「会えなくても、一生同期だ 2020.4.1」 コロナ禍の新入社員へのメッセージが新聞広告大賞に
「会えなくても、一生同期だ 2020.4.1」。新入社員から集めた約2万5000文字のメッセージをちりばめた広告が9月2日に新聞広告大賞を受賞しました。株式会社アウトソーシングテクノロジー(以下、OSTech)が4月1日の朝日新聞朝刊に掲載した新入社員へのメッセージ広告です。
新聞広告賞は、新聞広告の新しい可能性を開拓した活動を顕彰することを目的に1981年に設けられ、広告に携わる多くの人の目標となっています。今回の受賞理由について主催の一般社団法人 日本新聞協会は、「社内外の新社会人を勇気づけ、多くの読者の感動を呼ぶとともに、新聞広告の伝達力の強さと新たな活用法を示した(一部抜粋)」と高く評価しました。コロナ禍で多くの企業が入社式を中止するなか、大きな反響を巻き起こした広告制作の裏側に迫りました。(フリーライター 谷村光二)
■インタビュー対象者:
山根 弘行(やまね・ひろゆき)広報ブランディング室 室長
大手広告代理店での勤務を経て、2007年にアウトソーシング入社。13年にアウトソーシングテクノロジーに出向し、新卒採用組織を立ち上げる。
15年にアウトソーシングテクノロジーに入社し、新卒採用に加え、広報ブランディング室を立ち上げる。
2020年2月。中国の武漢市に端を発した新型コロナウイルス感染症が世界に徐々に広がり、日本でも連日10~20人程度の新規感染が報告されていた。国内で技術系のエンジニア派遣を手掛けるOSTechグループは、4月1日に約2000名の新入社員を集める入社式を企画していた。新卒採用部部長 兼 広報ブランディング室 室長 山根弘行は、先行きの見えない新型コロナウイルスの影響拡大を考え、同27日にオンデマンドで入社式を挙行することを決定した。
ほっと胸をなでおろしたのもつかの間、新たな課題となったのが「新入社員のために何か記憶に残るものを考えてほしい」という社長 茂手木雅樹からの指示だった。残された時間はわずか1か月…。
(「」内は山根様のコメント、インタビュー部分です)
「当社は毎年、都内で入社式を行っており今年は約2,000名の新入社員を迎えるための準備を進めていました。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2月上旬からだんだんと雲行きがあやしくなってきました。そして、入社式をオンデマンドで開催することを2月27日に経営会議で決定。翌日にはプレスリリースを配信しました。
従来の形での入社式中止の決定と同時に、新入社員をお祝いする“体験”の機会を用意するよう社長から指示を受けました。入社式は一生に一度しかないものなので、全員で集まれないことは仕方がないとしても、何か強く心に残るものを考えてほしいと。大規模な施設を使う入社式を中止したことで宙に浮いた数千万円の予算を使ってもいいと言われました。
新型コロナウイルスがビジネスにどのような影響を与えるのか、まだはっきりしていなかった当時、経営会議では多岐にわたる項目の検討がなされていました。その中で、そもそも入社式をする意義、全員で1か所に集まる意義を改めて問い直しました。入社式の予算を、先行き不透明な社会情勢への対策に充当できることに安堵感はありつつも、一度も同期の顔を見ることなく社会人となる新入社員の心情を考えると、「これでいいのか」という葛藤がありました。
新入社員が入社後に一体感を持てるよう、オリジナルデザインのストラップやノートを準備していたのですが、社長からは、「これだけだと強く心に残らないね」とダメ出しが出ました。広告でいこうと決まる前は、未来に向けて上を向いて欲しいと、気球や花火の打ち上げ等様々な案を検討しました」
一生に一度しか味わえない体験。アイディアが浮かんでは消えていく中で、時間だけが無情に過ぎていった。「本当に間に合うのか」。
「新入社員からメッセージを集めてモザイクアートで表現しようというアイディアを思いつき、正式に広告を出すことに決まったのが3月13日でした。まさに「下りてきた」という感じでバシッとビジュアルまで頭に浮かんだので、急いで特命チームを組み、メンバーに伝えました。ただ、アイディアは浮かんだものの、制作スケジュールが間に合うのかどうかもその時点ではわからない状況でした。広告掲載に詳しい方に相談したところ、その時点から4月1日に出す新聞全面広告を動かし始めるのは普通ではあり得ないと言われました。
新入社員に対しては広告を出すことは伏せて、あくまでもサプライズのかたちで進めました。まずモザイクアート用のメッセージを集める期間に3、4日はかかりました。そして、デザイナーと相談しながらそれをビジュアルに落とし込んでいきました。新聞を入社式当日に目にできない新入社員がいることも想定して動画も制作しましたが、撮影が3月20日頃から始まって、4日間で終わらせるというハードスケジュールでした」
新たな課題は、新入社員から送られてきた2万5,000文字の誤字脱字チェックだった。
特命チーム全員が昼夜を分かたず作業を進めた。より良いデザインを追い求めるためにデザイナーとの侃々諤々の議論も重ね、こだわりの「色」を出すための印刷の確認作業も進めた。「何か1つでも遅れれば4月1日に間に合わなくなる」。締め切りが刻々と迫るなか、すべてが完成したのは、広告掲載日の1週間前だった。
「私自身は広告制作と同時進行で、経営に関わる仕事やオンデマンドの入社式の準備、メディアへの声がけ等もしていて、目が回りそうでした。もちろん、メンバーもギリギリの状態で踏ん張ってくれました。入社してまだ2、3か月の社員もチームに入ってくれていたのですが、戦力になって膨大な実務を動かしてくれました。
緊急事態宣言の影響もあり、打ち上げもまだできていないのですが、狙ってもなかなか取れない名誉ある賞をいただけたので、メンバー全員報われたと思います。リモートで受賞を知らせたときには、画面越しにみんなで喜びあいました」
新聞広告とともに、OSTech新入社員が出演、ナレーションを務め「遠くてもつながっている」同期たちを勇気づけるWEB動画を公開
特命チームは、わずか1か月足らずの時間のなかで任務を遂行した。4月7日には東京都等7都府県を対象に緊急事態宣言が出され、「会えなくても、一生同期だ」というメッセージへの共感は、社内だけでなく他社の新入社員、そして人と会えなくなっていく社会全体に広がっていった。
「新入社員からもらった「親が喜んでくれた」という声はうれしかったです。また、採用活動をしていくなかで、SNSで拡散されたものを含めて、「見たことがある」と言われたことも多かったです。現在は採用活動をリモートで行っているので、会社の雰囲気を感じる機会が従来よりも少なくなっています。求人に応募してくださった方からすると、リモートで顔を合わせた面接官しか会社との接点がない状況ですが、広告から「会社のスタンス」を感じてもらえるという効果もあると実感しています。
広告を作るにあたって、チーム全体で大切にしていたポイントがあります。それは、自分の起こしたアクションが社会とつながっていることを新入社員に感じてもらうこと。自分が書いたメッセージが新聞広告として社会に出て、多くの人に読まれて残っていくことの意味を感じてもらいたいと思いながら取り組んでいました。いつか、あの新聞広告を同期の共通の話題として振り返ってもらえる時が来ると嬉しいです。
私たちの会社は、働く人の多様性を尊重しながら、幸せに働ける環境を、人材派遣というビジネスを通じて作っていきたいと考えています。弊社の社員として守られた状態で、派遣先で様々な機会を得ることができるのは大きなメリット。今後はますます個の能力を活かす時代へと加速していくと思いますので、そのための後押し、サポートをしていきたいですね。私たちの使命は働く人を応援すること。今後も様々な機会を捉えて、“働くで『みらい』をデザインする”というメッセージを社会に向けて積極的に発信していきたいと考えています」。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000017540.html
■会社概要
社名 :株式会社アウトソーシングテクノロジー
HP :https://www.ostechnology.co.jp
代表者 :代表取締役社長 茂手木 雅樹
本社所在地:東京都千代田区丸の内一丁目8番3号 丸の内トラストタワー本館16・17階
事業内容 :
・R&Dに特化した機械・電子・電気・ソフトウェアの技術者派遣及び開発請負
・職業紹介業務(専門職の職業紹介)
・企業向けネットワーク、コンピュータ及び情報通信システム関連のハードウェア・ソフトウェア・サービスの輸出入、販売、設計・構築、保守・その他技術サービス等
設立年月 :2004年12月
資本金 :483百万円(2019年12月末日現在)
売上高 :92,391百万円(2019年12月期 連結)在籍技術者数:連結 15,888 名(2019年12月末日現在)
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