自分探しの旅に出た大学生が見つけた、ただ一つの真実 ~第6話 願望が現実に~
5日目 富士五湖よ、さようなら。
「・・・」
(アラームのセットし忘れで)無音の中、岩間は目が覚めた。
早速、朝風呂に入り、めちゃめちゃいいおじさんにお礼の挨拶をして、出発。
今日の目的地は、「行けるところ」まで。
こういうザックリ感が好きです。
とりあえず富士五湖は制覇しようと西湖へ向かう。
だが、途中に恐ろしいくらい急な上り坂が出現。
・・・西湖は知らなかったことにして、次の湖へ。
そして、精進湖、本栖湖を通り、富士四湖を制覇。
本栖湖を過ぎると、あとはほぼ下り坂オンリー。
あの上り坂オンリーを乗り越えた岩間にとっては、今までの苦労が報われた瞬間だった。
その後、B級グルメの富士宮焼きそばを食べることなく、富士宮を通過。
あくまでもただ走るのみ。
寄り道をして、白糸の滝なども見ながら、ようやく沼津に到着。
時間は、夜の18時。
願えば叶う。
沼津を抜けると、難関「箱根峠」。
ここで無理をしてはいけないとさすがに学習しているため、沼津で休むことにした。
沼津には、カラオケやマンガ喫茶がたくさんあって、
夜を明かすのには困らなそうだと、安堵感に満たされていた。
御殿場、山中湖、河口湖を経験したからこその安堵感だった。
まだ時間もあったので、とりあえず沼津市内をぶらぶらを走っていた。
信号が赤になり止まっていると、隣にロードレーサーに乗っているおじさんが。
この旅で自転車に乗っている人に挨拶する習慣が身についていた岩間は、自然とおじさんに挨拶。
岩間「こんにちは」
おじさん「こんにちは。すごい荷物だけど、どこから来たの?」
岩間「埼玉から来て、富士五湖を回ってきました」
おじさん「すごいね!」
岩間「とんでもないです!」
褒められて嬉しそうな顔をする岩間。
岩間「ところで、ちょっとお聞きしたいのですが、この近くにカラオケや健康ランドってありませんか?」
おじさん「そうだなぁ・・・健康ランドが向こうの方にあるよ」
岩間「本当ですか?!」
おじさん「家に帰る途中にあるから、案内してあげるよ」
岩間「ありがとうございます!助かります!」
そして、おじさんに健康ランドへ案内してもらう。
おじさん「ここだよ」
岩間「ありがとうございました!」
おじさん「いくらくらいかな?2,500円みたいだね」
岩間「(2,500円なら安いからここにしよう)」
おじさん「高いなぁ」
岩間「(いえ、安いですが・・・)」
おじさん「もったいないから良かったら、うちくる?」
岩間「(・・・えっ!)い、いいんですか?」
おじさん「いいよ」
岩間「ありがとうございます!お言葉に甘えさせていただきます!」
岩間は、テレビ的な感じで、会ってから30分の知らない人の家に泊まることが決定した。
出発前に決めたルール
「⑤知らない人の家に泊まる(願望)」
が現実になった瞬間だった。
そして、おじさんの家に案内してもらった。おじさんは、お母さんと二人暮らし。
お母さんとも旅の話などをして仲良くなった。
さらに有難いことにご飯やお風呂まで頂き、布団も敷いてくれた。
人の優しさに涙が滲む。
そして、人のご縁に感謝し、旅は何が起こるかわからないと思いながら、岩間は眠りについた。
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