「自分は頭が悪い」と思っている人は教育の犠牲者。15万部の著者が「教育のありかた」について考えてみた
男性は大爆笑。
下ネタのところだけは、男性は満点だったそうです。
下ネタというのは、やる気を起こさせるようです。
わたしが講師をしていたときは、くだらない話をして笑わせて、大学に行く意義、いったときの生活などを語ったりして、生徒のやる気を引き出していました。
しかし、実は、このように引き出したやる気はすぐになくなってしまいますし、下ネタは笑わせたところしか勉強しません。
やる気を持続させ、生徒自ら勉強しはじめるようにするには、やはり人の本来持つ欲求である「知識欲」に訴えることのほうが効果的なのです。
■わたしが本を通じてしていること
苦手な人の知識欲を刺激するには、どうすればいいのでしょうか。
「本」の場合、わたしは、つぎのステップが必要だと思っています。
・可愛いイラスト、図解が豊富など、何でもいいので、まずは「あ、簡単かも」と感じてもらう
・今までつまづいていたことがわかるようになり、「わかる!」を連発させ、先に読み進めてもらう
・たとえば、繰り返しのテクニックを使って暗記する必要をなくすなど、最後まで読めて、「すこし好きかも」と思ってもらえる工夫をする
要は、本を手にとり、ペラペラとページをめくるうちに、「好き」「面白い」「わかる」のプラスの感情を引き出すことが大切だと思っています。
こうすれば知識欲が刺激されて、「自ら勉強する」ための第一歩となると思っています。
その代わりに、「網羅性(学ぶべきことがすべて漏れなく掲載されているという意味です)」「正確性(わかりやすさを優先しているため、大雑把に解説しています)」などが欠けてしまいます。
それはそれでいいのではないかな、と。
網羅性、正確性がある、有名な英語の参考書に「Forest」がありますが、英語が苦手な人が開くと、ますます英語が嫌いになってしまいますし(英語ができる人にはおすすめの参考書です)、英語が好きになってから、網羅性、正確性などのある参考書を読めばいいですし、好きになってから読むほうが吸収もしやすいですし。
というわけで、わたしは本を通じて、苦手意識がある人たちの「苦手」をなくそうとしているのです。
■教育のありかた
今までの話を読めば、まるでわたしが現在の「得意な人をより得意にする」教育を否定しているように思えたかもしれませんが、それは誤解です。
「得意な人」に照準をあわせれば、「苦手」な人が切り捨てられる。
「苦手な人」に照準をあわせれば、「得意」な人は時間を浪費する。
このように100パーセントの人が満足する教育はないので、現在の教育を否定しているわけではないのです。
単に成績が優秀な人たちに照準をあわせているだけですから。
わたしが求めているもの。
それはわたしがしていること、すなわち苦手意識をもっている人たちに向けた、特化させた教育も必要だと理解してほしいだけです。
わたしの著書に対して、このようなコンセプトをまるで無視して、「非効率な教え方」「(何の根拠もないですし、実際わたしは成績をガンガンに伸ばしてきたのですが)この教え方だと成績が伸びない」などと否定している教授、先生、編集者がいます。
そういう人に、わたしのコンセプトを理解してほしいと考えています。
そして、苦手意識をもっている生徒がいれば、わたしの本のようなコンセプトを生徒に伝えてほしいのです。
「成績を伸ばせば収入につながる。苦手な人をすこし得意にしたところで、金銭的なメリットはない」と思われるかもしれませんが、教育というものはその人の人生に大きな影響を与えますから。
■教育の犠牲者~「自分はバカ」だと思い込まされている人たち
・数学は大嫌い
・英語は苦手
・大人になって参考書を読んでも挫折してしまう
そのように苦手意識を持っている人たちの中には「自分には数学や英語を理解する力がない」「自分は頭が悪い」などと自分の責任にしてしまっている人がいるようです。
しかし、本当にそうでしょうか?
今までの話を読むと、もうそうではないことはわかるのではないでしょうか。
・小学生のときに勉強していなくて、積み残しがある。
・だから、中学の授業にはついていけず、切り捨てられる。
・補習があったとしても「得意をより得意にする教えかた」をされて、ワケがわからない。
・そのような状況だと、よほど勉強しないといけないという動機がなければ、挫折してしまう。
・だから「大嫌い」「苦手」と刷り込まれる。
このような状況だったのでしょう。
そして、大人になって、やりなおしてみようと思って、書店にある参考書を手にとったら悲惨です。
なぜなら、書店にある参考書の大半は「得意をより得意にする教えかた」をベースにしているので、いくら丁寧に解説してあったとしても、積み残しを積めず、「わからない」となってしまうためです。
単に挫折するだけならまだいいのですが、「大人になっても、中学生のことでさえ理解できない自分って……」と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
30代以降で、英語や数学を苦手と思っている人たちは、おそらくこれまで書いたような教育の犠牲者だと思います。
それに対して、「なんだよ!金返せ!」と怒ることもできます。
しかし、過ぎ去った日々のことをいくら言っても意味はありませんし、勉強は今からでも遅くありません。
「苦手な人のために」というコンセプトで、英語、数学と本を出しているので、「今更数学を勉強しても、な」と思っていても、ぜひ、手にとって見てみてください。
意外に日常生活で中学数学を使っていますよ。
■おすすめの本
・中学英語から苦手だった!
→可愛いイラスト・デザインの本がいいのなら『基本にカエル英語の本』(スリーエーネットワーク)がおすすめです。講義風の本がいいのなら『もう一度中学英語』(日本実業出版社)がおすすめです。
・中学のときは英語はそこまで苦手ではなかったけど、復習したほうがよさそう
→『ゼロから始める!大人のための中学英語』『たった10語で話せる!大人のための中学英語』(高橋書店)のシリーズがおすすめです。
・数学は大嫌い!税抜き価格、3割引とかも計算できない!
→『0(ゼロ)からやりなおす中学数学の計算問題』(総合科学出版)がおすすめです。
本でしか伝えることができませんが、本を通じて、みなさまの人生にすこしでも役立つことができれば幸いです。
石崎秀穂
著者の石崎 秀穂さんに人生相談を申込む
著者の石崎 秀穂さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます