原因不明の肝疾患で肝移植してから約10年, 闘いは今も続く その⑨ 経過良好~逆行性胆管炎

前編: 原因不明の肝疾患で肝移植してから約10年, 闘いは今も続く その⑧ 退院~肝移植後、はじめて体調を崩す
後編: 原因不明の肝疾患で肝移植してから約10年, 闘いは今も続く その⑩ 逆行性胆管炎頻発, 脳死移植に向けて

順調過ぎるほど順調

腸炎以降、特段の変化もなく日常を過ごしていました。定期的な通院と薬の服用で上手くコントロールできているようです。

何かあったとしても、たまに発熱していたぐらいでしょうか。それも病院に行く程でもなく、1日寝ていたら治るレベルのものでした。

この頃は通院間隔は、1ヶ月から長いときで3ヶ月弱ぐらい空けるときもありました。

余り間隔が空くと困るのが医療費です。

通院時は毎回血液検査のために採血しますが、これが数千円。他にもMRCPや造影CTなど、ちょっとした検査が入ると1万円弱ぐらいは軽く飛んでいきます。

薬にも結構なお金がかかります。免疫抑制剤は薬価が高く、1ヶ月分で数万円にもなります。

都合、年間では数十万円程度, というか100万円弱ぐらいは医療費に使っていました。ある程度は想定できていましたが、薬にかかる費用がここまでというのは、事前の情報収集でも漏れてしまっていました。

そしてこのお金の問題は、この先4年間強, 2010年4月まで付いてまわることになります。


肝生検再び

原発性硬化性胆管炎(PSC)は、原因不明で治療法のない慢性肝疾患だということは以前にも何度か書いています。

内科治療・外科治療ともに研究は進めているそうですが、自己免疫性肝疾患と幅を広げてみても患者数が少なく、まだ効果的な治療法は出てきていないようです。

その一環で、PSCの場合、再発していないかの確認のためにも、年に一回ぐらいは肝生検で肝臓の組織の状態を調べておいた方が良い, という話が出てきました。

特に断る理由もなく、入院して検査することに。これが2007年秋頃で、肝移植からは2年程度経過しています。

検査自体は以前にしたことがあり勝手も分かっていたので、前日までの準備も検査当日も滞ることなく無事に終わりました。ただ、どうしても慣れないのは針が入ってくる感覚です。麻酔するので痛みはないものの、針が入ってくるのは分かるので、なんともいえない恐怖感があります。

麻酔などの準備にすこし時間がかかるぐらいで、針(生検針といいます)を刺して組織を取って針を抜くまでは長くても1分~2分程度です。そのわずかな時間がとてつもなく長く感じます。

検査結果は外来で・・ですが、詳しいことは覚えていません。


この次の肝生検は、2年空いて2009年秋頃にしました。同じように検査し、このときの検査結果も記憶にはありません。

既に年1回のペースでもなくなっていますし、そのぐらい経過順調・安定していたのてしょう。


かゆい? 黄色い? だるい?

ちょっとした症状が出始めたのがその翌年, 2010年春頃です。

腕や脚を無意識のうちに掻いていることがありました。よく見てみると肌が黄色味を帯びているようにも見えます。そう思っているとこころなし、身体もだるい気がしてきました。

これが数日続き、外来予定日がまだ先だったので、念のため病院の夜間診療を受けておくことにしました。

例によって採血して血液検査です。結果では極端な異常ではないものの、確かに黄疸を示す数値は上がっています。入院加療するか, という話も出ました。

ここまで4年半程、腸炎はありましたが、肝機能は安定した状態を保ってきてこの事態です。この先どうなるのか、このままどんどん悪くなっていくのか、嫌な方向へ思考が向いてしまいます。


このときは入院はせず、炎症を抑える抗生剤の飲み薬で様子を見て数日後に外来受診, となりました。

外来時の血液検査では状態は多少は改善されていました。この結果で、このまま様子を見ていくということに落ち着き、入院は回避できました。

しかし、大きな不安要素の発生に違いはありません。念のため、肝生検で調べることになりました。


身体障害者手帳

肝生検は毎回のことなので、割愛します。

入院中、肝移植のときにも費用面で動いてもらっていた医事課の方がやってきました。

検査当日、終了後のベッド上安静中で、そのときは何を言われているのかしっかりと把握はできなかったのですが、大事なことのようです。

要約すると、

今年(2010年)の4月から肝移植した方は身体障害者手帳が交付されます(意訳)
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医療証が発行されるので、月の負担額は1000円までになります(意訳)
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薬は全額公費負担になります(意訳)
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1回の説明ではよく分からなかったので、後日もう一度確認したところ、やはりおおよそ間違いないそうです。

正確には、このような条件です。

・2010年4月から、一定の基準を満たした肝臓機能障害がある場合、身体障害者手帳が交付される ⇒ 障害者自立支援医療(更生医療)

・その基準に、肝移植後の抗免疫療法が含まれる

・自立支援医療(更生医療)は、都道府県知事等が指定する指定自立支援医療機関でしか行えず、この病院は指定されている

・その場合、自己負担額はひとつの医療機関あたり1日500円以内で、月2日目(最高1,000円)までになる ※入院は別

・処方せんによる薬価の自己負担は無し

申請の際には、主治医の診断書など病院からの書類も必要なのですが、自分で手配した覚えはありません。手続きも医事課でしてもらっていたようです。

更生医療の制度が変わり、今まで年間100万円弱使っていた医療費がこれ以降、大幅に減ることになりました

実質、金銭面はかなり厳しく、このタイミングでこの精度はとても助かりました。


逆行性胆管炎

次におかしくなったのは、同年7月頃

突然、前触れもなく寒気に襲われました。夏場で冷房を入れているとはいえ、暑くなる季節です。にも関わらず何かはおっていないとガタガタ震えてくるぐらいです。

頭痛もあり、こっちの方を早く治したいため、手持ちの鎮痛剤を使いました。鎮痛剤が効いてくると寒気も引いてきます。数日間はこれでしのげましたが、寝ている間に強烈に震えが来てダウン。体温を測ってみると40℃近くあります。

これではどうしようもなく、夜中ではありますが119番

即、入院です。

発熱の原因は胆管炎。胆汁の通り道であり肝移植で入れ替えた肝臓と腸の繋ぎ目である胆管に、炎症が起こったことによる症状です。

発熱は解熱剤で抑えました。解熱剤が効いてくると発汗してきて、汗で着ているものはすぐダメになります。またいつものように絶食は確定なので、栄養と水分補給の点滴開始です。

このあたりまで、病院に運び込まれてからすぐに手際よく処置されました。

体温は解熱剤で下げたに過ぎないので、薬の効果が切れるとまた上がってきます。

最高では、よくいわれる高熱の限界値 42℃近くまで上がったときもあります。40℃を越えるとまともに動くこともできませんでした。


翌日からは抗生剤の点滴による治療も始まりました。

すぐに目に見えて効き始めることはなく、数日間はベッド上でぐったりです。効果が出始めると症状も早期に治まり、発熱はなくなり、一時的に悪化していた肝機能も戻りました。

こうなると食事を再開し、食べても症状がぶり返すことがなければ退院です。

この後、同様の胆管炎は何度も繰り返しますが、だいたいいつも同じような経過を辿ります。入院期間は毎回10日間~2週間ぐらいです。

もうすこしで肝移植から5年というところで、問題点も出つつあります。


ここから先はその時々によって主訴は異なりますが、何らかの不具合を抱えながら日常生活とのバランスを取っていくことになります。

続きのストーリーはこちら!

原因不明の肝疾患で肝移植してから約10年, 闘いは今も続く その⑩ 逆行性胆管炎頻発, 脳死移植に向けて

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