夜のタイで、七頭の野犬に囲まれて死ぬかと思った
2014年12月30日
僕はタイのアユタヤにいた。
同年3月に、インドで出会った大バカ者達と、アユタヤで再開しよう!という話になり、それを実行に移したのだ。
アユタヤで、何をするでもなく毎日を過ごしていた。
たまには生産性のあることをしよう!と、自転車で象の囲いという場所へ行ってみることにした。
同じく3月にインドで出会ったSashaという女性から、その場所の存在を聞いていた。
前回タイに行ったときは、時間がなくて行けなかったため、9ヶ月越しの訪問である。
颯爽と自転車に乗り、象の囲いへ向かった。
地図が非常に簡易的なもののため、道に迷いながら、1時間ほど漕いで、やっと到着した。
象!象!象!
動物園では遠くからしか見ることができない象を間近に見ることができて、大興奮した。
(まあ、以前も象に乗ったことはあるんだけど……)
囲いの奥には、生まれたばかりの小象もいた。
突進してくる小象を、闘象士の如くかわす。
奴らは、遊んでいるつもりでも体重が100キロを優に超えている。
油断すれば死ぬ。
一度後ろから急に体当たりをされたのだが、尋常ではない攻撃力だった。
そうやって象と遊んだり、そこで働いている日本人のサトルさんと話したりしている内に、夜になっていた。
ついつい長居してしまった。
すぐに帰ろうと自転車にまたがり、来た道を戻っていった。
しばらく行ったところに、犬が寝ていた。
刺激しないようにゆっくり通りすぎようとしたら、急に立ち上がり威嚇してきた。
それと同時に、周りから何頭もの犬が現れた。
ガサガサガサ!
バウワウ!!
グルルルルルル……
ワンワンワンワン!!!
………………
ヤバい。
七頭だ。七頭の野犬に囲まれた。
RPGで敵とエンカウントしたときは、多分こんな感じなのだろう。
それに、こいつは仲間を呼びやがったから、一頭だけ残して後のやつを倒し続ければ経験値稼ぎができる。
しかし今はそれどころじゃない。
なんとか生きて逃げ出さなければ。
噛まれたら終わりだ。
こんな野犬が狂犬病のワクチンを打っているはずがない。
まずい……非常にまずいぞ……
とにかく、犬は目が合ったら挑戦とみなすという習性があることを知っているので、できるだけ目を合わせてはいけない。
攻撃してくる気満々の奴が威嚇をしてくるため、そいつを鞄でできるだけ遠ざけ、ゆっくりゆっくりと後ずさり。
もし背を向けて走りだしたりなんてした日には、あっという間に追いつかれて噛み付かれて狂犬病にかかって死ぬ。
もうこいつらはゾンビ犬も同様だ。
目を合わせず、近づいてきた犬を遠ざけ、ゆっくりゆっくり後ずさり。この3連コンボが功を奏したか、なんとか奴らの射程圏内から外れることができた。
あとは、ダッシュで逃げるだけだ。
さて、困ったことがひとつ。
帰れない……
道を犬が塞いでいるため、帰ることができない。
仕方なく象の囲いに戻り、象使いの寮のようなところで象使いたちと仲良くなり、トゥクトゥクを呼んでもらった。
正直なところ、今までで1番死ぬかもしれなかった体験だった。
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