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積み重なる「パイの実」の歴史 ~発売40周年を越えて~

著者: 株式会社ロッテ


層を重ねて、歴史を重ねて40年


パイの実は、日本でまだパイが洋菓子専門店のものだった時代に、本格的なパイの味わいを気軽に楽しめるようにと、1979年9月に発売されました。


発売40周年を迎えた昨年、さらにこんがり香ばしいパイの香りと味わいを楽しめる品質にリニューアルしました。パイの実に対して、重ねられた担当者の思いをお伝えします。


製法技術の発見


 1960年代後半から、日本ではチョコレートにビスケットなどを組み合わせたチョコ菓子が次々と登場。新しい食感が人々の口になじむようになっていき、1970年代には国内市場で大きな カテゴリーを築くようになっていきました。各社がユニークな商品開発に取り組むなか、ロッテも他社が真似できない新機軸の商品を生みだそうと模索していました。


 当時、社内の技術者が海外の展示会で生地と油脂を折り込んで重ねる折りパイの製造機械に着目し、工場に導入。そこから、パイの中にチョコレートを入れた一口サイズのパイ菓子という製法技術が生まれました。


 パイ菓子のなかでも、折り重ねた生地を型抜きして、そのまま均一にふっくら焼き上げて仕上げるのは非常に難度が高い製法でした。また中空構造(現代のコアラのマーチのようなもの)ではないため、 チョコレートの入れ方しだいでは繊細なパイ生地が壊れてしまう恐れがありました。そのためチョコレート注入機の機構設計や調整にも苦労を重ねました。


パイの実発売。名前の由来とは!?


 こうして1979年9月、パイの実が発売されました。多層のパイ生地が織りなすふっくらサクサクした食感とまろやかなチョコレート。パイが洋菓子専門店のものだった時代、本格的なパイの味わいを気軽に楽しめるチョコ菓子として一躍ヒット商品になったのです。

 商品名は、デザインの担当者が熱帯植物のパンノキから発想し、おいしいパイの実がなる不思議な森をイメージして命名しました。


~パイの実の由来~

 その実を焼くと、まるでパンのような風味のする熱帯植物の「パンノキ(パンの木)」がモチーフになっています。

 パンノキをみた当時のデザイナーが「次々とパンができる夢のような木」というイメージからひらめいて、パイが木になっているようなデザインを描き、「パイの実」と名付けました。

 そんな夢とおいしさがいっぱいつまったパイの実を、家族や友だちと、みんなでお楽しみいただきたい、という思いを込めています。


セカンドフレーバー展開の時代


 パイの実は、導入初期こそ新味を追加したことがありましたが、長くチョコ味一品の時代が続きました。定番ブランド強化が本格化した2001年の「パイの実〈高原のいちご〉」の発売をきっかけに、定期的に新しい味の商品を出していくようになりました。


 2014年には「甘くておいしいりんごのパイの実」で初めてりんご味を発売。アップルパイが非常にポピュラーであるように、りんごとパイの組み合わせは非常に好評でした。

 パイの実のようなロングセラーブランドは安心感がある一方、「何となく食べなくなった」「忘れていた」と、言われてしまうことがあります。 

 パイの実の場合、セカンドフレーバーを発売することは、お店でブランドを思い出してもらうきっかけづくりと捉え、メインターゲットと考える30~40代女性に手に取ってもらえるフレーバーを発売し、最終的にはチョコ味に戻ってきてもらう流れを考えています。


40年目のリニューアル。“香ばしさ”に着目! 


発売40周年が近づくなか、研究の担当者は出来立ての、香ばしいパイのおいしい香りをお客さまにお届けすることはできないだろうか、と考え、日々研究を重ねていました。

 ベーカリーの焼き立てクロワッサンも参考に、香ばしさを科学的に分析。香ばしいパイとしばらくたったパイを香気分析で比較した結果から失われている香りがあることを発見。この失われやすい要素を生地に練り込み、焼き上げることで、香ばしさを残すことに成功しました。

 合わせてチョコレートも、次々に食べたくなるように改良。 ほどよい優しい甘さがパイのおいしさを引き立てます。

 こうして、食べた時の満足感が高まるような仕立てにしました。


~リニューアルポイント~

①こんがり香ばしいパイ

「香ばしさ」の香りの要素をパイ生地に配合し、焼き上げることで、香ばしさを感じられるパイに仕上げました。開けた瞬間から、香ばしい香りが広がります。


②パイと好相性のチョコレート

パイのおいしさを引き立て、次々に食べたくなる優しい甘さのチョコレートに仕上げました。


第二定番確立へ! 〈深みショコラ〉 発売


 パイの実のリニューアルの後、マーケティング担当者は、定番品に続く“第二の柱”が必要と考えていました。「さらにチョコレート感を求められるお客様のニーズを満たしたパイの実を導入したい」と考え、調査を繰り返し、たどり着いたのが、深いチョコレートの味わいを楽しめる品質でした。


 そして、2019年9月に「チョコを味わうパイの実<深みショコラ>」を発売しました。 

 チョコレートに、深いカカオの味わいを出すために、通常のパイの実と比較して、カカオ分を約20%アップしました。

 パイはサクサクでほろ苦い、黒いココアパイを採用。食べた時に、ほろ苦いココアと深みの あるカカオのおいしさで、後引く余韻を楽しめる設計にしました。発売して6カ月<深みショコラ>は第二の定番として確立しつつあります。

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担当者インタビュー

マーケティング担当者

株式会社ロッテ マーケティング部

焼き菓子企画課

河村 宏介


 私はもともとパイの実が大好きで、入社面接でも 「パイの実に携わる仕事がしたい」と話したほどです。希望がかなって、1年半前からパイの実のマーケティングを担当させていただいています。

ちょうど40周年に向けての準備から携わってきました。調査をするとパイの実は「昔は買っていたけど、今は買わない」というお客様が多かったので、研究やデザイン担当と一緒に、どうやってそのようなお客様にもう一度パイの実を手にとってもらえるかと考え、品質を改良し、さまざまな施策を企画しました。

 リニューアルのタイミングで、『おおきなパイのみ』というチョコが入っていない商品を発売しました。ダジャレですが(笑)、今回、パイ生地の品質アップに成功したこともあり、お客様においしいパイの部分を思う存分味わっていただきたいという思いからです。「パイのみ」はそのまま食べてもおいしいのですが、シチューに入れたり、たこ焼き風にしたりと、アレンジができます。お客様からは意外性があって面白いという予想以上の反響をいただきました。(現在は終売)

 期間限定の商品に関して、昨年度はテーマを一新し、「ひとくちスイーツパイ」というシリーズもので展開しました。4月に第一弾として〈苺のミルフィーユ〉、7月に第二弾として〈クレームブリュレ〉、12月には  〈チーズケーキ〉を発売しました。

 もともとパイの実にはスイーツ的要素があるので、それを表現するために「ひとくちスイーツパイ」というコンセプトを考えたのです。食感とフレーバーのコンビネーションも楽しめるよう工夫しました。生地の色味にも変化をつけ、今までにない見た目にもこだわっています。非常に好評で、パイの実ブランドとしてのバリエーションを広げることができたと自負しています。

 今後のパイの実の展開にご期待ください。

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研究担当者

株式会社ロッテ 中央研究所 

チョコ・ビス研究部 ビスケット研究課

早坂 亞矢


 パイの実は温かい世界観やサクサクパイとチョコレートのおいしさで、40年間ずっとお客様に愛され続けているブランドであり、私自身も大好きな商品です。 パイの実のように、長い間愛されている商品の場合、お客様は「この味が私のパイの実」といったこだわりをお持ちです。ですから、変えて良いところと変えてはいけないところを見極めることが一番重要だと思っています。仮説を立てて試作品を作り、お客様に試食をしてもらって、評価していただいた要素を取り入れてリニューアルに臨むようにしています。

 私が担当になる前からリニューアルの検討は続いていたのですが、歴代の担当者が試作品を繰り返し作っても、現行の品質に勝てずに難航していたようで す。「これが私のパイの実」と思ってもらいつつも、「さらに美味しくなった」「もっと食べたい」と思っていただけるように何度も何度も試作とお客様へのヒアリングを繰り返しました。

 そんな試行錯誤の中で今回のリニューアルでは、 パイ生地のほうは、“香ばしい香り”を追求しました。パン屋さんに入るとパンが焼けるいい香りが漂ってくると思うのですが、焼き菓子にも共通する香りがあります。その香りを届けたいと思いました。また、その香ばしいパイとケンカをしないよう、チョコレートもまろやかに仕上げました。パイ生地とチョコレート、トータルで食べておいしく、もう一粒食べたい! と思ってもらえるような品質を目指しました。

 〈深みショコラ〉は、お客様のご意見を聞きながら、 カカオ感をしっかりと感じながらももう一粒食べたくなるような、ひと箱食べてちょうどいい現在の品質にたどりつきました。

 口に入れる前から香るパイからのカカオの香り、口中で広がるチョコの味わい、飲み込んだ後の深いコクの余韻を楽しんでいただける品質設計にしています。





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