【襟裳の森の物語】第三夜
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〔合唱組曲『襟裳の森の物語』第一章〕
序章に続き,第一章が始まった。日本音階が入り,祭のような賑やかさが醸しだされる。力強さとかわいらしさ,そのどちらもリズミカルに表現されていく。歌いながら観客席に目をやると,まるで座席が動いているように見えた。それは,リズムに合わせて体を左右に動かす聴衆の姿がそう見えたのだった。
第一章『エゾは良いとこ…〜海に幸あふれ,山に緑光る〜』
ドゥドゥドゥ…
コンブが海にあふれている コンブが海にあふれてる 海がコンブで 湧き立っている
男も女も年寄りも 子どもたちも コンブを浜に引き上げろ!
沖の潮目に 魚が跳ねる それが襟裳の 海なのさ それが襟裳の 海なのさ
ひとつひのもと 北海道に 生きるこの身の ありがたや ありがたや
エゾは良いとこ野も山も 昇る朝日に鱗波 金銀(こがねしろがね)タントたんと
アイこの上作 そのわけだんよ! ニシン サケ マス タラ カニ コンブ
金銀(こがねしろがね)タントたんと アイこの上作 そのわけだんよ!
そのわけだんよ
北海道に生きるものの生活を切り取って描写した第一章は,労働の喜びや尊さを歌い上げるものとなった。自らを生かしてくれている自然に対する畏怖の念と幸をいただくことへの感謝の気持にあふれたこの歌は,この後の急展開との対比で,いっそう輝かしいものとなった。
特に曲の中盤に男声のみで歌われる〔ひとつひのもと〕の部分は,力強さにあふれていて,聴衆の拍手を呼び起こした。その後女声のみで歌われる〔エゾは良いとこ〕はとてもかわいらしく,男声との落差が面白いものになった。
第一章が終わった後に,全く曲調を変えたピアノが,第2章の導入を弾き始めた。
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