【襟裳の森の物語】第九夜

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〔再演決定!〕

「なんかそっちで,ずるい話してないか? 高学年のことも考えてくれや」


 私は待っていましたと,高学年の席に移り,今決まった話をした。高学年の先生方は私が話し終えるや,

「もちろん,高学年も考えてくれてるんだろ。なにをしてくれるんだ?」

と言われる。先生方は,にやにやしながら私の話を待つ。


 私は,ゆっくりと話し始めた。

「環境問題とも関わるのですが,合唱組曲の“襟裳の森の物語”に取り組みたいんです。襟裳砂漠が緑を取り戻すまでの感動の物語で…」

 私が全貌を話し終えると,先生方は難しい表情をした。私はてっきり難色を示されるのかと思い身構えたが,実際はそうではなかった。

「それ,俺たちも歌えるのか?」

「ピアノ伴奏は誰がすればいい?」

「語り部が必要ね。それじゃ,スポットライトも必要じゃない?」

などなど,先生方は自分たちも一緒に作品を作り上げるためには何ができるのかを考えていたのだ。


 私の考えを,身を乗り出して聞いてくれた先生方は,何度も頷いてくれた。そして一人の先生が

「校長せんせ〜,高学年も合唱合同やりますよ〜」

と,大声で校長に報告し,校長は両腕を上げ,頭上で大きな輪を作って賛意を示してくれた。

 学芸会の責任者と教務のリーダーがいっせいにこちらを向き,揃って

「特別時間を組むから,心配なく!」

と言ってくれた。


 こうして,私の“襟裳再演”が決まったのだった。


(つづく)

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