第13話 ルカとの出会い【少し不思議な力を持った双子の姉妹が、600ドルとアメリカまでの片道切符だけを持って、"人生をかけた実験の旅"に出たおはなし】
マチュピチュに行くタイミング
※前回の話はこちら⇒第12話マチュピチュの予言
宿の扉を思い切り開ける。
クスコの街は快晴だった。
青い大きな空と、街をくるりと囲む山が気持ちがいい。
私は地図を見ながら、
とりあえずマチュピチュのチケットが買える場所を見に行くことにした。
ー 一人では行かないで!必ずタイミングが来るから。
なっちゃんから言われた言葉がどうしても気になる。
ータイミング、一体何のことだろう。いつ来るんだろう?
考えても仕方がない。とにかく動くしかない。
クスコの街は石造りの細い道が続いている。
道の両側では、お土産屋さんやご飯屋さんがぎゅうぎゅうに並んでいた。
客引きたちの変な日本語をくぐりぬけ、細い路地を抜けていく。
チケット売り場まで、まだ大分歩かないといけない。
方向音痴の私は何度も地図を確認してはバックにしまった。
地図を持って歩いていると初心者だとバレて狙われる、
なんてそんな噂があったからだ。
細い小道も終わりようやく人通りの大きな道に出ると
そこは観光客や地元の人で賑わっていた。
そのとき、ふと男の子とスレ違った。
ボロボロの色あせた青いレインパーカーにツバのついたニット帽。
いかにも”旅人”という格好をしている。
ーあれ?日本人・・??
チラリと見た横顔は、深く帽子を被っていて、
そしてよく日に焼けすぎたのもあって国籍が分からない。
そのまま通り過ぎてしまう。
すると、後ろから小さく挨拶が聞こえてきた。
「 こんにちわーっ 」
ハッと振り返る。
その後ろ姿はもう1ブロック先まで行っていた。
…日本語だ!日本人だ!
それはクスコで初めて会う日本人だった。
気づいたら、私はもう走って彼を追いかけていた。
追いついた背中に、思い切り声をかける。
物凄く驚いた声をあげて、彼は振り向いて止まった。
すごく驚かしてしまったようだ。
この街で初めて日本人に会いました!
俺もさっき着いたんですよ。
彼は少しぶっきらぼうに答えた。
きちんと顔を見ると、彼はちゃんと日本人だと分かった。
随分背が高くて、見上げるように話さないといけない。
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