、ファイルサイズが非常に大きくなってしまうという課題にも取り組まなければなりませんでした。そのため、プロキシを使用し8K映像を簡素化させました。例えば、8K映像をスマートフォンに取り込んで編集する際、プロキシバージョンが作成され、書き出しできます。また、Wi-Fiを使用した編集機能もあり、ワークフローの改善により、8K映像の扱いが容易になりました。すべてをダウンロードする必要はなく、モバイルアプリ、サービスを通じて行え体験も非常にスムーズです。画質を向上しつつも、UXも高く保つのが難しい課題でしたが、カメラ内のハードウェアとチップセットのアップグレードにより達成いたしました。
ーAIの進化が著しいですが、X4とアプリケーションにAIを実装することの実用的な利点は何ですか?
Max:Insta360 X4には2種類のAIがあります。まず、この新しいAI搭載の5nmチップでは、処理速度が速くなり、データをはるかに速く処理できるため、ユーザーに優れたエクスペリエンスを提供できます。
次に、画像の微調整、画質強化アルゴリズムに関しても、多くの人が当然のことと考えていますが、実際には多くの機械学習が必要です。例えば、PureVideo、PureShotなどのアルゴリズムは、 HDRや画像補正技術をまったく新しいレベルに引き上げます。次に、私たちが特に注力しているのは、AIを活用した編集体験です。360度映像を編集するには、通常時間と労力がかかりますが、AIを活用することで、AIが最高の瞬間を選び出し、時間と労力を省いてくれます。従来のアクションカメラでは、編集が常に問題でした。私はスキーヤーなので、スキーに行くとたくさんのコンテンツを撮影しますが、結局使わなくなってしまった経験があります。しかし、AIを使えば、ボタンを押すだけで、少なくとも友人や家族と共有できるショットをいくつか撮ることができます。AIは、多くの人が映像を活用できるようにし、大幅な時間と手間節約するのに役立っています。私たちは、これらのアルゴリズムをさらに強化して、360度映像と360度編集をより簡単にしたいと考えています。
ーこの競争の激しい市場で成功するための戦略はありますか?
Max:カメラ業界は、スマートフォンだけでなく一眼レフカメラ、プロ向けのカメラ、従来のビデオカメラなどとの競争が考えられ、競争が激しい業界です。そのため、私たちのアプローチは常に、市場にあるものを単にコピーするのではなく、新しい製品を出す場合は常に異なる何か、業界を前進させる何かを追加する必要があると考えています。360度カメラも、最初はヘッドセットや仮想現実で見るためのアプリケーションのようなものだと誰もが思っていましたが、実際には旅行向けのポケットサイズのカメラや革命的なアクションカメラとして人気が出ました。なぜなら、360度カメラには他のカメラにはない多くの利点があります。その場を瞬間的に撮影でき、すべてを撮影し、後で最高の瞬間、最高のアングルを選択できます。まさにタイムマシンのようなものです。360度カメラがあれば、本当に時間を捉えることができます。Insta360製品のDNAを見てみると、常に新しい機能、機能の強化、常に従来の製品とは異なるものがあることがわかります。それが私たちがやり続けたいと思っていることであり、ユーザーの声に耳を傾け、彼らからインスピレーションを得ることが成功への究極の鍵だと思います。
大川さんとMaxとの対談は動画でもご覧いただけます。
インタビューの全文は、Insta360公式Blogで掲載しております。
Insta360とは
2015年に創業したInsta360は、全天球VRカメラで世界シェアNo.1を誇る、業界のリーディングカンパニー。「未来のカメラマン」(Future Camera Man)というビジョンを持ち、「未来のカメラマン」として、イメージングアルゴリズム、AI、機械制御、音響、光学の研究を推し進め、人々が自分の人生をより良く記録・共有しやすい世界の実現を目指します。
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