カラオケメーカーと店舗の立場から語る、コロナ禍を生き抜くJOYSOUNDの戦略 ~歌う場所を超越した、新たなエンタメ空間への進化~
新型コロナウイルスの蔓延により、いまだかつてない苦境に立たされているカラオケ業界。「コロナ禍を生き抜くカラオケの戦略」をテーマに、カラオケメーカーであるエクシングと、その子会社でJOYSOUND直営店を運営するスタンダードの宣伝広報戦略を担う二人に語ってもらった。
寺本 勝哉
株式会社エクシング
経営戦略部 副部長 兼 宣伝広報グループ グループ長
益田 康久
株式会社スタンダード
営業企画部長
カラオケ業界を襲った未曽有の危機
―今年4月、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて「緊急事態宣言」が発出されましたが、それぞれどのような影響がありましたか。
益田:休業要請を受けて、全国の多くのカラオケ店舗が臨時休業を余儀なくされました。JOYSOUND直営店も当時営業していた124店舗(飲食店含む、カラオケ店舗は109店舗)を一時休業しました。もちろん、このような事態は開業以来はじめてのことです。先の見えない状況に、不安や戸惑いはもちろんありましたが、営業を再開した際、お客様をより安全にお迎えするための準備期間として、全社一丸となって対策を進めました。
寺本:エクシングでも、コンテンツ配信やキャンペーンの延期や中止など、その影響は甚大なものでした。今秋に決勝大会の開催を予定していた「JOYSOUND全国カラオケ大会2020」の中止も決定。楽しみにしている方も多く、感染対策を施した上で、なんとか開催できないか模索しましたが、出場者の皆さまや、関係者の方々が感染するリスクを完全に払拭することはやはり難しく、苦渋の決断となりました。私自身、非常に悔しいですが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束した際には、歌うことの楽しさや気持ちよさを広く皆さまに体感していただく場として、改めての開催を目指したいと意気込んでいます。
それでも、人々の歌いたいという気持ちに応えつづけたい
―多くのカラオケ店舗が休業するなか、カラオケメーカーとしてできることはありましたか
寺本:多くの店舗が休業し、物理的にカラオケというサービスが提供できないという状況で、我々に何ができるかを考えました。カラオケに行けない状況でも、人々の歌を愛する気持ちや、歌いたいという気持ちは決して消えません。その心の火を絶やさぬよう、歌う楽しさをお届けし続けることこそ、カラオケメーカーとしての我々の重要な役割であると再認識しました。
当社では、スマートフォンやゲーム機などに向けて家庭用カラオケのサービスを展開していますが、より多くの皆さんの声に応えられるよう、人気曲のカラオケ映像300曲をYouTubeの公式チャンネルで無料公開しました。SNSでは「こどもと一緒にカラオケ大会しました!」などといったコメントも見られ、自宅でのカラオケの練習はもちろん、家族同士のコミュニケーションにお役立て頂けたようです。
このほか、自宅で気軽に運動が行えるエクササイズ映像44本も無料公開しましたが、これは当社が高齢者施設などに向けて展開している機器に搭載しているコンテンツです。できることが限られるなか、我々が持てるコンテンツを駆使して、少しでも皆さんのお役に立ちたい、という一心でした。
益田:在宅勤務の機会も増えましたが、どうしても運動不足になり、ストレスも溜まりますからね。知人からは、テレビ会議の前にこのコンテンツを活用しているという話も耳にしましたが、わたし自身も家族で一緒に挑戦してみました。音楽に合わせて体を動かすことで、気軽に気分転換ができるので助かりました。
より安心してカラオケを楽しんでもらうために
―緊急事態宣言が解除された後、全国の多くの店舗が営業を再開しましたが、それぞれどのような対応を行いましたか。
益田:JOYSOUND直営店では、お客様に安心してご来店いただけるよう、業界団体のガイドラインに則り、従業員のマスク着用、マイク・リモコンなどの除菌を徹底。飛沫防止シートやソーシャルディスタンスサインの設置をはじめ、収容人数の50%までの入室制限、お客様貸出用のアルコール除菌剤や使い捨てマイクカバーのご用意など、何項目にもわたる感染予防対策を全国で実施しています。特に、貸出用のアルコール除菌剤はお客様から「歌唱の度にマイクを除菌できる」と好評です。また、お客様ご利用後の清掃時、マイクなどに使用している除菌剤が、経済産業省より「新型コロナウイルスに有効な界面活性剤」である「アルキルアミンオキシド(0.05%以上)」を使用していると、5月に公表されたことは嬉しいニュースでした。
ただ、さまざまな対策を講じていることを公表しても、窓がないカラオケルームは換気の面で不安を感じるお客様が多い状況です。実はカラオケルームの換気は、防音上窓やドアを開けて換気ができない分、建築基準法上窓がある空間よりも厳しい換気性能を求められており、JOYSOUND直営店では全室およそ6~9分毎に室内の空気が入れ替わるようになっています。お客様にこういったエビデンスをいかに分かりやすく告知し、より安心してご利用いただくことができるかが課題と考えています。
寺本:そうですね、お客様により安心してカラオケに足を運んでもらうことは、店舗の営業を下支えするカラオケメーカーにとっての命題でもあります。私たちが7月に発表したマスクをしたままでも歌声がこもらずに気持ちよく歌える新機能「マスクエフェクト」も、そのための提案の一つです。
このコロナ禍で「カラオケに行きたくても行けない、行き辛い」といった先の見えない我慢を強いられるなか、「できるだけ早く、安心して気持ちよくカラオケを楽しんでもらいたい」という開発者の強い想いもあり、開発期間1か月でサービスを開始しました。
「マスクエフェクト」のほかにも、スマートフォンを自分だけのカラオケリモコンとして使えるアプリ「キョクナビJOYSOUND」や、遠隔地でもデュエットが楽しめる「うたスキ動画」など、いまこそ活用頂きたい便利な機能がたくさんあります。これらは、カラオケの楽しみ方の「新様式」として、訴求していきたいと考えています。
▽カラオケの楽しみ方『新様式』特設ページ:https://www.joysound.com/web/s/karaoke-newstyle/
コロナ禍を経て、カラオケは“歌う場所”を超越した空間へと進化する
―収束の目途が立たない状況が続いていますが、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた取り組みについて教えてください。
益田:今回のコロナウイルスの蔓延をきっかけに、通常のカラオケ利用以外の需要を取り込もうとする動きは、業界全体で加速しています。在宅勤務を行う方が増えたことを背景に、当社でもプロジェクターの利用に加え、電源タップ、HDMIケーブルの無料貸し出しを実施。平日は開店から20時までのフリータイム、ソフトドリンク飲み放題付きで980円(税別)などのプランを打ち出すなど、カラオケルームのテレワークスペースとしての利用を推進しています。
▽JOYSOUND直営店 テレワーク特設ページ:https://shop-joysound.com/telework/
寺本:我が家もこどもがまだ小さく、自宅ではなかなか仕事にならないので、よくカラオケルームをテレワークに利用しています。防音なので静かで集中できますし、テレビ会議にも最適ですよね。飲み物や食べ物もすぐに注文できますし、なにより美味しい!息抜きにカラオケでストレス発散!というのも魅力の一つですね。
そういえば、先週末、家族でカラオケに行きました。こどもが生まれてからなかなか外食も難しいのですが、カラオケなら個室なので、こどもが少し騒いでも気にならないし、妻も久々にいい気分転換になったと喜んでいました。
益田:そうでしたか!個室なので取引先などとの電話や機密情報を扱う仕事もやりやすいですし、仕事の合間のカラオケは「息抜きに最適」と好評です。今は平常時のように大人数での宴会は難しいですが、ヒトカラや家族のような特定少数での利用であれば、感染リスクをある程度抑えられると言われていますからね。ファミリーでのご利用も、JOYSOUND直営店がいま注力しているポイントの一つです。特に小さなお子様をお持ちだと、ご自宅でも大声で騒いだり歌ったりすることが難しいですから、換気の良い完全個室はご家族とのカラオケはもちろん、ちょっとした飲食にも最適だと考えています。
このほか、JOYSOUNDのカラオケ機器は、ギターを繋いで楽しむこともできますし、緊急事態宣言解除後も今まで練習できていた公園や河原などでの練習が憚られるとおっしゃるお客様が、楽器練習の場としてカラオケルームを活用するシーンも多いですね。個室で音も気にすることなく過ごせるカラオケルームの良さを、もっと多くの方々に知ってもらいたいですね。
寺本:そうですね。もはや、カラオケルームは「歌うだけの場所」ではなくなりつつあるのかもしれません。音楽ライブや映画やアニメ、さらにはライブ・ビューイングなど、歌うだけでなく、観て楽しめるさまざまなコンテンツを配信する当社のサービス「みるハコ」も、まさにそのコンセプトです。
▽みるハコ 特設ページ:https://miruhaco.jp/
ちょうど9月11日(金)から、今年7月に開催したACIDMAN初の無観客ライブの映像の配信を開始します。本編の映像に加え、リハーサル風景や設営の裏側といった未公開映像を20分以上収録しており、今回はみるハコでしか見られない独占映像になります。
▽ACIDMAN “ THE STREAM ”ライブ映像+スペシャルドキュメンタリー
https://miruhaco.jp/archives/item/805232/
こうした、過去のライブ映像や映画、アニメなどの長編映像の配信にも注力していますが、現在、「みるハコ」のライブ・ビューイング対応店舗は47都道府県を網羅、対象ルームは5,000室以上となっており、今後、さまざまなライブの熱狂をリアルタイムに全国のカラオケルームにお届けしたいと考えています。
これは、身近にあるカラオケボックスで、大音量・高音質のライブ・ビューイングを、少人数の視聴でも楽しめるという、「新しい生活様式」に対応したサービスでもあると言えます。今年は非常に残念なことに、フェスやライブイベントの中止が相次いでいますが、自宅ではない場所で思いっきりライブを楽しみたいという声と、ミュージシャン・ライブハウス等を繋げることで、カラオケルームに新たなエンタテインメント空間としての価値を創出するとともに、音楽業界全体の活性化を目指していきます。
9月18日(金)には、親会社であるブラザー工業から、カラオケ業界をはじめ、コロナ禍で苦境に立たされた音楽業界を応援することを目的に、人気コスプレイヤーのえなこさんを起用した企業PR動画「あなたのブラザーでいたい。Music is on your side」の発表も予定されています。この未曽有の危機に対し、グループ一丸となり、これまでにない発想をもって立ち向かっていきたいですね。
▽ブラザーグループ 企業CMサイト
https://global.brother/ja/digest/special/?contents=3
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