もう恋なんてしないなんて、言わないけどやっている【第5話】
ネット失恋
ロールプレイングにのめり込んでいく中で、あるゲームとの出会いがオンライン失恋や、その後のフラグブレイカーのきっかけとなった。
そのゲームの名前は「武神幻想サムライキングダム」
高校を卒業し、会社員になってから遊んだPBW(プレイバイウェブ)というネットゲームの一種である。
自分でキャラクターを作り、絵師にイラストを発注してつけてもらって他のプレイヤーのキャラと交流しながら、ゲームのストーリーを楽しんでいくという変わった形式のゲームだった。
しかし、ひびきのネットでキャラクターになりきる楽しさにハマった僕にはこのスタイルが非常にマッチして、キャラクターを作りイラストを頼んでチャットや掲示板で多くの人と交流をすることになった。
ゲームの中ではあるものの、義理の兄や妹など兄弟姉妹を作ることが何よりも楽しかった。
なぜならば、ゲームの中で動くのは僕の理想とも言えるかっこ良くて優しいキャラであったし、そのキャラクターが慕われて交流の幅が増えることが快感にもなっていった。
更に、ここでも恋人を作り季節ごとのイベントを二人で過ごすことをネットを経由してではあるものの楽しむことができた。
ものすごく、順調で楽しい日々だった。
だが、ある日。
突然にその恋人と会わなくなった。
原因がわからずに周囲の人に相談をしたものの解決ができなかった。
ネットでの付き合いだったものの、その時の僕は精神的に疲弊していた。
原因がわからず、何の前触れもなく消えてしまうということがとても恐ろしく、寂しく、辛かった。
心配されて、優しくされることが辛いこともあった。
リアルの恋愛ではないのだと、誰もが思うかもしれないが。
現実と同じ時間を過ごして深まった場合は、リアルも変わらない感情が得られる。
そう思わずにはいられなかった。
恋人が音信不通になってから半年あたりが過ぎたころ、新しい恋人を作り(それでもすごく躊躇したくらいにゾッコンだった)落ち着いた。
ネット恋愛で大きく失恋した自分だが、ネットの交流をやめることなく恋愛スタンスを変えて動くことにするのだった。
……続く
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