僕の彼女の遠距離物語~クローバー~③
僕は驚きを隠せなかった。
彼女が僕をそのように見ているとは思いもしなかったからだ。
そして僕は微妙なニュアンスで断っていた。
それには理由があった。
彼女が僕に告白をしてきた数ヶ月前のことである。
僕はある子に告白を受けていたのだった。
その子もまたゆずっこでありブログで出会った。
そしてゆずのライブの千秋楽で初めて顔を合わせた。
現代社会に存在する奇妙な恋人関係とでも言えるのではないだろうか。
本人に逢ったことはないのに恋人の関係になるということ…
そんな関係に僕とその子はなっていた。
その子の親も僕の存在を知っていたが付き合っているとは思っていなかったであろう。
「その子のことを捨てられるのか」
僕の中で、考えてみればえげつない考察が行われていたのだった。
そして、彼女から告白されたときやんわりと断ったのだった。
その日の夜、彼女はブログのようなところでこう綴っていた…
「友達とかそんなんじゃなくて、そんな関係はいらない…」
これを見たとき僕は自分を責めた。
彼女はそこまで本気に思っていたんだと気づかされた…
時刻は日付が変わって6月18日…僕は決心したのだ。
「彼女にプレゼントを贈ろう」
と。
6月18日は日曜日で僕は大学の野球サークルの練習に行っていた。
相変わらず人数の集まりが悪く、バッティングセンターに行くことになった。
その車内で彼女とのメールのやりとりをして、
「付き合おう」
と告げたのだった。
今になっても二人の中ではっきりしていないのが、告白の仕方が少々おかしく、
最終的な合意はどっちだったのかと言うことだった。
「ほたるがいいなら付き合おうよ」
「ゆずひろがいいなら付き合おうよ」
それが何度か続いたからだった。
なんともおかしな告白である。
しかし、僕らは出会って8ヶ月で恋人の関係になれたのだった。
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