さまざまな世代・立場の人たちが「音楽でつながる」ことを目指して vol2 ~たま音楽祭~
川崎市多摩区役所では、2011年から「音楽のまち・かわさき」の取組の一環として、「音楽でつながる」ことを目指した『たま音楽祭』を年1回開催しています。
『たま音楽祭』は、多摩区内やその近郊で音楽活動を行っているミュージシャンや団体に、日頃の成果を発表する場を提供するとともに、音楽で多摩区を盛り上げようという、区民による手づくりの音楽祭で、子どもから大人まで幅広い世代の方々に音楽を楽しんでいただくことを目指すとともに、音楽を通じた地域交流、多世代交流を図っています。
多摩区総合庁舎内に設置された複数の音楽ステージをツアーのように巡り、入場無料で様々なジャンルの音楽を楽しむことができます。音楽を聴くだけでなく“楽器作り”、“珍しい楽器の演奏”“ダンスワークショップ”等の体験ができることも特徴の1つです。
今回は、音楽祭の立ち上げからかかわっていらっしゃる、斉藤純さんに音楽祭の企画・運営の裏側をお聞きしました。
斉藤さんは音楽祭の立ち上げから関わっていらしたとのことですが、どういった経緯で参加されることになったのでしょうか。
参加した当時は、自分の時間が多く持てるようになったため、学生時代に行っていた音楽演奏をベースに、仕事等で知り合った仲間と音楽バンドを組んでいました。そして、ボランティア活動として地域の高齢者施設等で演奏を行っていました。同時に、何か地域の方々が気軽に音楽を聴けて、楽しめる環境を作ってみたいと思っていた矢先、『たま音楽祭』を新たに立ち上げるというアナウンスがあり、実行委員に応募し活動を始めました。
音楽祭の企画・運営は、実行委員を中心に検討しているとのことですが、どのような方が参加されているのでしょうか。
実行委員は毎年公募で集まってくる社会人、学生、シニア世代と地元多摩区にある専修大学のゼミ生、インターンシップ生です。年代も10代から70代の幅広い層で形成されています。これまで延べ154名(内学生71名)の方々が実行委員として参加、活動しています。
様々な世代の委員の意見のとりまとめなどご苦労するのではないでしょうか。
世代間で音楽の好み、音楽イベントのイメージは当然様々です。逆にこのことは実行委員会を運営していく上で一番大事にした点とも言えます。
幅広い世代の皆さんに楽しんでいただくためには、様々なジャンルの音楽を聴くことができるステージが複数あり、来場された方が自分なりのプログラムを作り会場をツアーのように過ごすのが良いという点に気づけたのも、様々な世代の実行委員が集まっているおかげかもしれませんね。
実行委員には専修大学のゼミ生やインターンシップ生が初回から参加されているとのことですが、学生の印象を教えてください。
毎年、専修大学のゼミ・インターンシップの学生に10名ほど企画・運営に参加していただいていますが、若い感性を持っていてとても意欲的です。自分の考え方をまとめて相手に伝え、アピールすることに多少戸惑いを感じながらも熱心に活動しています。
音楽イベントを企画・運営するという課題達成のテーマは、学生にとってとても入りやすくて良いのでは思っています。インターンシップを終了後も、一般の実行委員として参加いただいているメンバーもおり、今までに70名以上の学生が卒業して社会に出て行っていますが、この音楽祭での経験が皆さんの意識の中に残り活躍していることと思います(きっと!)。
斉藤さんが、音楽祭の企画・運営される中で、大切にしていること、苦労されていることなどございますか。
音楽祭の企画・運営する中で最も注力していたのは、たま音楽祭の理念として掲げた“音楽でつながる”ということでした。出演するミュージシャン、団体とスタッフ(実行委員)、そして来場者が一緒に音楽祭を作って、楽しみ、つながるということです。
また、実行委員の活動において、情報の共有やメンバー全員の参加意識をどう高めていくかを大切にしていますが、自分の個性、やる気が活かされず運営活動から離れていってしまう方もいらっしゃいました。こうしたことが残念で何にも増して一番辛いことでした。毎月1回の全体会議に加え、企画立案・実行活動はテーマ毎の分科会として少人数で進めていき、メンバー間でお互いを尊重し、コミュニケーションを高めていくことが必要だと強く感じました。
今年度は、10回を迎えるということで、かなり前からご準備をされていたと聞きました。準備期間中には、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあったかと思いますが、準備において苦労された点などございますか。
10回目となる今回は記念の音楽祭ということで、今まで『たま音楽祭』を応援していただいた区民の方々、多くのミュージシャン、スタッフの方々が楽しめて、記念になるような音楽祭を是非やろうと、1年半以上前から実行委員会のメンバー、その他地域で音楽に携わっている区民の方と話合いを重ねていました。
従来1日だけの音楽祭を、特別記念ステージも入れ2日間開催とすること、会場の確保、予算面も含め、入念に準備を重ねていました。
本格的に活動を開始する時期での新型コロナウイルス感染拡大は、今回の第10回音楽祭の開催を根本的に見直し進めていく必要性に駆られました。
開催は1年程先のことでしたが、どのような状況に変化しようと現時点で必要と考えられる対策を立て、開催中止の事態は絶対避けようと皆さんと確認しました。
大人数で集まることができない状況でしたので、新規の実行委員の募集は取りやめ、実行委員のコアメンバーを中心に5月から会議を再開しました。実行委員会の連絡、会議は全てオンラインで行っています。対面会議と大きく違い、企画・運営面でメンバーの皆さんが考えている内容がお互いなかなか伝わりにくいもどかしさがありますね。
少し遅れて9月からは、専修大学のインターンシップ生も実行委員会に加わりオンライン会議で打ち合わせを進めています。作成した会議資料をネット上で共有し、全員で見ながら打合せしたりと段々とスムーズに会議が行えるようになりました。
今年は新型コロナウイルス感染が懸念される中での開催となりますが、開催に向けたメッセージをお願いします。
今回はコロナ感染拡大防止の為、来場者を把握出来る多摩市民館大ホールのみ1か所での開催とし、入場人数も約半数に制限し、出演者も公募ではなく、過去に出演いただいたミュージシャンや団体に個別にお声かけをして、出演をいただく予定です。さらに特別記念ステージとして、多摩区ゆかりのジャズ界で著名なアーティストを招いたステージ、初回から毎年のように素晴らしい演奏を披露していただいた音楽大学のクラシック演奏家グループ(今は各人プロアーティストとして活躍中です)とのジャンルを超えたコラボ演奏も企画しています。
また、音楽祭当日のステージの模様は、オンライン生配信で区民以外の多くの人にも観ていただけるよう準備を進めています。
過去の開催でお世話になったミュージシャンの方にお願いし、オンラインコラボ演奏動画を作成し、当日のステージスクリーンでの放映やオンライン配信も企画しています。
今回は直接会場に来ていただける方々に加え、“おうち観客”の方々もオンラインで楽しめるように、手作り楽器制作などのオンラインワークショップや、SNSを通じて出演ミュージシャンやスタッフと繋がりが持てるような工夫を凝らしていく予定です。
地域の多くの皆様の心に残り、今後も益々応援をいただけるものとなるよう、実行委員一同意気込みを持って準備しています。
遠路お越しのお客さんも大歓迎です。とにかく一度、多摩区の大型音楽祭『たま音楽祭』を楽しんでみてください。
第10回たま音楽祭は、2021年2月6日(土)、7日(日)開催予定です。
ぜひ多くの方にご覧いただければと思います。
お問合せ:多摩区役所地域振興課 TEL 044-935-3131
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