天国へ旅立っていった馬鹿な友人へ2

前話: 天国へ旅立っていった馬鹿な友人へ
次話: 天国へ旅立っていった馬鹿な友人へ3

 世界の中心でバカヤロウと叫ぶ



前回までのあらすじ

客を出迎えたら、友人の訃報を持ってきた

さまざまな感情に支配されつつ

あわてて友人の家まで行ったらそいつは荼毘に付されていた。


第二章 俺めずらしく動く


Bなんで死んだ?

なんでこんなことになった…

俺は正直そんな風にしか思えなかった

祭壇にはあいつの好きなドラゴンズのグッツが置いてあった

あいつの唯一の娯楽ともいえる野球観戦グッツ

最後に生身であったのも、

7年前

デパートで中止になった試合のチケットの払い戻しをしていた時だ

あの時あいつを覆う黒い影…

今思えばあいつの絶望を示す色だったのかもしれない

せめて生身で会いたかった…

後悔と懺悔と悔恨しかない

だけどシリアスに浸れたのは

たったの20秒ほどだった…

すんません急に押しかけて

線香上げさせて頂いてよろしいですか?
Bおかん
ええ・・・お願いします
B
(わぁーー!!!Nや!Nや!!Nや!!!)
B
(何で来たや!どうしてきたや!!きてくれたん!!!)
(ブチッ!!)

何もないはずの空間にこんな感じで怒鳴る俺

いきなりのリアクションにびびるB家の方々

虚空を見上げ俺は思う

(やっちまったよ…)


俺には霊感がある

と言っても

霊能力者レベルであるわけでなく

微弱であるためすべての能力が低い

撃退できないので体調を崩したり

危険な目にあったり

白い目で見られたつらい過去がある。

隠していたほうがいいと言うことを学んでから

口外していなかったのだが…

友人Bは

五月蝿い&マシンガントークが信条のような男

それにしてもこの男死んでからもこのノリである…

死んだ後は、世界観の違う位相がずれた世界の住人になる

2次元のキャラが3次元のキャラに干渉できないのと同じだ。

普通なら聞き取れないはずだがこいつはしゃべり続けていた。

声なんか喉から血でも吐くんじゃないかというレベルで叫び続けていたのだ。

そこに俺がやってきた

聞ける俺が来て感情の赴くままに

爆発的にしゃべるしゃべるひたすらしゃべる

もうこんな感じで



(友人Bはフツメン男子なのでそこは皆さんで脳内補正かけていただきたい)

シリアスぶち壊しぐるぐる回りながら

俺に対していろいろ訴える

この男にもいろいろあるのだろう

だがな・・・

こちとた精神グラッグラで来てんだ

生きている家族の手前普通にもさせてくれんのかお前は


Bおかん
あの・・・何かあったんでしょうか
すんません何でも…ないようには見えませんでしたよね…


やっちまった感がぬぐえない。

しょうがないので今の流れをB家の方に端的に話した。

親父さんは怪訝な顔をした(当たり前だ)

お袋さんは「是非話を」と言った(藁にもすがりたいのだろう)

妹さんは信じがたいけど、お兄ならこうすると半信半疑(普通の反応だ)


俺はものぐさで面倒ごとは好まない生活だ。

ナマケモノが服を着て歩いている

そんな生物が俺だ。

厄介ごとは避けるに越したことがない

正直もうすでに逃げ出したかった

だけどもうどうにもならない。

乗りかかった船のためもう少し話を聞くことにした。

俺はめずらしく動くことにした。


精神を統一し

Bの心を拾いに行く

今回の問題点として

最悪の場合

俺が廃人か死亡かって可能性があるっていうこと

Bのほうが乗り気なためBの場所まで行くのは難しくない

ただBは褒められた死に方ではない

当然その心に当てられて

俺がBに引きずり込まれて死ぬ可能性もないわけではない。

辞めておきたい案件だが

そんなわけにも行かなくなってしまった。

少しでも成功率を上げたい俺は

家族に頼んでBの情報を手に入れる為

Bの部屋に上げていただくことになった。

嫌だが行くしかあるまい

Bの部屋は2階…

階段を上がるごとに死刑台に上げられる囚人になった気がした。

意を決して扉を開く。

空気が張り付いて重い

本棚が憂いを語り

机の一点の一角が絶望に塗りつぶされたブルーを語り

犬が悔恨を語り

大量の参考書とノートで図書館でも作れそうなほど莫大な冊数のノートが焦燥を語り

音楽に4がついた異様に内申点が高い通知表が怒りを語りだした

これら全てが事を語る。

膨大なイメージに圧殺されそうになりながら

発狂寸前の心を自制心で繋ぎ止め

つじつまが合う答えを探す


全てはここにあった。

15の時、学習塾の卒塾式から

俺と別れた9年の間…

ひたすら勉強の日々…

最初に書かれていた整然な文字が、

だんだん凄惨になり書体が崩れていく

勉強もばらばらだ

参考書も医学と公認会計士がごっちゃになっている

本棚は多分あいつの自重に耐えられない

一撃での衝撃で頚椎(首の骨)を破壊されたと見るのが普通

犬は・・・そうか最後の会話は犬とだったのか

使ったのは散歩用のリード

これが真実か…

お前信じていた物に裏切られて絶望したから死んだのか?

悲しすぎるだろ。お前それでよかったのかよ…



話を聞いて欲しかった?

多分そうだ

俺もう辞めたいんだ

ああきっとそうだったよな

見えてたよなお前には

どうにもならん現実が、お前には待っていた。

でもお前はあきらめない

だから医者から公認会計士でワンクッション、金稼いで医者か

お前を打ちのめしてきた言葉たくさんあるよな

ああこれか

そりゃいわれりゃ死ぬわ俺でも…いや多分しなねぇなお前ほど努力してねぇもん。

馬鹿な野郎だ俺よりも頭いいくせにそんなこともわかりゃしねぇ

お前の言う僕のような生産価値もないゴミみたいな人間と過ごす時を

金銀財宝に囲まれて酒池肉林する王侯貴族の生活より

幸せだと言う人もいたぞ。



対話と言う名の一人語りをする姿は家人には滑稽に見えただろうが

家人の為

俺のせめてもの贖罪

少しでもいい真実に近づきたい

全ての感覚を総動員させ

俺の考えうる全ての道筋から答えを探す


いろいろな声が語る中俺が聞き取れたメッセージはひとつだけ

後は膨大な奔流に流れてすくえなかった。

わかった絶対伝えてやる。


俺は家人を居間へと案内した

カタリエ3に投稿されたストーリーがついに書籍化!
(表紙画像からamazonに飛べます)

Katarie3 book

続きのストーリーはこちら!

天国へ旅立っていった馬鹿な友人へ3

著者のYamauchi Nobutakaさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。