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15/1/2

【襟裳の森の物語】第四夜

Image by Olia Gozha

〔合唱組曲『襟裳の森の物語』第二章〕

 木内宏治さんは,旭川地方の突哨山のカタクリ群生地を守るための合唱組曲『生命の森』で,“クマゲラ太郎”や“エゾハルゼミ”などを登場させ,環境を無視した開発に警鐘を鳴らした。

 今回の組曲にも,動物が登場する。それは第二章を歌う主体をシマフクロウという設定にした部分だ。北の大地特有の種であるシマフクロウを語り部に,人間の愚かさを歌った第二章は,序章後半とはまったく違う趣の三拍子になった。

第二章『冬が来る〜シマフクロウの歌〜』

   たちの悪い人間がいるもんだ いつの時代も人間は 愚かで欲張りで困ったもんさ

   自分だけっちゅうやつが いるものなのさ

   魚たちも獣も根こそぎ取って 豊かな海も緑の森も

   根絶やしにしてしまう愚かなことさ

   木を切れ 木を切り倒せ 薪を作れ 積み上げろ

   冬が来るぞ 冬が来るぞ

   木を切れ薪を積め 木を切れ薪を積め 木を切れみんな切れ


 曲が短調になり,演奏速度を上げた効果と相まって,今までの物語が急展開していくことを感じさせる仕上りを示している。シマフクロウの嘆きを綴った前半部分が終わると,後半では人間が冬を迎える前に薪を作ろうと,急かされながら木をどんどん切り倒していく様子が描かれる。

 曲調を活かし,物語の輪郭を明瞭にするために,この第二章は男声のみで歌われた。優雅なワルツではなく,きびきびと動く三拍子になった。

 男声が歌い終わった直後からピアノの後奏はどんどんと加速していき(速度変化は,楽譜に〈アッチェレランド〉と表示されている),遂には木をすべて切り終えてしまったかのような静寂を迎える。

 指揮者の木内さんは,あまりに激しく指揮をしたために,汗を飛ばしていた。その顔は紅潮していて,今までに見たことのない雰囲気を醸し出していた。会場全体が,木内さんの熱気に引っぱられていた。

 ピアノが奏し終えた直後,ナレーターがその後の襟裳の惨状を訴える。そしてついに悲痛な叫びが聞こえるかのような第三章に突入していくのだ。

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Image by Jukka Aalho

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