神さまありがとう第12回
~ほんとにありがとう~
わたしの半生記を始めからずっと読んでくださった方は、「なぜ”神様ありがとう”なのか?」と不思議に感じる人もいるかもしれません。でも、やっぱりわたしの人生は「神様ありがとう」です。
これ以上にぴったりのタイトルはないです。
児童虐待、いじめ、不登校・引きこもり、自殺未遂、発達障害、うつ病・・・今日本で社会問題になっている事のうち、体験していないのは麻薬と非行だけです。
「ずいぶん、いろんなところをくぐらされてきたんだね」「波瀾万丈の人生」と評される事もしばしば・・・。
確かに自分でもよく生きて来れたなと思います。
でもね、最初からよーく読んでみてください。偶然の重なりと言われれば、そうとも言えなくはないですが、すべてが数珠つなぎにつながって、一連の出来事として起きているのです。
・もしも母が、父ではなく、別の男性を選んでいたら・・・
・父が究極のエゴイストでなければ・・・
・入学した学校が、キリストと全く無関係な学校だったら・・・
・大学に、カウンセリングルームがなかったら・・・
・そして、たまたま就職した先がキリスト教主義の教会所属の病院でなかったら・・・
そう考えると実にうまい組み合わせです。
母の虐待、複雑な家庭環境、いじめ、これらが背景にあったからこそ、キリスト教高校の毎朝のラジオ放送のなかの「メッセージ」に、わたしの心は激しく揺さぶられ長い長い無言のSOSをキャッチしてもらえたのです。
それ以降、わたしの思いとは裏腹に、常に神様と隣り合わせの人生が続いています。
その過程で、知人を通じて出合った宮嶋真一郎さんと共働学舎で、わたしは20年の歳月を過ごす事になります。
共働学舎の名前の由来になった御言葉は、ローマ人への手紙8:28節
「神は神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って、召された者たちと共に働いて、万事を益となるようにしてくださる事を、わたしたちは知っている。」
です。
共働学舎には、わたし以上に”生きづらい”というより、”生きられない”人たちがたくさん集まって生活をしています。
わたしは、そのなかで、もみくちゃになりながら、「人との関わり方」を学んでいきました。ずいぶんと荒治療でしたが、これくらいでないと当時のわたしでは、どうにもならないレベルだったのかもしれません。
もう一つ学んだ事。
それは”愛”です。
「生ける者すべてが、神の慈しみの中で生かされている」
この発想は、当時のわたしには、とても新鮮な驚きでした。
なぜって、私の育った家庭は「愛」などひとかけらも感じる事のできないものでしたから。
ペットは”不要になったら捨ててもいい動くおもちゃ”でした。
でも、共働学舎では家畜も「家族」と呼びます。犬、猫にいたるまでみんな家族。
だから、動物の一匹が病気になると可能な人たちは寝ずの番をして、動物を介護し命を引き取るその時まで、そばによりそうのです。
わたしも、その愛されている命の1つであると、宮嶋先生は何度も語ってくれました。
時には、わたしの背中をやさしくさすりながら・・・。
初めて畑で土を両手ですくった時に、肌を通して感じたぬくもり、命の暖かさが指の先から体中にしみわったってくるようでした。
共働学舎は、すべての人に「お給料」と称して小遣い程度のお金が支給されます。おおよそぜいたくは無理ですが、衣食住は完全に守られています。
共働学者との出会いはわたしが20歳前半の時でした。
やっと見つけた安寿の地、わたしの居場所・・・
その暖かい居場所をなぜに、40代半ばにして捨ててきたのか、それも重度の精神障害を抱える亭主を引き連れて・・・。
まるで、苦労を引き受けるような愚かな行為と多くの人はそう思ったでしょう。
わたしの体の底から
「社会でもう一度生きてみたい」
という欲求を、どうしても抑える事ができなかったのです。
そうして、紆余曲折を経て今日にいたっています。
わたしは、社会へでてから自分が「発達障害」である事を知り、仲間のために生きようと決意しました。
こうして、一連を振り替えっていくと背後に神様の大きな働きがあった事を痛切に感じずにはいられません。
良い事も悪いことも神様の御計画の中で起きています。
わたしの一生は、わたしの成長に合わせてステップを一段、また一段と上がっていくように進んでいきます。
”わたし”という人生プランは、あまりに壮大で、わたしたちのような限りある人の知識では、端から端まで見渡す事ができません。
いつもわたしのそばにいて、慈愛に満ちたまなざしを向けてもらえている安心感がありました。
わたしの人生は神様と出会い、神様の愛の懐にとどまりながら、導かれるままに生きていく人生です。
神様は、すばらしい恵みと溢れるほどの祝福を注いでくださっていました。
だから、わたしの人生は「神様ありがとう」なのです。
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