フィリピン人の彼女と会って5日で婚約して結婚しなかった話 - (7)憎めない野郎ども
コンクリートの壁に、
なくても問題なさそうな入り口のドア。
Webカメラの向こう側は
こんな風になってたんだね。
映画の中に入り込んだみたいで
ちょっと不思議な感じがした。
促されて家の中に入ると、
すぐに12畳ほどのリビングなっていた。
彼女は扇風機のスイッチを入れて
自分に向けてくれた。
今、晩御飯の支度をするから。
開けっ放しの入り口から
入れ替わり立ち代わり覗き込む人。
そんなに見つめられても
なんの変哲もないただのオジサンだってば。
一人でリビングの椅子に腰かけてから
かれこれ、30分も過ぎたころには
物珍しさで覗きに来る人もまばらになり
いつもより少し豪勢な晩御飯をごちそうになろうと
している人が残った感じになった。
ちなみに、ここまでまだ彼女の家族は
誰一人紹介されていない...
部屋の間仕切りを兼ねた食器棚の横を抜け
彼女の声がする部屋の奥へと入ると
リビングと同じぐらいの広さのキッチンになっていた。
6人掛けのテーブルにお皿を並べている人が数人いる。
そのチビ二人が一番下の妹と弟だよ。
今日はまだ帰ってきてないみたい。
えっ、このタイミングで紹介すんのかい!
お父さんは、ジャンクロードバンダムを
きゅーっと小さくした感じでシャイな雰囲気だ。
お母さんは、南国のおっかさんといった感じで
体形も南国w
チビたちはご飯とおかずを口いっぱいに詰め込んで
元気いっぱいだ。
自分のことは、彼女が全部紹介してくれた...
お互いに片言の英語で時々会話をしては
Oh yes!とか言ってたけど、どこまで話が通じたかは
疑問だった。
ご飯を食べ終わると、お母さんとチビ達は
リビングへテレビを見に行ったようだ。
彼女が片づけをはじめると
お父さんが席を立ち洗い物を始めた。
なんとなく彼女の家の力関係が分かった気がする。
お皿を洗うジャンクロードバンダム
なんだか、かわいらしい。
と、突然、視界の外から人影が現れた。
やたらでかい奴だよ~、しかも顔が超怖ぇ~
K1のリングに上がればサモアの黒ヒョウと呼ばれていそうだ。
うわぁ、また一人来たよ~
今度は小柄だけど、むちゃくちゃ引き締まった身体だ...
こいつも何かやってそうだよ。
うげっ、もう一人現れたぞ~
こいつも腕が半端ね~太さだよ...
兄弟はあと2人って言ってたし、ヤバい、
俺、このままどこかに連れていかれちゃうのかな?
でも、ここまで来ちゃってるし、もう腹をくくるしかない。
結局、彼女が3人にご飯をよそってから
自分の隣の椅子に腰かけた。
彼女が野郎どもの名前と仕事を教えてくれたが
すぐには覚えられそうにないので、あだ名を付けた。
最初の奴は、サモアだ。
この地域で自警団のリーダーをしているらしい。
それでも、日本でいう公務員みたいな立場だって。
二番目の奴は、エディにしよう。
お調子者で、ビバリーヒルズコップの
エディマーフィーみたいな奴だ。
引き締まった体は、漁師をしているからだった。
三番目の奴は、キンジョー。
濃い顔が、沖縄の友達に似ているからだ。
(金城ゴメンw)
太い二の腕は、病院のコックをしていて
毎日大きなフライパンを煽っているからだった。
きっとそんな話をしてるんだろう...
ヤバい、そうこうしているうちに、
こいつら飯を食い終わりそうだぜ。
とりあえず、外の空気を吸って
彼女に状況を確認したいと思った。
家の近くのコンビニのような店まで歩きながら
彼女と話をした。
ホッとして腰が抜けそうだった...
店に着くと、入り口には自動小銃を構えた
ガードマンが2人立っていた。
この辺りはあまり治安がいいとは言えないみたいだ。
それで一緒に行くって言ったのか...
店に入ると品ぞろえは豊富で
ビールにワイン、それにつまみと氷を買って家に戻った。
そういうと、家の前にあったバケツをひっくり返して
どこからか持ってきた板をのせてテーブルを作り飲み始めた。
話をすれば、野郎どもは気のいい兄ちゃんたちで
日本の生活はどうだ?とか、仕事はどうだ?とか
自分の答えに一喜一憂しながら盛り上がっていた。
どうしたの?
昨日、近所で揉め事があってよ、
2、3人ぶん殴ったからちょっと腫れててな
ひょぇぇぇぇぇ!
買ってきた酒もなくなり、
気づけば夜中の3時を過ぎようとしていた。
今日はこれからどうするんだ?
俺がお前のためにでかい魚を取ってきてやるぜ!
俺はお前のプライベートボディガードになってやるぞ。行きたい店があればどこでも連れて行ってやる!
そして、今夜も酒盛りが確定した。。。
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