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14/12/18

【私の思い出たち】〔第二話〕

Image by Olia Gozha

姉と同じ顔

 一昨年の2学期,中学年(小学校)の参観日のことでした。当時担任を持たずに理科と書写の専科担当だった私は,参観日の懇談会に出ることもなく,職員室で仕事をしていました(確か理科の単元テストの採点だったと思います)。集中して仕事をしていた私は,私の前に静かに立つ女性の姿に気付きませんでした。そしておもむろにその女性が私に声をかけます。

「先生,お久しぶりです」

と。

 彼女の顔を見上げると,“私が誰だか覚えているかな?”というようないたずらっぽい笑顔が目に入りました。


 彼女の顔は小学生の時とは全く変わっていましたが,その笑顔で誰だか分かりました。でも,彼女がなぜここにいるのかが理解できません。彼女を教えたのは17年も前のこと。しかも教えたのはこの町ではなくて,隣町の小学校です。町で出会ったのならともかく,小学校の職員室で出会うはずがないのです。


 彼女から話を聞いてようやく分かりました。彼女には年の離れた弟がいて,彼が現在小学校4年生だったのです。私は書写の時間に彼を教えていましたが,彼女とのつながりには気付きませんでした。

 そうです,彼女は私が赴任したのを知り,遠く離れた町からわざわざ出かけてきてくれたのです。〔弟の授業参観〕という名目で。


 私は思わず立ち上がり,びっくりして大声で彼女の名を呼びました。

「ええっ,○○!」

 そして思い至ったのでした,4年生の弟さんの表情と声が,当時小学校2年生だった彼女にそっくりなのを。

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Image by Jukka Aalho

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