【第7話】変身願望とTRPG
オンラインセッションとの出会い
ルールブックを読み込んだあとは遊ぶ場所を欲した。
しかし、鬱で人と出会うことが苦手になっていた僕にはその機会を得るにはハードルが高すぎた。
なので、自然と活動場所はオンラインに移っていく。
そこで見つけたのがオンラインセッションという存在だった。
ネット上でサークルを作り、そこに集まったメンバーでTRPGを遊ぶというものである。
チャットソフト(この当時はICQが主流だった)を使い、セッションの場所を確保して遊ぶトーキョーN◎VAのサークルに入り、オンライン上で交流をしていくことになった。
不思議なことに、同じゲームを遊ぶ集まりということからかすぐにそのサークルでは馴染み、オンライン上でキャラクターを作って遊ぶようになった。
オンライン上で遊ぶことの利点は文字情報のため、演技力が入ることだった。
セッションをやっている間は、自分の創りだしたキャラクター(N◎VAではキャストと呼ぶ)になりきって演じてのやりとりが大きく盛り上がった。
そのために、裏舞台ともいうべきPL同士で話すチャットエリアと、キャラクター同士がやりとりするチャットエリアを分けて遊ぶほどであった。
こうして、オンラインで遊んでいるとキャラクターになりきる……
つまりは、変身しているような気分を存分に味わっていたのである。
しかし、だんだんと遊んでいくとシナリオを作るゲームマスター(N◎VAではルーラーと呼ぶ)が足りずにシナリオの抽選に落ちるようになって遊ぶ機会が減ってきてしまった。
非常に困った。
せっかく遊びはじめて楽しんでいるのに機会がなくなってしまう!
そう思っていた僕は、考え方を変えることにした。
いや、遊べないのならGMになってしまえばいいじゃないか……と。
考えながらも、自信がなくモヤモヤとしながら年末を迎えようとしていた。
そして、ある年の12月31日、急遽年越しセッションをやることを決めてしまうことになる。
……続く
著者の白井 真一さんに人生相談を申込む
著者の白井 真一さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます