僕と彼女の遠距離物語~クローバー~⑧
12月16日、朝9時。
僕は携帯のアラームで目を覚ました。
当初の予定なら10時22分発の電車に乗るつもりだったがどうにも間に合いそうにないので1時間ずらした。
荷物をまとめ、駅へ向かう。
心なしか今までで一番ワクワクしていた。
彼女は果たしてどんな表情をするのだろうか…そんなことで頭の中は一杯だった。
11時22分岡山を出発した電車は瀬戸大橋を渡り香川県を通過し愛媛県の松山駅に到着した。
そのころになると、朝から何も固形物を食べていなかった僕は吐き気がしていたので、
酔い止めのドリンクとおにぎり3つを買って路面電車に乗った。
路面電車を降りて彼女の地元まで行くバスを待っていた。
空はどんよりと曇り、予報では雨が降るかもしれないといっていた。
バスの待つ場所付近では中学生が赤い羽根共同募金の呼びかけをしていた。
僕はそれを見ながら買っていたおにぎりを食べていた。
バスが予定時刻より10分遅れて到着し、出発した。
いつも彼女は松山デートの帰り道に見ている風景を僕も見ていた。
バスは走り出し甲子園で有名な高校の横を通過し、松山営業所へ着いた。
そこでバスの往復券を購入した。片道で買うより700円お得だった。
その後バスは高速道路を走った。
途中のバスの停留所で僕の斜め前に座っていたおじいさんが面白かった。
停留所付近になるとソワソワしだして、しばらく中腰のまんまだった。
そしてブザーをならしおじいさんはバスを降りていった。
彼女の地元に着いたのは午後5時前だった。
その足でホテルにチェックインした。
少し休憩を取り、明日渡す手紙を書いて外へ出た。
夕食をとるためだ。
駅前にペナルティーのワッキーが番組で訪れたお店があったのでそこで食べることにした。
そこの料理は彼女の地元での郷土料理らしく、注文してその品が届くとお店の方が食べ方を教えてくれた。
味は申し分なく美味しかった。
そのあと、あたりをウロウロしながら食料を調達するために近くのスーパーに立ち寄った。
そこで半額に値引きされたおにぎりとから揚げと、お茶と珈琲牛乳を購入してホテルへ戻った。
そのあと彼女と10時頃までメールをして彼女は寝た。
僕はといえば隣の部屋のいびきや普段の生活サイクルでは起きている時間だったため、なかなか寝付けなかった。
翌日というか12月17日の深夜4時。
僕は諦めて起きることにした。
シャワーを浴び昨日買った食料を頬張った。
彼女は5時30分に起きて6時に僕にモーニングコールをくれると言ってくれた。
しかし僕は逆に5時30分に彼女にモーニングコールをした。
「じゃあまたあとでね」
彼女と通話を終えて、なぜかまだおなかがすいていたのかホテルにあった自販機で追加で食べ物を頬張っていた。
そして6時30分にはNHK教育(Eテレ)でやっている「テレビ体操」をなぜかしっかり真面目にやった。
そうして午前7時20分頃、僕はホテルを後にした。
そのとき彼女とメールをしていた。
僕が先に駅に着いて彼女を探していた。
遠くから見ると不審者かのようだっただろう。そして彼女を見つけた。
ブーツにハーパン、上はジャケットにマフラーをしている彼女はどこか少し大人のように感じた。
そして彼女のほうへ向かい彼女と目が合うと…

「よっ!!おはよう!!!てか来るの遅いww」
と言った。彼女はやはり驚いて…
「何してんの?ww」
と言った。この驚いた表情が見たくて1ヶ月間練り上げたのだ。しかし、彼女は続ける…
「もしかしたら来るのかな~って思ってたけど、まさかねーって。」
少しバレてました。とにもかくにも彼女が喜んでくれてよかった。
そしていつもは彼女一人で乗るバスの横の席に僕が座り松山へとバスは走り出した。
バスの中では他愛のない話が続いた。
他の乗客は朝早いバスということもありはなしている人は少なく、
僕らの会話は他の人にも聞こえていたのかもしれない。
バスの中で少し早いがクリスマスプレゼントの交換をした。
何度も書いたが母親にバレてはいけないので当たり障りのないものを僕は選んだ。
手袋、犬のぬいぐるみのカレンダー、ミッキーのブランケット、
そしてクリスマスカードと手紙…
彼女は僕にネクタイと誕生日のクマのぬいぐるみ、そして手編みのマフラーを渡してくれた。
そしてプレゼント交換を終えて、プレゼントを買うときの話題を話していた頃バスは松山へ到着した。
いつもとは逆方向、いつもならお別れする場所からデートが開始した。
著者の岡田 裕樹さんに人生相談を申込む
著者の岡田 裕樹さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます