25赤ちゃんができたのかも??【息子たちに 広升勲(デジタル版)】
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この話は、わたくしの父が1980年に自費出版で、自分と兄の二人に書いた本です。
五反田で起業し、36で書いた本を読んで育った、息子が奇しくも36歳に、
五反田にオフィスを構えるfreeeの本を書かせていただくという、偶然に五反田つながり 笑
そして、息子にもまた子供ができて、色々なものを伝えていければいいなと思っています。 息子 健生
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赤ちゃんができたのかも??
喜生ちゃん、やがて大人になったらわかることだけど、赤ちゃんが産まれるまでの女性の身体の変化についてすこし書いてみよう。
女の人は、大きくなると、いつでも赤ちゃんを産むことができるような身体に準備がされているんだよ。
しかし、男性とのめぐりあわせがないかぎり、準備されたものは古くなってしまうから血液と一緒に洗い流されてしまうんだよ。
その時、流れでる血液を生理といって、その生理は、普通の健康体の女性は二十八日周期といわれている。
この話は、父さんがまだ小学校六年生の頃君子おばあちゃんが、お父さんにおしえてくれたんだ。
話はすこし横道にそれるけど、父さんが子どもの頃は「生理」のことを「月経」といっていたんだ。婦人雑誌や青年雑誌などにも月経という表現だった。
それがいつの間にか「メンス」というようになった。
それがしばらく経って「生理」というようになったんだよ。一つの言葉にも時代にあった流行があるものだ。
話を本筋に戻そう。
母ちゃんの初潮は、中学校一年生のときだそうだ。そして生理は三~四日間続きその間もいつもとかわりなく、生理休暇などとらなくても平気だったんだそうな。そしてその周期は一度も狂ったことがなかったそうだ。二十八日周期、それは女性として一番健康な姿なのだ。
母ちゃんの「生理」のはじまる予定日は六月十五日だった。しかし、生理が来なかった。
「私、生理が来ないの、妊娠したのかしら、今までピタリ二十八日目にはあったのよ。妊娠したら、保育園が困るから……。妊娠したら困るわ……」母ちゃんは、よくそういったが、本当に困っているような顔ではなかった。
それは五十年六月十五日~二十一日頃のことだ。もちろんまだ正式に入籍していなかった。
その頃、父さんは、静江おばあちゃんとの間で、養子になれ、ならないで目下の所交渉中というところであった。母ちゃんとの愛も、最初のうちは注意していたんだ。でも無我夢中で気がついたらできていたんだ、というほどあわてていた訳ではないんだ。
チャンと結婚して十月十日たって生まれる方がいいと思ってはいたんだ。
しかし、なんといっても、静江おばあちゃんがかお籍の事でゆずらない、いつまでも平行線が続きそうなので、“もう実力行使だ、孫の顔でも見せなければ、理屈では解決しない”と思いはじめたんだ。
だから、いつ妊娠してもいいや、と思っていた。
きみが生まれることによって、静江おばあちゃんとの話を好転させようという気持すらあったのだ。
「いいじゃないか、できたら生めば……」
父さんはいった。
「だって、今できたら困るのよ。保育園でもう一人の保母さんも妊娠してるのよ。だから二人そろって産休になるとパートの保母さんになるでしょう」
母ちゃんは、常日頃から「私は子どもが好きよ。結婚したらすぐに子どもが欲しいわ」といっていた。
だから、妊娠して都合がわるいと心のそこから悩んでいるようではなかった。
むしろ、本当は喜びながらも、保育園の保母という社会的な立場で、回りの人に負担がかかることなどを気にしていたのである。
父さんは最初から喜んでいた。一時のたわむ仇で母ちゃんを抱いたのではなく、好きだったのだから。
静江おばあちゃんもよく、
「もう美津子は妊娠してるんですかね」と心配していたし、早く生んで見せればいいや、と思ったのだ。
母ちゃんはよく、デイトのとき、こんなことをいっていた。
「私ね、結婚するまで絶対に深い関係になってはいけないと思っていたのよ。だってお母さんも、そういうことはきびしいのよ。だけど本当に好きになったら、そんなことはあまり関係なくなるのね。全然後悔していないわ」
母ちゃんも、ごく普通の常識を持った女性であり、結婚するまでは性交渉を持たずに交際をするべきだと思っていたようである。
父さんも、そうだと思う。
みだりに本能を満足させるだけで男女の交わりが行なわれたら淋しいことだと思う。
しかし、父さんも母ちゃんと同じように、愛情というもののために常識とかモラルというものがあとになってしまったのだ。それでよかったと思っている。
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