ラブレターを代筆する日々を過ごす「僕」と、依頼をするどこかの「誰か」の話。

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今度結婚をすることになっています。それを機に、今までの彼女との時間を振り返ってみると、僕は彼女に特別なことを何もしていないことに気づきました。どこか特別な場所に連れて行ったこともなければ、特別なプレゼントをしたこともありません。でも、彼女は僕に色々としてくれます。

結婚をする前に、彼女に感謝の言葉を記したラブレターを送ってあげたいと思います。言葉でもあまり気持ちを伝えたことがないので、きっと彼女は喜んでくれると思います。結婚をする彼女へサプライズをしてあげたいのです。


そんなような内容のメールだった。僕は思わず笑顔になった。読んでいるだけで幸せになる内容だったし、前回のラブレター代筆は不完全な終わり方をしてしまったが、今度は確実に大丈夫だと思った。

結婚。サプライズ。この2つの要素が揃っていれば、それこそ空白の手紙でも大丈夫だと思う。


前回に続き、今回の依頼主も東京在住だっため、直接お会いして話を聞くことになった。


20代後半。メールの文面から感じていた通り、礼儀正しく、爽やかな男性だった。質問を投げかける僕に、彼女との思い出や今後の人生設計を嬉しそうに語り続ける。小学校の同級生で、社会人になってからたまたま再会をする機会があり、それをきっかけに付き合い始めたこと。依頼主は犬、彼女は猫が好きなので、結婚したら犬と猫を飼おうと思っていること。三軒茶屋に住みたいと思っていること。子供は3人欲しいと思っていること。とにかく色々と喋る。


今回の依頼者に限らず、ラブレターを送る相手のことを話している時、誰しもが嬉しそうな表情を浮かべ、嬉々として話をしてくれる。会社の中で働いている時には見ることができないような人の表情を目にすることができる。それは、この仕事をしていたよかったことの一つだと思う。


依頼主と別れると、僕は家へと帰り、早速手紙を書き始めた。

2時間ほどで書き終え、依頼主に送った。


すごい!感動しました。想像以上の内容です!


1時間後くらいに依頼主から返信が来た。

ただ、若干の修正依頼があり、修正に関するやり取りを2,3回した後、文面が確定をした。


2週間後が彼女の誕生日なので、その時にこの手紙を渡そうと思います^^

反応、メールで連絡しますね!

やり取りの最後に、そう書かれていた。2週間後が待ち遠しかった。



お手紙を渡された結果、いかがでしたでしょうか??

お相手の方の反応などを聞かせて頂けると嬉しいです!


3週間後、つまり、お相手の方の誕生日から1週間が経過した頃、僕は依頼主にメールを送った。

誕生日である2週間を経過しても、依頼主から連絡は特になかった。ついでに言うと、納品後の入金もその時点ではなかった。


もしかしたら手紙だけ受け取って未払いなのかな、と思ったが、その考えはすぐに打ち消した。直接会った印象やメールとのやり取りから、そういう人だとは到底思えなかった。


確認のメールを送ってから1週間後に口座を確認すると、入金がされていた。

でも、メールの返信はなかった。

意味がわからなかった。入金はするけれど、返信をしない理由がわからなかった。


返信が来たのは、ずっと後のことだった。



■「病気の彼女へ感謝とお詫びを」

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