【第八話】『旅人になった日』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
今、僕が歩いてるのは、神奈川県から山梨県に入る峠道。
隣の県に行くのに、歩いて行くだろうか?
普通の人は電車やバス、車、バイクなどの交通手段を使う。
当然、
「山梨まで歩いて行ってきまーす!」
なんて人はいない。
人が歩いて使わない道。
人の歩くスペースなんていらないのだ。
すなわち、人が歩くような道ではないのだ…。
ということは、車を運転している人たちも、
人が歩いてるとは全く思っていない。
容赦ないスピードで、峠道を攻めて来る。
最初、僕は道路の左側を歩いていた。
後ろからもの凄い音を立てて、バカでかい鉄の塊が高速で接近してくるのだ。
しかも、通り過ぎるまで目には見えない。
視界に入った時は、超至近距離で僕の真横を猛スピードで通り過ぎていく。
「ひぃっっっ」
後ろから突っ込まれたら、回避のしようがない。
100%不意打ちであの世に行くことになる…。
僕が知りたいのは、答えだ。
本当の自分の気持ちだ。
闇雲に死にたい訳ではない。
常に背中に、死の恐怖を感じる…。
歩いているだけで、死の恐怖を感じたことがあるだろうか?
反対車線へダッシュ!!
高速で車が走り抜けるところを横切るのは結構勇気がいる。
しかもめちゃくちゃ重たい荷物を担いでダッシュするのは、もの凄い体力を消耗する。
「あぁっ!」
なんてコケちゃった時には、もう完全にあの世行きだ。
ただ歩くだけなのに、すべての動作に神経を使う。
それでも、冷や汗をかきながら、無事に反対車線へ辿り着く。
これで、後ろからの恐怖は無くなった。
しかし、今度は正面から恐怖を味あわなければならない。
不意打ちから、真っ向勝負になる。
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