自閉症スペクトラムの私が生きる世界(1)

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次話: 自閉症スペクトラムの私が生きる世界(2)




小学校に行きはじめた時には、


茶色のワンピースがお気に入りで、毎日その服を着て行きたがりました。


そのワンピースがないと、学校に行きたがらなかったので、


母は、どんな日も、帰ってきては、そのワンピースを洗濯したそうです。


大変だったと思います!



私が毎日、そのワンピースを着る理由は、


そのワンピースが好きだからと言ったそうですが、


どうしてこの服が好きなの?と、母が聞いた時、


つるつるでふわふわしているのが好きと答えた私の言葉に


もしかして、肌触りかもしれないと思った母は、


同じように、ふわふわでつるつるの洋服があるから買いに行こうと


私をつれて、洋服屋さんに行ったそうです。


そして、無事に、このワンピース事件は解決したそうです(笑)。


よかった(笑)。



こうやって、こだわることにも、ちゃんと理由があります。


そして、それは、たいてい、


そのものが、自分のところから、


なくなったらどうしようという不安や恐怖から来ています。







そして、この頃の私の最大の苦しみは、


「言葉」と「映像」でした。


「言葉」は聴こえ続けていました。


返事をしない私が、何も聞いていないように感じた母は、


私に何度も同じことを繰り返し言っていましたが、


私はその「言葉」をエコーのように、


何度も反響している音のように聞いていました。


そして、それに苦しんでいました。



たぶん、聞いて話すというキャッチボールのようなことができませんでした。


話すときは、同じ「言葉」を何度も繰り返し、言い続けてしまいます。


人と話すときもそうですが、自分で話している時でも


自分で話している「言葉」を聞き、聞きながら「言葉」を言うことが


とても苦手でした。


だから、自分としては、聞き続けるか、話し続けるしかなかったのです。


このことは、とても長い間、私を苦しめました。


そして、私は、聞くことを選んだのです。


話すことをしなくなった。


話すことと、聞くことを、同時にすることが


とても、難しかったのだと思います。






そして、私には、いろんな記憶が、映像として蘇っていました。


匂いで記憶が蘇った時も、以前いった場所にまた行った時も、


映像が蘇ります。


そして、それが、すべて「今」のことのように思えるのです。


今で言うと、パラレルワールドを、同時に生きている感じです(笑)。


たぶん、時間と空間の観念が、人とは違っていたんだと思います。


1年前に来た場所に立つと、1年前の映像が蘇り、


それが、今なのか1年前なのかわからなくなる・・・。


大好きな花の匂いを嗅ぐと、以前同じ匂いを嗅いで幸せだったところへ


意識は飛んでいってしまう・・・といった感じでした。


なので、話が通じなかったり、名前を呼ばれても返事ができなかったり


何考えてたの?と言われても、うまく説明できなかったことが


よくありました。



聞かれたことに、答えられなかったり、


映像がだぶって、どこにいるのかわからなくなったりすることには


毎日、とても苦しんでいました。




次回は、パニックになる私の心の中のことについてお話します。



最初の連載ストーリー「天と地の間に生きて*現実とスピリチュアルというふたつの世界を生きていく苦しみと喜び」(全5回)はこちらから。





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自閉症スペクトラムの私が生きる世界(2)

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