【第17話】『奇跡のおばちゃん』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
ただ前へ。
そして、それを繰り返すこと。
僕は歩きながら、純粋に景色を楽しんだ。
この時間を、
この空気を、
この旅を楽しんだ。
確実にゴールへと近付くこの道のりを、
終わりへと向かう残されたこの時間を、
全身で楽しんだ。
大自然の中を歩く。
今日の自然は、これまでの道のりとは次元が違った。
人の生活する気配を感じない、大自然だった。
ワクワクした。
見たことのない景色の中にいることが嬉しかった。
新しい経験は、確実に人を成長させる。
初めて見る、感じることが、
僕自身が生まれ変われるようで、嬉しかった。
今日は物凄く足が軽い。
僕は集中していた。
必ずゴールに辿り着くということに集中していた。
休憩する時間がもったいないと思うほど、足は前に伸び、
これまでにない程の早いペースで歩いた。
いいリズムだった。
やはり気持ちは大事だ!
今日僕は、糸魚川へ行く。
いつもの2倍の距離を歩く。
何としても、何があっても、
絶対に行く。
出来るか、出来ないかなんて、
もう考えなかった。
「やる!」
これしか頭になかった。
栂池高原を通過し、白馬ともおさらば。
小谷村に入る。
「こたに」ではなく、「おたり」と読むらしい。
千国街道、塩の道。
昔、糸魚川から塩や嗜好品を運んだ道らしい。
その道の終わりが、6日目に泊まった塩尻。
塩の道の尻だから、塩尻。
合ってるか分からないけど、多分そう。笑
名前って面白い!
歴史って面白い!
この旅で僕は、色々なことに気付き、学んだと思う。
この10日間でこんなことが分かった。
ドライバーに気付いてもらう安全な道の歩き方、
1時間で5km歩ける、
20kmを越えると足が壊れる、
筋肉は冷えが大敵、
雨の日はスマホが使えない、
実は住宅地が一番不便、
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