自分探しの旅に出た大学生が見つけた、ただ一つの真実 ~第2話 暗闇の中の爆走~
1日目 出発の日
「ジリリリ、ジリリリ」
目覚まし時計とともに目が覚める。
ついに自分探しの旅、出発の日。
遠足が楽しみすぎて寝れない小学生のように
ワクワクとドキドキから寝れないかと思っていたが、
昨夜は、ぐっすりと眠れた。
空は、快晴。
出発の日に相応しい天気。
高まる気持ちを抑えつつ、忘れ物がないか入念にチェックし、準備を整える。
自転車に十分な空気を入れ、鞄を前後のタイヤに設置。
準備体操をして、自転車にまたがる。
昼の12時。
8日間帰らない家に「行ってきます」と言って、飯能の家を出発した。
まずは、一日目の目的地「厚木」を目指して進むことにした。
厚木までの道は、基本国道を走るため、車にぶつかりそうになっただけで、
特に面白いことはないが、ただ、とても気持ちよく走っていたことは覚えている。
・・・
夜18時、目的地「厚木」に到着。
走っている最中は、カロリーメイトしか食べてなかったため、
パワーを補充しに、厚木の松屋で夕食。
松屋で
「この後、どうしようか?」
と考え、選択肢は3つ。
①健康ランドに泊まる。
②マンガ喫茶に泊まる。
③そのまま進む。
優柔不断な岩間は、とりあえず西方面に向かって行く途中で、
健康ランドがあれば、健康ランドに泊まり、
マンガ喫茶があれば、マンガ喫茶に泊まり、
なかったら、そのまま進む。
「よし、これで行こう!」
まさに行き当たりばったりの旅。
松屋でパワーを補充し、西に向かって再出発。
と、10分も走らないうちに健康ランド発見。
「まだ19時だし、さすがに休憩は早いな。先に進もう。」
早くも選択肢が一つ消える。
と、また10分も走らないうちに今度はマンガ喫茶発見。
「まだ19時だし、さすがに休憩は早いな。先に進もう。」
再び、選択肢が一つ消える。
「まだ進めるな」と思っているうちに、店や家がなくなり、気づくと山の中を走っていた。
そこで、岩間は決断する。
「そのまま進もう」
優柔不断から卒業した岩間がそこにいた。
進むことを決断し、とにかく西へ向かって走った。
山奥に突入し、周囲は暗闇。
そして、間違って、基本車しか走らない道に入ってしまい、車にどんどん追い越される。
その度に「自転車が邪魔して、ごめんなさい」と心の中でつぶやく。
ようやく自転車も走れそうな道を見つけて、その道に避難する。
だが、その道は電灯がなく、車が通らないため、光は貧弱な自転車のライトのみ。
更なる暗闇の恐怖が襲う。
「あ、危ない!!」
突然、動物らしきものが目の前を横切る。
急ブレーキをかけ、動物らしきものには当たらなかったが、
暗闇の恐怖だけではなく、動物らしきものの恐怖が追加された。
あらゆる恐怖と戦いながら、なんとか住宅がある道までたどり着いた。
もちろん人は歩いていない。
その時、時間は24時。
とにかく休憩するところを探すため、さすがに御殿場なら何かあるだろうと思い、
御殿場を一日目のゴールとして設定する。
夜中2時、御殿場到着。
「御殿場に着いたー!さて、休むところを探そうかな。さすがに駅前には何かあるでしょ」
御殿場駅前に着き、そこで岩間は自分の甘さを後悔する。
「な、何もない( ゚Д゚)」
岩間の時間が止まった。
「・・・さ、さて、どうしよう。・・・まぁ時間もあるし、とりあえず駅前をぶらぶらしてみよう」
ぶらぶら自転車で走っていると、いきなり女性に声をかけられた。
「お兄さん、どうですか?」
岩間は、一瞬でその言葉が意味するものが何か分かったが、
旅人としてのプライドが許さず、
「結構です」
と丁寧に断り、再び、駅周辺を散策した。
その後、
女性の前を通る → 声をかけられる → 断る
を何度か繰り返した。
夜中の4時になり、さすがに疲れてきたため、
意外と近くにあったファミレスを発見し、そこで休憩することにした。
ファミレスに到着し、朝食セットを注文。
松屋振りのご飯だった。
朝食を食べた後、疲れと眠気からいつの間にか眠りについていた。
・・・
朝の6時。外は明るくなっていた。
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