【第10話】『ゴールは決めない』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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と言ってくれた。



見ず知らずの人だが、応援されるのは嬉しかった。


自分のためにやっている旅だが、

人が応援してくれることをやっているんだと思った。


結婚するために、就職をし、

仕事を頑張り過ぎてうつ病になり、婚約破棄になって、

今までやってきた行動はすべて間違っていたんだと

生きてきた26年間に完全に自信を無くしていたが、

自分独りで決めたこの旅が

正しい行動なんだと思わせてくれる「頑張れ!」だった。


おっちゃん、ありがとう!






一万円の価値のある紙…



辺りはもう日が暮れ始めていた。


今は10月中旬。


夜になると少し冷える。


冷えは寒いだけじゃない。


筋肉が硬直する。



「ピキッ!」



右足に激痛が走った。



この一瞬を境に、僕の右足は動かなくなった。


足を曲げるのも、伸ばすのも激痛が走る。


想像出来ないかもしれないが、


「こんなにも痛いものか!?」


と思うくらいに痛い。


右足を引きずりながら、時速2kmくらいの超スローペースで歩く。


3日目にして、ついに右足がイカれた…。


思っている以上に身体を酷使しているのだと思う。

足が動かなくなるほどの痛みは、人生で初めてだった。



あと少しで天然温泉の露天風呂が待っている…。


その希望を胸に、真っ暗な道を足を引きずりながら歩いた。





目的のホテルを発見!


近くにコンビニがあったが、右足が痛過ぎて立ち寄る力はもう無い。


一刻も早く足を休ませなければ…。

一刻も早く温泉に…。

一刻も早く大好きなサウナに…。


夜ご飯は要らない覚悟でホテルに向かった。






そして到着し、チェックインの手続きをする。



ここで事件が発生する…。



お金の入ったポーチが、前日の雨でビッチョビチョになっていた。


中に入っていた一万円札はもちろんビッチョビチョ。


カードで払いたかったが、現金のみの取り扱いだった。


仕方なく、タオルで優しく水分を拭き取り、

シナシナになった一万円札を差し出した。


濡れてはいるが、一万円札には変わりない。


間違いなく一万円の価値のある紙だ。



しかし!!!



「これではお受け取り出来ません。」


フロントの男に、一万円の価値のある紙を突き返された。


感じの悪い男だった。


きっと僕の格好を見て、見下しているのだろう。



お金を下ろさなければ、払えるお金が無い…。


フロントの男は、


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