【実話】30歳まで童貞だと人はどうなるのか? 第二話

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丘の上にその建物はあった。


神々しいオーラを纏う風格のある建築物。
その建物に彼女は住んでいる。


僕は子供の頃から割りと行動力はある方だと思う。
思いついたらすぐにやるし、細かいことを考えるより動きながら修正をかけるほうが効率がいいと考えている。

いわゆる「走りながら考えるタイプ」ってやつだ。

これまでも女の子を好きになった事はあったが、交際をしたことはなかった。


だから好きになった女の子と付き合うために告白というものをしなければいけなくて、それをするためには相手と直接会わなければいけないというのを知らなかった。

僕のルームメイトのじゅんやくんがそういった女の子と付き合うためのハウツーをわかりやすく簡潔に教えてくれた。

それで彼は僕にこう言った。
「んじゃ今から下に言って電話してこいよ。」


僕はその瞬間、自分の目的を達するために、一本の電話がとても重要な意味を持っていることを理解し、テレホンカードを持って電話に向かった。

僕が生活をしている男子寮の1Fにある公衆電話を使い、女子寮の代表番号に電話をかけたのだ。

プルプルプル…。

電話の呼出音がなり、女子寮の管理をしている人が出た。

「はい、レジナムンディ寮です。」

緊張の瞬間。

全身の筋肉が硬直し、心臓の鼓動がリアルに聞こえてくる。

「あの、僕は細野というのですが、そちらにXXさんはいらっしゃいますか?」

「はい、寮内にいますよ。ご家族の方ですか?」

「いえ、僕は男子寮に住んでいるものなのですが、個人的にどうしてもお話したいことがありまして。それで電話をしたんです。」

「わかりました。しばらくお待ち下さい。」

こういったやりとりをして、彼女を呼び出してもらえることになった。

この時点で僕は彼女に会ったことも、話したことも一度もない。

体育祭であったり、遠足などのイベントで遠目に何度か見て、素敵な人だなーと思っていただけ。
本当に彼女のことを何も知らない状態で勝手に好きになり、勝手に電話をかけて呼び出した。

今思うと非常識極まりない輩だったわけだが、当時の僕はそれが非常識だとか無礼だという認識がなく、そうすることで自分の目的が達成される。そしてとてもいい気分になれる。

そう信じていたんだ。

それで数分電話で待っていたら、彼女が電話口に出た。

「はい、もしもしXXですが。」

彼女が電話口で話し出した。

「はじめまして、僕は同じ中学2年の細野と言います。突然電話をしてごめんなさい。実は個人的にお話したいことがあるのでこれから会ってお話することは出来ませんか?」

直接会って話したことも、お互いのことを何も知らない女の子にいきなりこう切り出した。

そうしたら「いいですよ。どこで会いますか?」

快く彼女は会ってくれると言ってくれたのだ。

今振り返るとよくOKしてくれたなーって感じなんだが、なぜか話が通った。

だから勢いに乗ってこう言った。

「そうですね。今から20分後に校舎の2FにあるB組の部屋はどうですか?」

彼女が答える。

「わかりました。行きますね」


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