フィリピン人の彼女と会って5日で婚約して結婚しなかった話 - (5)踊る大捜査線
フィリピン人の出迎えの集団を
目の前にしてはっきりと認識した、
ここは外国なんだと...
彼女に会うという目的があったから
多少のリスクに関しては、
無意識に目をつぶっていたと思う。
気温30度のマニラで冷静になって、
少し寒気がした。
タイムリミットは2時間、
ヤバいかもしれない...
まてよ!?
冷静になって思いついた!
彼女も自分を探しているはずだ!
自分が1/500を探すより、
彼女が1/1を探す方が早いだろう...
私は、出迎え集団の近くにあった
灰皿の横でタバコに火をつけ、
なるべく、”日本人1人”だと言うことが
解るようにした。
(本当はタバコが吸いたいだけ)
オニイサン、ニホンジンカ?
そして、私を見つけてくれたのは、
空港警察のお巡りさんだった...アヒャヒャ
そりゃそうだ。
彼女を探すために、
辺りをキョロキョロ見回している日本人1人。
どう見ても、挙動不審だ...
自分のこれまでの経験上、
こういう時に変に取り繕うと
かえって話がややこしくなる。
ここは正直に
自分が置かれている状況を話そうと思った。
英語はできません。
でも、伝わるもんだね~
不思議とお巡りさんがしゃべっていることも、
なんとなく理解した。
以下、私の推測でお伝えします。
彼女は、飛行機のチケットを買うために
ケータイを質屋に入れた。
だから、電話をかけても無駄だ。
という英語を話せるはずもなかった。
(質屋って英語でなんて言うの?)
そうこうしているうちに、
お巡りさん仲間が集まりだした。
気が付けば、
お巡りさん5人ぐらいに
取り囲まれている自分...
私は、とっさに
マニラからダバオ行きの彼女のEチケットを
カバンから取り出し、名前を指差した。
なにやら、仲間内で
お話しをされてる様子。
出発前夜、
Skypeで見せてもらった服を説明した。
「ピンクのキャミソール」に
「デニムのショートパンツ」
こうして、彼女の大捜索が始まった。
汗だくになって空港の端から端まで
歩き回って彼女を探し続けた...
しかし、気が付けば時計は、
15:00を指そうとしていた。
もう、時間がない。
乗り継ぎの飛行機に間に合わない。
一緒に探してくれたお巡りさんも、
あきらめ顔だ。
もう、あきらめろ・・・
やっぱりダメなのか...
決断しなくてはならない...
マニラに残っても、
彼女に会える保証はなかった。
でも、自分がダバオで泊まるホテルは
彼女に伝えてある。
やみくもに動くより、
確定している予定に従った方が
連絡は取りやすいと思ったからだ。
結局、彼女は見つからないまま
ローカル線のチェックインカウンターに向かう。
カウンターは既にCloseしていたが
お巡りさんが話をつけて
無理やり開けてもらい
なんとかチェックインできた。
それからセキュリティゲートまで歩いて、
カバンを預けた。
えっ?靴も脱ぐの?
解ったよ、脱ぐよ...
ゲートを通り抜けてカバンを受け取った。
「おれ、1年越しで騙されてたのかな?」
そんなことを思いながら、
脱いだ靴を履いているときだった。
ゲートの向こう側で、
お巡りさんが何か叫んでる。
そーいや、ほかのお巡りさん達にお礼、
言ってなかったな...
あるんだね、ドラマみたいなことって。
「よかった、やっとあえたね。」
(二人抱き合う)
ー 完 ー
いやいや、完じゃないってば...
早くしろ!
走れ!
会えないかと思ってたよ・・・
やさしいお巡りさんたち、ありがとう...
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