食用バラで産業の6次化を実現する農家育成プログラム。山形県村山市を拠点に展開するナカイローズファームがこれまでの歩みを振り返る
#プロジェクトの裏側 #農業 #地域活性
株式会社バラの学校〈ナカイローズファーム〉は2011年創業当初より
CSV経営を念頭に
・耕作放棄地
・農業界の担い手不足
・健康寿命延伸
・自然災害
・ボーダーレス社会
などの社会課題解決を目指す企業として活動して参りました。
その主力となる事業が『食用バラ教育プログラム』です。
食用バラ栽培から加工、販売までを包括する教育プログラム
当社がご提案する食用バラ農家を育成するための『教育プログラム』のメンバーアカウント数は現在70件を超えました。
このプログラムは食用バラを生業にするための
栽培→食品・コスメなどへの加工→販売・マーケティング
までの一連の流れ(いわゆる6次化)を苗付きのパッケージとしてご提案しております。
累計栽培本数19,247本を達成したプログラム
・社会経験のない主婦の在宅副業
・高収益作物への転換を目指すプロ農家
・異業種企業の新規事業
・定年されたご夫婦のセカンドステージのライフワーク
・地域活性の切り札
・就労継続支援B型事業所の利用者ニーズへのマッチング及び工賃確保の手段
法人・個人問わず様々な属性の方々にお取り組みいただいております。
メンバーそれぞれが食用バラを通して描いた夢を実現するためのお手伝いをさせていただいております。
プログラムメンバーと当社合算での累計栽培本数は19,247本です(7月15日現在)。
食用バラというまだあまり知られていない農作物というポジションの中で
スケールメリットで食用バラ市場の底上げと認知度向上をはかっています。
2024年6月には初めてのメンバーズ合宿も開催。
メンバーそれぞれが食用バラで実現したい夢を語り明かし、
メンバー同士の横の強い絆も生まれました。
ここに至るまでの2年間のストーリーを専務取締役のわたくし中井貴宏がお伝えいたします。
電機業界、住宅業界など様々な業界を経験。農業界を毛嫌いしていた理由と背景
2022年春、株式会社バラの学校〈ナカイローズファーム〉の専務取締役に就任。
大学は経済学部、新卒で入った会社(現:パナソニック)でも営業・マーケティング、その後 本社経営戦略企画部門にてCIやCC(コーポレートコミュニケーション)に従事、
40歳で独立後も販売やマーケティング中心の会社を経営。
サラリーマン時代に電機業界・住宅業界、
独立後は自動車業界・ECサイト・コンサルティングなど様々な業界に携わってきましたが、
一貫しているのは身体を使わない仕事であること。
農業界は完全に毛嫌いしていました。
というのも東北出身の我が家系は祖父母より上の代はほぼ全員が農家。
実家や親せきの家に行く機会があっても、
農家の3K「きつい・汚い・危険」を目の当たりにして
物心ついた頃から1番なりたくない職業でした。
結婚をきっかけに。家族の忙しさを見て農業界に関わる決意
祖父母に反発するかのように
その子供であるわたしの両親は国家公務員の事務職。
それを見ていたわたしも何の迷いもなくホワイトカラーの仕事を選択しました。
そんな自分が農業界に参入したきっかけは創業者 兼 現社長の中井友實榮との結婚です。
一緒に暮らしたことがないままで結婚をしたのでまったく気付かなかったのですが
朝起きてから夜寝る間際まで家でバラの学校の仕事をしているんです。
「そんなに大変なら手伝おうか?」と最愛の家族が忙しそうにしているのを見ていられなかったのがわたしが農業界に参入したきっかけです。
よくわたしはセミナー・講演会などでお話しさせていただくときに
6次化について触れることもあるのですが
私はこういう例をお伝えしています。
※ちなみに6次化とは1次(農林水産業)×2次(食品などの製造業・加工業)×3次(小売業)の掛け合わせのことです
6次化とは。。。
大間のマグロ漁師さんが最終的には銀座のお寿司屋さんを繁盛させること。
また
山で木を切っている木こりのおじさんが最終的には住宅展示場で接客してローンも組んで建売を売ること。
ほぼ無理ですよね。
今でこそ農林水産省もトーンダウンしていますが
かつては6次化を推奨していました。
その6次化を自社で完結させていたのが当社です。
食用バラを栽培して、
様々な加工品を考えて試行錯誤し、
販売までこぎつける。
この一連の流れを
中井友實榮がほぼひとりでやっていました。
それは寝る時間もありませんよね。
結婚して2人体制で活動することになった2022年は
ちょうど当社が活動の本拠を山形県村山市に移した時期でもあり、
役員2名体制になりいわば「第二創業」と言えるかもしれません。
わたしが株式会社バラの学校に入社して最初に着手したのが
事業の集中と選択。
それとCI(コーポレートアデンティティ)・ブランディングの見直しです。
当社は10人弱の小さな会社です。
政策と商品を見据えた2軸戦略の重要性。『株式会社バラの学校』という社名の意義
できることも限られていますし、
たくさんの事業をやっていたのでは力が分散してしまいます。
事業戦略を立てるには
政策(ソフト面)を縦軸に、
商品(ハード面)を横軸に見据えた2軸で考えなければいけません。
『株式会社バラの学校』という社名は
創業者:中井友實榮がバラを通して人生を変えられる何かを伝えたいという強いメッセージを込めて付けました。
バラの葉100%のお茶「ローズリーフ®」を事業の柱に。異郷の地・山形県村山市で認知度向上を目指す
【学校】という言葉がつくからには教えることが柱となる事業となるべきです。
そこで今回のストーリーで取り上げている『教育プログラム』を事業の主たる柱としました。
ハード面においては複数ある商品の中から
特許も商標も取得しているバラの葉100%のお茶『ローズリーフ®』に絞ることを選択しました。
※ローズリーフ®の詳細については過去に配信したストーリーをご覧ください
↓
それからCI・ブランディングにおいては
わたしが結婚した(まだ入社前)に気になったのは、
当社サイトのドメインが baranogakkou.co.jp と社名由来にも関わらず、
サイトに入ると商品のブランド名である〈ナカイローズファーム〉一色だったことです。
サイトに限らず至るところで社名とブランド名が混在していました。
たとえば新入社員のわたしがどこかに電話する際にも社名とブランド名のどちらを名乗れば良いのか?
そんな単純なことすら明確な指針がありませんでした。
2022年に山形県村山市で活動を本格化させた当初、
2人とも全くの異郷の地で何の縁もゆかりもなく当社の認知度が低いこと、
合わせて食用バラは農作物としての認知度がさらに低いこと、
農家として食用バラを栽培しているだけではなく食用バラ農家を育成している企業であることを認知していただくこと、
これらの理由により社名を強烈に露出させる作戦に切り替えました。
どこに行っても
どこに電話するのも
まず『株式会社バラの学校』と名乗りました。
山形県村山市は市の花がバラであり“バラのまち”です。
市民の方々も他市町村よりはバラに対する思い入れがありますが、
食用は馴染みがありません。
いまだに市内に食用バラ農家は当社を含め3軒しかありません。
活動を開始した2022年は
ネットで調べられる限りで全国に食用バラ農家は20~30軒しかありませんでした。
わたしは新卒のときから電機メーカーで前線の営業に15年間携わっておりましたので
【シェア】というとらえ方がくせ付けされています。
・商品別
・エリア別
・得意先別
自社がいまどのポジションで、
競合他社がどこにいるか
常に意識しています。
教育プログラムに注力しようと決めた2022年に
食用バラ農家そのものを育成しようとしていた企業はありませんでした。
全国の食用バラ農家さんは総数は少ないながらも
それぞれ自社の強みを生かし何かしらに特化した動きをされています。
・コスメに特化する
・飲食店やシェフ・パティシエなどへの材料販売に徹する
・オリジナル品種を育種する
・自社でカフェを運営して食用バラの需要喚起を行う
様々な形態があるなかで
当社はたくさん商品・サービスはあれど【どっちつかず】な状態だったかもしれません。
2022年活動当初の食用バラ教育プログラムは
50万円~300万円という高価格帯で売り出しました。
これはわたしの強い思いです。
わたし自身も起業家として複数のビジネスを立ち上げてきましたが
「事業をスタートするうえでその程度の金額で覚悟ができないのであれば、そもそもやめておいたほうが良い」
と思っているからです。
そして中井友實榮自身も食用バラで農業界に参入するにあたり何も経験がない女性なのに
1,000本で栽培をスタートさせています。
時代に合わせた価格体系の見直し。本業化のリスクと副業からのスタート
わたしたち2人は「事業性を持たせるならそれくらいのリスクは取って当たり前」と思っていました。
でもこのわたしたち2人の考えかたは時代錯誤だったかもしれません(笑)
1年経って2023年に価格体系を見直し、
10本10万円~のパッケージを発売してからメンバー数は激増しました。
2022年当初のパッケージでは最低でも数百本単位なので本業にせざるを得ません。
食用バラをきっちり育てて収穫量を見込めるようになるまで3年はかかります。
つまり本業にしてしまうと3年は収入がほとんど見込めないということになります。
ですので最初は少ない本数で副業から取り組まれるかたが多いのは時代の流れかもしれません。
とはいえ今でも数百本単位の大口で申し込まれるかたはたくさんいます。
やはり数百本単位で申し込まれるメンバーさんは迫力が違います。
育てる前に食用バラ加工品を売ってきます(笑)
これもわたしたち2人が意識していることです。
食用バラに限らず何かしら事業を立ち上げるなら【割り算】で考えることをメンバーには伝えています。
6次化の当面の目標は「売り切ること」です。
まずは売ってくる。
それから加工法を考える。
そしてそれに合う品種を栽培する。
完全に順番が逆ですね(笑)
いささか乱暴に聞こえるかもしれませんが
様々な事業を立ち上げきたわたしたち2人にとってはこれは【当たり前】なことです。
普通であれば、
栽培する
↓
収穫する
↓
さて商品は何にしようか?
↓
加工はどうしようか?
↓
販売チャネルはどうしようか?
この【足し算式】のプロセスだと当初描いていたスケジュールがどんどん遅れていきます。
そして『言い訳の天才』になってしまいます。
キツい言いかたかもしれませんが事実です。
一般的な農家さんが6次化でうまくいかないのはこれをやってしまうからです。
収穫してからメニューを考えます。
すると、できあがる商品はジャムかジュース、
販売経路は身内・知り合い・直売所がせいぜいです。
2022年の第二創業時に
当社は山形県村山市で新しい農地を借りました。
今でも心に残る地主さんの言葉。百姓の本来の意味とその誇り
その農地の地主さんと初めてお会いしたときの言葉は今でも覚えています。
その地主さんは市の農業委員会の役員もされていたり、
地域の土地改良区の理事長さんでもあります。
そんな現代の地域の守り神のようなかたから教えていただきました。
「中井さんね、農家のことを昔は百姓と言ったでしょ。
あれは百の姓(苗字)を持っているという意味なんだよ。
昔の苗字は屋号であり、屋号は職業だった。
下駄屋、八百屋、酒屋、風呂屋、
だから百姓とは百の姓(=仕事)を持つという意味なんだよ。
今日は晴れるのか雨が降るのか(=気象予報士の仕事)、
機械が壊れれば直さなければいけない(=整備士の仕事)、
ハウスだって修繕しなければいけないし(=大工さんの仕事)、
田んぼの水の管理もしなければいけないし(=設備屋さんの仕事)、
病害虫の駆除も最適なものをあてがわなければいけない(=薬剤師・化学者)、
だから百姓(=農家)というのはマルチなスキルが求められる誇り高き仕事だったんだ。」
これは農業(1次産業)だけの話です。
6次化を目指す際に2次と3次で納得いくまで時間をかけているとさらに何百倍・何千倍の労力が想定されます。
そうするとどこかで手抜きをしてしまうか、
もしくはタイムオーバーになるだけです。
だからわたしたち2人は【割り算式】を推奨しています。
このやりかたはわたしたちがたくさん『失敗』をしたからこそ言えることです。
当社は中井友實榮を中心に約15年で億単位の『失敗例』を蓄積してきました。
これこそが最大の財産です。
※千葉県館山市で台風に遭った後の画像
※山形県村山市で大雨による水害の後の画像
だからこそ
食用バラを生業にして3年で収益化できるスキームを構築することができました。
露地栽培のバラがもたらす健康効果。『食用バラ教育プログラム』の拡大と目標
それから
6次化が苦痛に感じるかたがおられるかもしれません。
もう既にお気づきかもしれませんが、
1次と2次と3次では求められるスキルや能力は違いますし、
働かせる脳の部分も違います。
なかでも【売ること】にものすごい抵抗を感じるかたもおられるでしょう。
既存の農家さんには多いパターンです。
農家さん向けのセミナーなどで「高収益作物としての食用バラ」のお話をさせていただくと、
「頑張って作るから買い取って欲しい」というお話はよくあります。
農家さんではなくても
「お日様のもとで身体を動かす農業という仕事にものすごい魅力は感じるけど自分で売る自信がない」というかたもたくさん相談をいただきます。
そのような農作業(1次)のみされたいかた向けのプログラムもご用意しております。
実際に(新卒以来デスクワークしかしてこなかった)わたしも屋外で仕事をするようになって3年目ですが、
単純な話ですが、
太陽を浴び、土を踏みしめ、小鳥のさえずりを聞くだけでも健康になり、
さらにはバラの芳香成分で心身ともに好影響を及ぼし、
これが
育てる人も、消費する人も、
心身が健康になる露地栽培のバラなんだと実感しています。
役職柄、毎日外に出ている訳ではありませんが、
今の1番の楽しみは
農福連携でお世話になっている事業所の利用者さんたちと他愛もない話をすることです。
このような形で2年前に注力し始めた『食用バラ教育プログラム』はアカウント数が70軒を超え、
わたしが意識している【シェア】の概念で言うならば、
数年後には
全国にある食用バラ農家さんの50%以上が当社の卒業生及び在校生であることをイメージしています。
「え? あなたも中井さんに習ったの? わたしもー!」
こんな会話が聞こえてくるのを楽しみにしています。
当社の次のステップとしては
主旨に賛同いただいた70軒のメンバーさんがきっちり生業として収益を上げられるようお手伝いすることです。
食用バラは【食用】と冠がついている農作物ではあるものの
お米や野菜のような主食にはなりません。
もともとはヨーロッパやアフリカなどで“薬草”のような扱いで重宝されていたものです。
一番有名なのは3大美女の1人であるクレオパトラです。
クレオパトラはその美貌とバラで
エジプトから4,000㎞離れたローマのカエサルやアントニウスを魅了していたとされています。
今でいう【食用】の使い方です。
これは約3,000年前の話です。
日本での食用バラの歴史はまだ数十年ですのでゼロが2つくらい違います(笑)
食用バラの可能性はたくさんありますが
1社では不可能なこともたくさんあります。
それがグループだったらかなうかもしれない!
そう思い、『食用バラ教育プログラム』は近日中にさらなる進化を遂げます!
それから
冒頭にお伝えしました社名露出強化(CI)は
食用バラ(農家育成のための)教育機関であるという一定の役割を果たしたように感じますので、
ブランドロゴを統一しました。
これにより(従来のピンク文字『バラの学校』)社名ロゴは廃止します。
事業領域については従来通り
・食用バラ教育プログラム(ソフト面)
・ローズリーフ®(ハード面)
の2本柱で推進して参りますので
引き続きご愛顧賜りますよう
よろしくお願いいたします。
食用バラ教育プログラム:https://www.baranogakkou.co.jp/page/226
ナカイローズファーム公式サイト:https://www.baranogakkou.co.jp/
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ