第9話 コップの水はどれくらい入っている?【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
どれくらいそうしていただろう?泣き疲れ果てた顔をあげる。
バスタブから出ると、身体も頭も不思議と軽くなっていた。
服を着て部屋に戻ると、部屋の片隅に携帯が転がっている。
ふいに携帯を手に取る。
そしてそのまま何も考えず、電話をかけていた。
発信先は、お母さんだった。
ずっと聞けなかった質問
プルルル.....。
着信音が響く。
ドクッドクッドクッ
自分の心臓の音が、携帯を当てた耳からも伝わってきた。
電話をとる音がした。
お母さん 『 ・・・あ.…、まほちゃん。久しぶりやね ...元気にしてた? 』
久しぶりのお母さんの声。突然の電話に、少し驚いた様子だった。
なっちゃん伝いで聞いたような、緊迫した雰囲気はなくなっていた。
お互いに戸惑っているような、少し居心地の悪い空気が流れる。
携帯を持つ手が震えていた。自分がとても緊張していることに気づく。
だけど、頭はクリアでしっかりしていた。
何で電話をしたのか、自分でも分からなかった。
だけど、お母さんにどうしても電話をかけたかったのだ。
そして次に自分から出た言葉は、
私がお母さんにずっと聞けなかった事だった。
小さい時、どうして私ばかり怒ったの?
それは、私がずっと聞けなくて、そして恐れていた質問だった。
” 私を愛していない、好きじゃない。”
お母さんの口から、それを知るのが怖かったからだ。
だけど、今やっと、まっすぐ聞けた。
もしお母さんから、今その言葉を聞いても
私だけは”私を愛する”と決めたんだ。
自分の中の小さなわたしが、しっかり前を向いている。
部屋のすみに立ったまま、一人受話器を握りしめていた。
しかし、お母さんから帰ってきた言葉は予想外の言葉だった。
おかあさん『う....ん。そうやねえ、それはお母さんとまほちゃんがよく似てたからよ。
まほちゃんに、お母さんみたいになってほしくなかったんよ
.....お母さんみたいになってほしくない?
...なんで ?
私のことを” 愛してない ”ではなくて?
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