雑誌を作っていたころ(54)

前話: 雑誌を作っていたころ(53)
次話: 雑誌を作っていたころ(55)

「コールセンター・ジャーナル」


 多田さんとの「コールセンターの専門誌を作ろう」という構想は、資金とスタッフの両面で行き詰まっていた。ほかの分野でも同じだが、メインのスポンサーになってくれそうなところはどこも大企業なので、まだ影も形もない雑誌には「広告を出す」と言ってくれない。ある程度定着して、部数が安定してからでないと無理なのだ。


 しかし大手出版社ならテスト版の雑誌を何回も作ることが可能だが、零細企業の悠々社ではとうてい無理である。しびれを切らした多田さんは、「とりあえずメルマガでスタートする」と見切り発車してしまった。誌名は「コールセンタージャーナル(略称CCJ)」。


 多田さんからは「編集を頼む」と言われたが、正直言ってメルマガでは編集者の出番がほとんどない。筆者は多田さんがメインで、あとは多田さんの知り合いを一本釣りして寄稿をお願いするだけだからだ。ぼくの仕事といえば、せいぜい原稿を読んで誤字脱字のチェックをするくらい。それなら、ぼくがいる必要はない。


 それでも必死でがんばって、1回だけだがメルマガに自分の原稿を載せてもらった。奇跡的にデータが残っていたので再録してみる。1999年3月4日発行の「コールセンター・ジャーナル」である。

----------------------------------------------------------------------------

□□□□□□□□□□□□□□□ コールセンタージャーナル インタラクティブ

□□■■■□■■■□□□■□□ 1999.03.04. Vol.02 No.03

□□■□□□■□□□■□■□□ 編集発行/コールセンタージャーナル編集部

□□■■■□■■■□■■■□□ URL http://member.nifty.ne.jp/callcenter/

□□□□□□□□□□□□□□□ 購読のお申し込み <準備中>

----------------------------------------------------------------------------

(お知らせ)

 原稿は旅行中に書きためつつあるのですが、いちおう、CCJとしての体裁が作れないので、約束を違えて、東京に戻って整形してからから出すことにいたしました。

 今週から、また、数名の方をメーリング・リストに追加させていただきました。

 こんなものは欲しくない、と思われましたら、masayuki@tka.att.ne.jp宛にご連絡下さい。

*** 今週の話題 *************************CCJ

◆ ブランドロイヤリティと信頼感の微妙な関係 −−牛柄パソコンとの出会い−−

◆ モニカ・ルインスキーの第二幕 − 開幕

◆ アメリカ旅行記(1) − 安いモーテルと800番

◆ アメリカ旅行記(2) − CRM

◆ アメリカ旅行記(3) − オラクルの馬鹿どもが!

◆ アメリカ旅行記(4) − 仕事での視察、旅行者とは

◆ アメリカ旅行記(5) − インターネット

◆ 情報リテラシーという言葉の意味を考えた。

◆ 避語(ひご)

***********************************CCJ


======================================

◆ ブランドロイヤリティと信頼感の微妙な関係 −−牛柄パソコンとの出会い−−

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−CCJインタラクティブ−−−

悠々社代表・山崎修

 3年間、雨の日も風の日もひたすら使いつづけてきた東芝のノートパソコンが不調になった。

 原因は、ハードウエアのスペックを超えた使い方をしてきたからで、零細出版制作会社のメインマシンとしては、過分な働きをしてきてくれたと、本来は金一封でも出さなければならないほどだ。

 不調の最たる部分はキーボードで、私は主にJISカナ入力で仕事をするのだが、「゛」や「゜」が猛烈に渋くなってしまい、タイプするたびに「ガギッ」とか「パキッ」と音を立てる始末。ちょうど、出版社から急ぎの仕事を受けている最中だったので、深夜ひとりで頭を抱えてしまった。

 で、目に付いたのが机の上にあったパソコン誌。気分転換にとぱらぱらページをめくっていたら、Gatewayの新機種のニュースで手が止まった。

 これまでノートパソコンを使用してきた理由は、机が狭いからで、液晶ディスプレイ一体型の省スペースパソコンなら、キーボードがトラブルを起こしても、簡単に交換できる。知り合いに何人か熱烈なGateway信奉者がいて、「Mac以外でもそういう人がいるんだ」と驚きを感じていたことも、興味を引いた理由の一つにあげられるだろう。

 というわけで、早速同社のホームページを見ることにした(http://www.gw2k.co.jp/)。 新機種「Profile」は控えめだが嫌味のないデザインのマシンで、特にK6-2の400MHzという高性能の互換プロセッサと、DVD-ROM+ハードウエアデコーダーのスペックが気に入った。モデムとイーサネットを内蔵しているため、社内のネットワーク環境にすぐ取り込めるし、PCカード対応なので、これまでのノートパソコンの周辺機器が生かせる点も好条件に思えた。PDFのカタログを拡大したり縮小したりしながら数時間眺め、ついに購入を決断した。支払いはVISAカードの2回払いとし、その間は冗費を節約することで予算を捻出することも決意した。

 Gatewayは直販メーカーなので、インターネット通販のためのノウハウは、相当持っているはずだが、少なくともホームページを見る限りでは、「さすが!」とうならせる部分を感じなかった。ただ、注文書を送信したとき、「当製品の現在の納期は1週間前後です」との表示を確認したときは、BTOにしては速いな、と驚いた。

 それから待つこと1週間。

 注文確認のメールは翌日に届いたが、製品はおろか、注文請書も届かない。

 ホームページの注文の流れを説明している個所では、「注文」→「カード会社へ確認」→「注文請書の発送」→「納品」となっていて、少なくとも製品の発送前に注文請書が郵便で届くことになっている。

 さすがに少し不安になって、ホームページ上の「ステータスチェック」を試みた。しかし、チェックをするためにはカスタマーIDと注文番号が必要とのことで、まだ注文請書を手にしていない私の手には、メールで届いた「お客様控え」の注文受付番号しかない。これで調べる方法はないようだ。

 ついにヘルプデスクに電話をかける決意をする。ホームページに表記されていた問い合わせ番号に電話をかけると、2コールでやや明るめの女性の声につながった。

−−プロファイルを注文した者なのですが。

「お客様のカスタマーIDを頂戴できますか?」

−−注文請書がまだ到着してないので、わかりません。メールでもらった受付番号はPCの000……

「申し訳ありませんが、受付番号ではお調べできません。お名前とご住所で検索いたします。まずお名前からお願いします」

−−名前は山崎修、住所は自宅が……

「はい。ところでお客様、ホームページには納期はどのように書かれておりましたでしょうか?」

−−???……1週間前後と。

「申し訳ございません。現在、2、3週間の納期を頂戴しております。お客様の商品は……現在マレーシアで組み立て中です」

−−ということは?

「まだはっきりとしたことは申し上げられませんが、おそらく3月の第1週くらいかと。来週になりましたら、またお電話いただければ、確かなことがわかりますが」

−−はい。ところで注文請書が届かないのですが。もしかしてカード会社にはねられたのかな?

「それは大丈夫です。組み立てに入ったということは正式に受注したことを意味しますから」

−−そうですか。安心しました。

 翌日、自宅に届いた注文請書を手に、再びGatewayのホームページを見に行く。ステータスチェックを試すためである。念のためにProfileの製品情報を見ると、「現在納期は正式手続き完了後、2〜3週間前後でお届けしております。しかしながらシステムの構成内容や交通事情、天候等により納期が変更となる場合がありますので、予めご了承ください」となっていた。

 ステータスチェック画面では、カスタマーIDと受注番号(数字部分と文字部分を別の窓に入力する)ように促される。私は自宅住所で注文し、届け先を会社にしたので、カスタマーIDが2つ発行されていた。いろいろと順列組み合わせで入力してみたが、どうしてもエラーになってしまう。もういちどステータスチェック画面の説明を見に戻ると、「受注番号の末尾がS5とSJの方がご利用できます」と書かれていた。私のはS7だ。

 この不可解を解明すべく、メールで質問状を出そうと思っているうちに、仕事がピークを迎え、徹夜モードのうちにいつしか忘れてしまった。

 3月1日、外出から戻ると、会社に牛柄の巨大な箱が鎮座している。ついに納品された。注文日は2月8日、注文請書に記載されている受注年月日は2月12日だったので、発注から21日め、正式手続き完了後17日めの納品ということになる。ホームページに最初から「納期は2、3週間」と書かれていれば、何の問題もなかったはずだ。

 推察するに、新製品であるProfileは初期ロットをある程度作りためてあったので、その分に関しては1週間前後で納品することが可能だったのだろう。それが尽きたか、私のカスタム注文(WordとExcellのプリインストール)に対応した商品がなかったので、他のBTO商品と同じ納期になったのだろう。

 そうは思うものの、もし仮に私が注文の10日後にこの製品で仕事をしなければならない状況だったとしたら……。

 前述したようにGatewayのユーザーには信奉者が多い。話をしてみると、かつてのMacユーザー(エバンジェリストと呼ばれていた)と同様の熱気を感じるし、そういう人たち(「牛飼い」とか「牛使い」と自称している)の個人ホームページを見ると、センスのいいヘビーユーザーが多いことが感じられる。

 そのようなユーザーを多数抱えていることは、企業にとって誇りとすべきことであろうし、口コミによる良質の宣伝も期待できるはずだ。

 だとすれば、ヘルプデスクもホームページも、通常の通販業者より以上にプライドの高い仕事をするべきではないか。少なくとも納期の情報はリアルタイムに表示すべきであろうし、ステータスチェックはきちんと動くようにすべきだ。古い情報で購入アクションを起こしたユーザーに対しては、メール等で情報を流すこともできないことではないだろう。

 とここまで書いたところで、先日入会したGatewayのメール配信サービスから情報が届いた。

「ご注文のパソコンの出荷・納入スケジュールをWebで確認できる『Gatewayステータスチェック2』スタート!!!」とある。内容は

 新機能1.出荷予定日をご確認いただけるようになりました!

 新機能2.表示されるステータスの区分が更に細かくなりました!(従来の4ステータスが、倍の8ステータスへ)

 新機能3.メール配信サービスへの登録で、最新のステータスをメールでご確認いただけます!(出荷予定日の変更もすぐに把握できます)

とある。受注番号の末尾がS7のものも対象に入っていた。

 きちんとやることはやっているようだ。

 本稿の趣旨からは外れるが、GatewayProfileの使い心地にも触れておこう。Pentium100MHz搭載のノートパソコンと比較するのは無謀だが、15.1インチのTFTモニターは明るく、シャープである。ソフトがないのでDVD-ROMはテストしていないが、CD-ROMでは何の問題もない(ノートパソコン用のパーツなので、強度が不安ではあるが)。大ぶりのキーボードはタッチも良好、ネットワーク、モデムともに支障がない。なにより、余分なソフトがインストールされてないことと、マニュアル類が簡潔なことがうれしい。

 これで、販売時点でのユーザーインターフェースが完璧になれば、安心していろいろな人に勧められるのだが。

 −−(追記)−−

 悠々社の山崎さんに、「原稿を書くヒマがない」と泣き言をいったところが、さっそく、忙しい時間を割いて、原稿をいただきました。

 旅先で、電子メールで送られてきた原稿を読んで、「さすがは編集のプロだ!」と感心したのでありました。

 インターネット通信販売の盲点がきちんと描かれています。

 その山崎さんと語り合って、雑誌「コールセンター・ジャーナル」なるものを創刊しようといたしております。近く、そのための準備室なるものを悠々社にお願いします。

 この話、戻れば、昨年(1998年)の初め頃からの私(多田)の懸案のようなものであります。

 もう少し、論理的に、科学的にコールセンターとそのマネジメントなるものを、きちんと語りたい、という思いで準備を始めます。

 関係者の方々のご協力もお願いいたします。

カタリエ3に投稿されたストーリーがついに書籍化!
(表紙画像からamazonに飛べます)

Katarie3 book

続きのストーリーはこちら!

雑誌を作っていたころ(55)

著者の山崎 修さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。