自閉症スペクトラムの私が生きる世界(2)

1 / 3 ページ

前話: 自閉症スペクトラムの私が生きる世界(1)


私が、パニックになるのは、自分の思っていることが、うまく伝えられないからです。

そのことで、大切な人に、嫌われるかもしれないと思うからです。

なにか、悪いことをしてしまったような気になるからです。

押し寄せる不安と恐怖に押しつぶされるように感じるからです。

疲れてしまった時も、自分の身体の状態や、疲れたことがわからず、パニックになります。






いつも、出かけるときは大変でした。


まず、靴をはくことが苦痛でした。


なぜなら、左右対称のものがそこにあるからです。


そして、その左右対称のものに、1つずつ足を入れて履かないといけないからです。


それは、自分の中で、何かが壊れることでした。


美しい左右対称の絵を壊すことでもありました。


その絵を壊さないように、一緒に、同時に足を入れたかったのです。


でも、そんなことできませんでした。


どうしても、片足ずつ、靴に足を入れることしかできないのです。


途端に、泣き叫ぶことになります。



そんな私でしたが・・・


ある日、玄関にあった小さな箱の上に座って靴を履いた時に、


偶然にも、両足を同時に靴に入れることができました。


その時は、全然モヤモヤしなかったし、苦しくありませんでした。


泣き叫ぶことなく、靴を履いた私を観ていた母は、


私には、小さな椅子に座って靴を履くことが必要だと思ったそうです。


母の気付きのおかげで、私は、パニックの1つを乗り越えることができました。





この靴のことや、出かける時のパニックは、

自閉傾向の子どもたちの多くが持っている感覚かもしれません。


私が出会った何人もの、自閉症の子どものお母さんが、出かける時のパニックに悩んでいました。


靴へのこだわりは、いろんなものがあると思います。


出かけるときのパニックがある子どもには、どうか靴のことを聴いたり、配慮してあげてください。







また、同じものに、必要以上にこだわることがあります。


そのせいで、パニックになります。


部屋の中の何かが、動いていると、気になってしかたありません。


いつものところに、いつものものがないと不安でしかたなくなるからです。


その中でも、窓際にあった植物のことが気になってしかたありませんでした。


私の中では、お日様の当たる、一番いい場所があって、


母が掃除をして、その植物が動いていたら、納得できず泣いていました。


パニックになるくらい、私の中では、大事なことでした。


何故、泣いているのかわからない母は、ほとほと困っていたそうですが、


ある日、床に植物の植木鉢の後がマジックで書いてあったそうです(笑)。


それで、この場所が動くことを、私が嫌がっているのだとわかったそうです。


このマジック事件は、さすがに大変だったろうと思います。



植物に対する思いも、こだわりも、とても強いものがあり、


家から学校にもっていった花が枯れたり、落ちたりすると


悲しくて、悲しくて、泣き続けたそうです。


そのために、何度か、母に迎えに来てもらっています。


その記憶があるからか、今でも、切り花が、少し苦手です。








同じものを食べたがる私もいました。


それは、いろんな匂いや、食感にも、敏感でしたが、


料理をつくる母の感情を、母がつくった料理の中に感じてしまって、


食べるのが辛いことがあったからです。


そのために、人工的というか、同じように機械で作られた、


市販のパンを好んで食べるような時期がありました。


著者の大塚 れなさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。