『医師が患者の目を見て診療できるようにしたい!』電子カルテメーカーの新たなチャレンジ!
電子カルテの登場は、院内外の情報共有が進むなど様々な効用をもたらしました。近年では、診療科や診療スタイルに相応しい多種多様な電子カルテが登場し、医療のIT化も劇的に進んでいます。
その一方で、様々な課題も指摘されています、なかでも医師と患者のコミュニケーション、院内のコミュニケーションが不足しがちとの声が大きくなっています。
このような課題を解消して電子カルテと医師・患者を橋渡しすべく、kanata株式会社は構文解析機能と音声認識、RPAを組み合わせたツールの提供を始めました。これにより、あたかも医療秘書が医師の代わりに電子カルテに入力してくれるような環境が実現しつつあります。
電子カルテが医師をPCに縛り付けている事に気づく
弊社代表の滝内が、息子を連れてクリニックに行った時に、診察時に医師と目が合わない事に気づきます。
その診察後に、息子と会話を交わしています。
滝内:「なぜ、お医者さんはこんなに冷たいんだろうね?」
息子:「パパ、お医者さんもパソコンとかで忙しいんだよ。大変なんだよ。」
電子カルテの開発に長く携わってきた滝内が、データの入力や確認などで医師をPCに縛り付けており、この事が医師や患者にストレスを及ぼしている事を強く感じた瞬間でした。
医師も患者としっかりと向き合って診察したい
お世話になっている医師の方に、医師が患者と目を合わさない体験の話をした時に、「医師も患者としっかりと向き合って診察をしたいよ。ただ、医師が患者の目を見て診察ができなくなったのは電子カルテの設計にも問題がある。」と指摘された事がありました。
そこで、医療現場を思い返してみると、慌ただしく次々と診察を実施していかなければいけない中、様々な機器やPCを使いこなして奮闘しておられる医師の方々が思い浮かびあがってきました。
音声認識に着目!
これらの解決策として、今から5年程前に”Siri”や”OK Google”を通じて普及し始めていた音声認識に着目します。
音声認識した結果を電子カルテに登録する事ができたら、医師をPCから開放できるのではないかという思いから研究開発を進めます。
音声認識精度など研究しながら、電子カルテに登録できるパイロット版の開発が完了したところで、お世話になっている医師の方々にデモを行い、意見を伺いました。
データやオーダーの入力の手間がなくならない厳しい指摘。そこから構文解析というプログラムと出会う
「音声認識だけでは、バイタルなどのデータや処方などオーダーの入力の手間は削減できない。だからこのパイロット版では、滝内が実現したい事は無理」という厳しいご意見が返ってきました。
そこから、音声認識を通じてオーダーが発行できる仕組みを模索し始めます。
一緒に開発を進めてきたエンジニアとのやりとりから、構文解析というプログラムと出会います。これが実現したいサービスに繋がると感じ、音声認識と共に構文解析の研究開発を3年間の時間を費やし地道に進めていきます。そして2018年8月に医療秘書の知識に基づいた構文解析を搭載した電子カルテのプロトタイプが完成します。
kanata株式会社の創業とVoice-Karte誕生
お世話になっている医師の方々にプロトタイプのご意見を頂きながらサービスのブラッシュアップを続けると共に、サービスの事業化を進めるべく仲間3人で2018年11月にkanata株式会社を創業致しました。
そして、2019年1月医療秘書機能付きクラウド電子カルテを『Voice-Karte』と名付け、サービスのリリースに至りました。
このVoice-karteは、医療秘書の知識に基づく構文解析と音声認識を組み合わせる事により、患者との診察中の会話からバイタルなどのデータを生成し、処方・検査・処置等のオーダーの下書きを自動で作成できます。
この結果、医師は自動作成されたデータやオーダー案を確認・修正・承認するだけとよくなり、PCに縛り付けられるのではなく患者としっかり向き合った診察が実現できる様になります。
音声認識と構文解析だけを活用したいという多くの要望
Voice-Karteの営業を開始する事でご利用頂くクリニックが増加する一方、現在利用している電子カルテに構文解析と音声認識だけを活用したいというお声を多く頂きました。
この多くのご要望にお応えするべく、「医療秘書の知識に基づく構文解析」と「音声認識」に「RPA」を組み合わせ、現在ご利用されている電子カルテと接続しデータを転記するツールの開発を進めました。
そして、2020年9月スマート医療秘書=kanata!=と名付けサービスのご提供を開始致しました。
【スマート医療秘書=kanata!=の特徴】
会話を記録する重要性を再認識
医師に限らず人々は、会話を通じて得た情報を記録する際に、主観に基づいて要約してしまう事が多くあります。
記録する時には大事な情報でなくても、先々では大事な情報だった事が抜け落ちてしまう事に繋がります。
新型コロナウィルス感染症が拡大している現在、会話のなかから患者の症状や体調の変化に繋がる情報を根こそぎ記録しデータ化する事で振り返りに活かせる事ができるでしょう。また、新型コロナウィルスのような未知の病気が数年おきに生まれてくる現代では、会話を記録するという事が非常に重要になるのではないかと考えています。
そして、会話を含めた記録されたすべてのデータを人工知能などに読み込ませることで、見落としている可能性のある病気の兆候や体調の変化を発見し、アラートとして出す事ができれば、医療の進歩の一助となるのではないかと今後の開発に繋げていく事を考えております。
『kanata』への思い
電子カルテが医師をPCに縛り付けている事を気づかせてくれたのは滝内の息子でした。
この時に気づきを与えてくれた滝内の息子は白血病と闘い幼くして命を落としてしまいました。
滝内の息子の名前が『奏向(かなた)』です。
息子の『奏向(かなた)』が診察室で感じた不安を味わう方がなくなる様に、サービスの開発と自らが成長しチャレンジを続けていきます。
これが、『kanata』を社名とサービス名称にした滝内と全スタッフの思いです。
『奏向(かなた)』と共にkanataはチャレンジを続けます
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