③マグロ詐欺を繰り返していた詐欺師集団と戦った話

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フィリピン国内で外国人が船を持つことは出来ず、法人登録も60%はフィリピン人が株を持たないといけません。



今回、事件の発端となった船もフィリピン人所有となっていました。今回その船の所有者が菊池さんを「海賊行為」で訴えました。


当初、逮捕状でも出して嫌がらせをするのかなと思っていましたが、完全に身柄拘束、起訴まであっという間に踏み切りました。




これは相当大きな力が後ろにひかえているに違いない・・





当初の甘い考えをすべて改めざるを得ませんでした。




さすがに会長も私の忠告を聞かず菊池さんをマニラに置いてきた事を悔やんでいました。




「ナベさん、もう船もあきらめた。会社ももう駄目だろう。」



「あきらめる。」



「私は明日にでもマニラに飛んで菊池を助けに行くつもりだ」



「会長がマニラに行っても奴らの餌食になるだけです。今はとにかく時間との勝負です。とりあえず一刻も早く菊池さんの安全を確保しましょう。このままフィリピンの囚人と一緒に刑務所に入れられてしまったら菊池さんがかわいそうだ」



フィリピンの留置場はコンクリートむきだしの四角い箱で水はけが悪く常に床が濡れています。


そこに殺人犯や麻薬中毒者などが裸足で収監されます。もとエリート銀行員がそんな連中と一緒にフィリピンの留置場に入れられたら普通の精神状態ではすみません。


すぐにMBIの署長に電話をかけました。


「署長、捜査権を主張してMBIで菊池さんを逮捕するように手配してください」




今回、船を差し押さえたのはNBIが主導です。NBIに捜査権があることを主張し、まずはNBIで菊池さんを逮捕拘留してもらうようにNBIに動いてもらいました。




このまま菊池さんをみすみす州警察に引き渡してしまったらNBIのメンツが潰れるのでこの要望は通るだろうと確信していました。





NBI署長

「よし、わかった!今回は書類もすべてそろっているので船を差し押さえたこちら側に正当性がある。州警察の署長と話しミスターキクチをこちらで収監しよう」


「大丈夫!私の応接室があるからそこを臨時の留置場としてミスターキクチには使ってもらうよ。きれいなベットも用意させよう」




空がしらみ始める頃、やっと菊池さんと話をする事が出来ました。薄暗い鉄格子の付いた牢屋に半日間押し込められていたそうです。



「私が皆さんの忠告を聞かず突っ走ったおかげで皆さんに多大なる迷惑をかける事になりました。申し訳ございません。」


恐怖半分悔しさ半分といったところでしょうか?たまに鼻をすする音が聞こえるのはそんな菊池さんの気持ちを代弁していての事でした。




「菊池さん、とにかく今日は何も考えずにゆっくり休んでください。大丈夫!必ず助けます。」




といったものの、私に特別なアイデアがあるわけではありません。




ましてや自分の仕事とは全く関係ない他人の会社の事件なので私としてはどこまで介入していいか分りませんでした。




この件は会長を通じ朝には社長の耳にも入っていました。



出勤早々、私は社長室に呼ばれました。




社長

「昨日はご苦労さん。会長から話は聞いたよ。大変だったね」





「今回ばかりは会長も懲りた様子でした。しかし何をするにも時間が無さすぎます。」




社長

「会長もあきらめるといっていた。せめて菊池さんだけ助けてもらえないか?と聞かれたけど何とかなりそうか?」





「わかりません。裁判はなるべく短期間で終わらせるように弁護士とも話をしておきます。ただ・・」





社長
「ただ?」





「私も証人として呼ばれるでしょうから、一度マニラに行かなくてはなりません」



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