ジュエルハウスダンス
派遣会社に勤めていたが、小金が貯まった。英語の勉強を続ける事ができない俺に、
ユウイチが言った。「どうせ日本じゃ英語の勉強できないんだから、俺が行っていたセブの語学学校に行って勉強してくれば」と。しかも全ての手続きをして、後は入金だけ、学費も値切ってくれた。
友達の好意には答えねばと、セブへ。
そこでのはなし。
セブの刑務所には受刑者への更生プログラムとして、ダンスを取り入れていている。
受刑者のダンスショーを観に、セブの刑務所へ行ってみようと、友達が誘ってくれた。
セブの役所で予約をして、月一回、四週目の土曜日に一般人に公開される、ダンスショー。セブの語学学校同期の日本人男子が、全て予約してくれた。
行きは役所から、囚人護送用のバスで送迎。
たまたま、助手席に座る事ができたのでドライバーに「what kind of clime?」
と尋ねたところ「mix murder,robber,drug dealer」との事。
続けて「decided judgment?」と聞いてみる「waiting judgment」と返ってくる。
どうやら、判決がまだでてない受刑者の刑務所(日本の留置所?)だと分かる。

刑務所に到着。さっそく売店でT-シャツを売っていた。この売り子も受刑者。
一気に受刑者との距離が近くなった。受刑者達は1Fの運動場、それを2F席の金網越しに観る。
いよいよダンスショー、スタート。
マイケルジャクソン、ジャスティンビーバー、PSYとダンスナンバーが続いて行く。
特にPSYの盛り上がりかたが尋常じゃない。流石、世界で最も再生数が多い動画の一つだ。個人的にメジャーを嫌う性格だが、やはり誰もが踊れて歌える、世界の盆踊り的音楽は必要なんだ、PSYさん尊敬します。受刑者は老若男女、まさしくmixで踊っている。 男女を一緒にするのにも驚き。
受刑者はT-シャツの色で組み分けされていて、黒T-がエース組。
ダンスのクオリティーも高い。一糸乱れぬとまではいわないが、中央でエース組が踊っている間、端のダンサー達も、全体を意識して踊っている。

知識としては、受刑者の更正プログラムの一環で、ダンスを採用している刑務所があるのは知っていたが、見ると聞くでは大違い。
目的を持った、集団行動の必要性を学ぶには、ダンスほど、最適なものはないと思う。相手の立ち位置、動きを確認し、それに自分を合わせて行く。そうして積み上げたものが、人を感動させる。
ダンスを更正プログラムに採用した人も偉いが、それを一般公開しようとするのも、かなりの決断だと思う。決して、日本では実現しないだろうとも。
ダンス終了後には、受刑者との写真撮影大会。
今までの金網越しとは違い、直に受刑者と触れ合える。ダンスの前は囚人、ダンスの後はスターだ。 どの受刑者も嫌な顔せず、写真に応じてくれる。なんなら俺を撮れとアピールしてくる受刑者までいる。
親切な受刑者たち。
誰しもが犯罪を犯す可能性があり、特に自分自身は犯罪を犯す確率高めだろうなと思っている。金網で受刑者と市民と分けられているが、違いは些細なことだろう。
ダンスショーのアレンジをしてくれた友達が言っていた「セブにはこのダンスショー観にきたから」センスあるな〜。
皆さんもセブに行く機会があれば、是非、受刑者ダンスショーを。

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