オーストラリア留学中にネット中傷被害に合い、裁判を起こした話(5)
領事館への報告
2月27日(水)
ほとんど眠れないまま朝を迎えた。
なんとか学校へ行ったものの、授業が頭に入ってこない。
当然だが、授業は全て英語。日本語で授業を受ける時以上に集中する必要があるが、とにかく集中できない。英語が聞き取れないわけではないのに、先生が何を言っているのか理解できない・・・。
休み時間の間に、私は領事館へ電話をした。
なんと話して電話を取り次いでもらったのか覚えていないほど、勢いだけで強引にアポを取った。何日も待ってなんていられなかったので、その日の午後すぐに領事館の担当者と会うことになった。
午後も授業はあったが、休むことにした。前回のストーリーで書いたように、授業についていくことは簡単では無かったので、1回でも休むことは致命的だった。ただ、午前の授業を受けていて、こんな状態なら出席していても意味が無いと思ったのだ。授業を投げ出して、勢いだけで行動したことが正しかったのかは今でもわからない。
午前の授業が終わった後、お昼を早めに終えて私は市の中心部にある領事館へ向かった。
昨日、偽アカウントのスクリーンショットを取っていたので、それを見せながら状況を説明するつもりだった。
ところで、昨日の深夜、Deanaは私にメールをした後、別の友人にもメールを送っていた。
その友人とは、香港人のチェルシー(仮名)、Deanaがちょっかいを出してイライラさせていた香港人カップルの女性だ。Deanaは私や私の友人たちから絶縁された後、チェルシーとチェルシーの彼氏に近づこうとしていたのだ。
メールの内容は以下である。
私、どうしたらいいかわからない。Mamiがしたことを気にしないってどんなに思っても、気になってしまうの。すごーく傷ついてるの!
チェルシーはメールの相手をしていたものの、内心Deanaにあきれ果てており、私の為を思ってメールのスクリーンショットを送ってくれたのだと思う。Deanaは、まさかチェルシーに送ったメールが全て私に筒抜けだったとは思いも寄らなかっただろう。
(チェルシーとDeanaの実際のメールのやり取り。)
そして、このメールによって、Deanaが私に嫌がらせをした理由が明らかになった。
ベストフレンド・・・それは明らかにアイのことだ。
「ベストフレンドを奪った。」
Deanaが再びアイに接近しようとした時、アイは
と言った。
そう、つまりアイが自分に会ってくれないのは私のせいだと思い込んでいたのだ。
完全な逆恨みだ。
確かに、私はDeanaがアイのことを悪く言っているという事実を伝えたが、それ以上のことは何もしていない。
今後はDeanaとは関わらないとほうがいいかも・・・なんてことは一言も言っていない。
Deanaと決別すると決めたのは、アイ自身である。
なのになんで・・・なんで私が・・
領事館に着くと、個室に通された。まもなく、領事館の担当者が部屋に来た。
スクリーンショットを見せながら話した方が早いと思った私は、持って来ていたノートPCを開き、昨夜の出来事を偽アカウントの画像を見せながら説明した。
領事館の担当者は、メモを取りながら真摯に話を聞いてくれた。そして、私が説明を終えた後、何点か質問を受けた。
Deanaの本名、連絡先、どのように知り合ったのか…私が答えた内容を一つ一つメモしていた。
そして、領事館の担当者は次のように言った。
そして、今の段階では領事館としては何もできることが無いのが現状で、まずは私が自分で地元の警察署へ行く必要があると話した。
領事館の方の話では、過去に日本人が地元の警察に助けを求めた際になかなか動いてくれなかったことがあったそうで、もしこの件に関して警察が動いてくれないようであれば、対応するようプッシュすると言ってくれた。
メルボルン中心部には、Melbourne East(メルボルン東警察署)とMelbourne West (メルボルン西警察署)の2つの警察署がある。
優しい領事館スタッフの方との話を終えて、私は領事館を後にした。
まさか留学先で警察署へ行くことになるとは・・・
領事館の方が助言してくれた通り、この件を早く警察署へ報告すべきだとはわかっていた。しかし、情けないことに当時の私には一人で警察署へ出向き、何が起きたのか全て英語で説明する自信が無かったのだ。
物理的に危害を加えられたわけではなく、インターネット上での出来事。嫌がらせが起きるまでの経緯も複雑・・・上手く説明できないと、話を聞いてもらえないだろう。日本語で説明するとしても難しい内容を果たして自分の英語力でどこまで伝えられるのか、とても不安だった。
この後、夜からアイと会うことになっていた。
オーストラリアに長く暮らし、私とは比べ物にならないほど英語力が高いアイ。
アイならきっと助けてくれる、そう信じていた。
フードコートの涙
アイに会う時間まで、私はフードコートでFree wifiを使い、ネットにアクセスした。
私が領事館に行っている間から、私がDeanaと参加していたイベントの運営者と何人かの友人がFacebookのチャット機能を利用して、私の偽アカウントの件について話し合っていたらしく、私もそのチャットに加わるように頼まれたのだ。
私がDeanaをそのイベントに誘って以来、Deanaは常連メンバーになっていたので、おそらく他の参加者に被害が及ぶことを防ぎたかったのだろう。
私はイベントの運営者たちとはほとんど話したことは無かったが、友人が運営者たちと親しかったので、今回の嫌がらせの件が伝わっていたのだ。
チェルシーもこのチャットに参加していた。
私がチャットに加わると、皆次々と私に質問を投げかけた。(※以下、日本語訳にすると不自然な場合はあえて英語のままにして、後ろに日本語訳を入れてます。)
あー。別に私のことを心配して集まってくれた訳じゃないのか…友達だと思ってたんだけどな…モヤモヤしたが、とりあえず続けることにした。
私はDeanaと連絡を絶つまでにどれだけDeanaからメールがあったか、何をDeanaが話していたのか、そしてLINE上で口論になった結果、私から連絡を絶ったと話した。そして、口論の際にDeanaが私のことを
You're typical Japanese. I don't understand Asian people.
(あんたは典型的日本人だ。アジア人なんて理解できない。)
と罵ったことも伝えた。
この会話の間、チェルシー以外にチャット参加者は一言も発言しなかった。今思えば、チェルシーだけは本当に私のことを心配し、何かできることは無いか探っていてくれたのだと思う。
ただ、前日からのショックで疲れ切っていた私にはそれ以上会話を続けるには限界だった。
(疲れて切っているので、これ以上英語で書き続けられません。ちょっと日本語で整理させてください・・・英訳したらまた報告するので。これからアイと会う予定で、今回の件について話をします。)
チャットに参加しているメンバーの中には日本語が堪能な人もいたので、私は日本語混じりの英語で振り絞るように伝えた。精神的に疲れていた自分にとって、これ以上英語で状況を説明するのは不可能だった。
しかし、私の懇願は聞いてもらえなかった。
それまで黙っていたメンバーが発言を始めたのだ。
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