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14/12/13

フィリピン人の彼女と会って5日で婚約して結婚しなかった話 - (8)彼女への誕生日プレゼント

Image by Olia Gozha

ホテルの部屋で目が覚めたのは昼過ぎだった。

う~、まだ酒くさい。


おれ、本当にフィリピンに来たんだな〜


ネットで知り合って間もない頃

彼女が日本に居た時の話をした。


6年前、彼女が日本で働いていた時

彼女には、日本人の恋人が居た。

でも、ビザの期限が切れるために

彼氏に「必ず会いに来て!」と約束し

泣く泣くフィリピンに帰ってきた。

しかし、1年が過ぎ、2年が過ぎても

彼氏がフィリピンに来ることは

無かったそうだ...

「こころ、痛かったよ。でも、しかたないね」

日本語を忘れないように

チャットをしていたのは

まだ、その約束を信じているから

なのかも知れないと思った。


そんな、思いをしているのに

日本に居る自分に告白するなんて...


フィリピンに行こうと決心したのは、

彼女が信じていることが

ちゃんと在るんだと言うことを

見せてあげたかった。


彼女に会うことの目的は、それだけだった。

正直に言えば、彼女と恋人の関係に

なるかどうかは、あまり重要ではなかった。


自分が日本に帰った後、

彼女のこれからの生活において、

ひとつの自信に繋がれば、

それだけで十分だった。

「あっ、おきた?」

「えっ?なにしてんの?」

「シャワーした~」

「そうでなくて・・・」

彼女が頭にタオルを巻いて

バスルームから出てきた。


「おぼえてないの?」

「あなた、すぐ寝ちゃったよ」

確か、ホテルに戻るタクシーに、

一緒に乗ったところまでは覚えてる。


昨日はいろんなことがあったし、

遅くまで飲んでたからなぁ。

「帰ったんじゃなかったの?」

「エアコンあるし、ベット広いし、家よりこっちがいい」

「それに帰ったら、あなた迎えに来るの面倒くさい」

まっ、確かに...

「今日は何したい?みんなが来るまで、まだ時間あるよ」

「少し買い物出来そうなお店を見て、暗くなる前に家に戻ろうか?」

「わかった。何か買いたいものあるの?」

「見るだけだよ」

彼女の誕生日が2週間後だったので、

何かプレゼントを探そうと思った。

でも、ナイショにしておいた。


ホテルの近くのJolliybeeで、

(フィリピンのマクドナルドみたいな店)

遅い昼メシを食べて、NCCCモールという

ダバオでは、まぁまぁ大きい

ショッピングモールに来た。

さすがにモールだけあって

食べ物から電化製品まで

何でも売っている。

「チョット見たいものあるの見てもいい?」

おっと!ナイスタイミング⁉

彼女が欲しいものを、

さり気なくリサーチ開始だ!

「なに見るの?」

「うん、チョットね」

たどり着いたのは靴売り場。靴か...

靴といっても、フィリピンの靴売り場は

8割がビーサンかサンダルだw

「サンダルほしいの?」

「あぁ、チビたちのサンダルがもうそろそろ駄目になるから」

「ねぇ、買ってもいい?」

「いいよ」

「やった」

「ほかに見たいものはないの?」

「もうないよ。見たらほしくなっちゃう。でも買えないからね」

彼女は5人兄妹の長女。

兄妹の面倒をみたり、家族のために働いて、

家の生活を助けなければならない立場なのだ。


ならば、

「電気、見に行こう」

「電気?」

昨日、彼女が使っているPCを見せてもらった。

埃をかぶって今にも煙が出そうな、

型の古いデスクトップ。

ネットはUSBのWI-FIチューナーが

刺さっていた。

こんなところでも電波が届くことに驚いたが

Webカメラの映像が

ちょいちょい止まっていたのは

パソコン自体が古くて

明らかにスペック不足。

手ごろな値段のノートPCでもあれば

ふんぱつしちゃおうかなと思っていた。

でも、値段を見てビックリ!?

電化製品の値段は、

ほとんど日本と変わらない...

これじゃ、地元フィリピンでも

裕福な家の人でなければ手が出ない。

ましてや、5泊6日の旅行者のお小遣いで

買えるはずもない。

その後も収穫はなく、

彼女の家に向かうことにした。

作戦練り直しだな...


夕べは真っ暗でよく見えなかった

彼女の家の周り、ほぉ~、

こんな感じだったんだね。

さすがに観光客は来ないなw

昨日は少し怖かったけど、なんだか懐かしい。

それは、自分が子供のころに見た

日本の昭和の風景。

子供たちが遊ぶ声が響き、

隣近所は全員顔見知り。

悪さをすれば怒られる、

おっかない大人が居る。

困っている人がいれば、みんなで助け合う。


何不自由なく日本で暮らしている自分。

でも、ほんとに幸せなのは

どっち?・・・

「もうすぐ誕生日だよね?」

「覚えてたの?」

「何か欲しい物ある?誕生日プレゼントね。」

「ん~どうしようはずかしい...」

「なんだよw」

「笑うなよ!」

「言わなきゃ分からないなぁ」

「台所の配水管が壊れてるの。直したいんだ。」

彼女の予想外の答えに、

ちょっと面食らった。


ネットでのやり取りをしていた時に

何度か彼女に仕送りをしたことがある。


側から見れば、それは騙されているとか、

貢いでいるとか、そんな風に

見えるかもしれない。

でも、それは違う。


自分で何とかしようと

精一杯もがいて、それでもどうにもならず

カメラ越しの私に向かって

子供のように声を上げて泣くしかなかった

彼女の姿を見たとき、

彼女が背負っている責任の大きさと、

責任感の強さを知ってしまったから。


彼女の27歳の誕生日プレゼント

「いいよ(笑」

「なんだよ!笑うなって言っただろ!」



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