②マグロ詐欺を繰り返していた詐欺師集団と戦った話

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前編: ①マグロ詐欺を繰り返していた詐欺師集団と戦った話
後編: ③マグロ詐欺を繰り返していた詐欺師集団と戦った話

私たちが宿泊を決めたホテルのラウンジですでにバトルは始まりました。





「会長、ところで俺の生活費はどうなってるんだ?ちっとも振り込まれていないじゃないか」

船頭が座るなり悪びれる事も無く切り出し始めました。



「まあまあ、船頭さん今日はお客さんも来てるんだしその話は後でもいいじゃないか」

日本で水産水産貿易を経営している社長が続きました。東京の事務所で水産の貿易をしているようですが会社名や何を主貿易としているか知る由もありません。

歌舞伎の古い女形をしているような印象を持つ社長。


どことなくキャシャで「〇〇じゃないか~」と古い江戸弁を使う仕草はまさに歌舞伎の女型。

それから私はこの社長を心の中で「女形社長」と呼ぶようになりました。




「そうだよ、船頭さん。こっちだってまだ立て替えているお金を精算されていなので困ってるけど、みんなで頑張ってやって行こうと決めただろ」


フィリピン在住の日本人。フィリピンに渡り30年、マグロやフィリピンで獲れる水産物を日本に輸出しているそうです。彼の自宅兼工場には水産加工工場もあり、大きな冷凍庫も完備しています。


太った大きなおなかにぶつぶつの顔、唇が分厚く横に大きく広がっているささまは、まさにガマガエルの様相。


これこそ、ガマの中のガマ!言い換えるならザ・ガマといっても過言ではない。


「うん!こいつはガマ社長に決定!」


と私の中で一番のはまりあだ名だと自己満足に陥ってしまいました。


会議中ガマ社長が発言するたび、「何言ってんだか、ガマ社長が」と笑をこらえるのに必死になっていました。


ガマ社長と女形は古くからのビジネスパートナーらしくしきりに「昔は良かったな~」と昔話に花が咲きます。


今回の話もガマ社長が発案。パートナーの女形が会長にマグロビジネスの話を持ってきたそうです。


会長には悪いですが、まぁ、よくこの連中を信用してこの話に乗ったなとの第一印象でした。

菊池さんもさすが元銀行の融資担当だったらしくその雰囲気には気が付いていました。



自己紹介を済ませまずは食事となりましたがお酒が入るに付き彼らのじょう舌さは一層迫力を増しました。


「俺は他の船から年収2500万円くれるって引き合いが決まってたんだ、それが女形の社長が来てくれってもんだから無理やり来たんだ。それにしても年収1500万円の給料なんか割が合わねぇ」



確かに、一昔前のマグロ船の漁労長はマグロの群れを見分ける良し悪しが左右され、腕利きの漁労長などはひと航海で家が建つと云われるくらい引き合いが強い方もいらっしゃいました。


しかしそれははるか前の話。



しかもそんな腕利きの漁労長ならフィリピンで獲れるマグロの漁など金額にすれば大したことがない事くらいわかりそうなものです。


支度金300万円は先払い。


それとは別に会長から毎月120万円の生活費が渡されていたと言います。




「俺がひと航海したらそんな金なんざ安いと云わせてやるぜ」

とにかく飲むに付けお金の話をよくする男だとの印象を受けました。



翌朝、ガマ社長の事務所にて正式な会議を持ちました。


これ以上の追加資金は銀行からの融資を受けなければ無理です。


元銀行員の菊池が動いてくれているのでビジネスの全容が分れば銀行もあと3億融資は可能だと言っている。

今日は水産商社の人間も連れてきた。フィリピンで獲れるマグロに非常に興味を示し、是非獲れたマグロを買い付けたいとおっしゃっている。


そのためにはビジネスとしての業務提携の契約書と今までかかった費用の内訳を書き出し、

「受託・受領」のサインを欲しい。と切り出しました。



元銀行員の菊池さんがうまく説明してくれた事と「借用書」と書かず「計算書」とタイトルがある受託のサインはことのほか簡単に取ることが出来ました。


しかし、女形の社長が


「ちょっとまっておくれ、この契約書はおかしいよ」


と全量獲れたものを買い付けるという文言にクレームを付けた。

しかし完全に「三億」の金額に目がいっている二人にとっては女形の社長の言い分などどうでもいいことでした。

「それでは全量とう文言を外しましょう、それならいいでしょ」とガマ社長が急き立てます。


これ以上会議が長引けばガマ社長が不利になると思ったのでしょう。「そうかい?それなら」と、全量を外した契約書を作り直し無事にサインをもらう事に漕ぎ付きました。



「契約も終わった事だし船でも見ていこうか、ナベチャン」

一仕事終わった感あった会長でありました。




ガマ社長の自宅から車で2分に港がありました。




「どうです、この船、立派でしょ」

とガマ社長が胸を張ります。




「えっ、どれですか?」




ガマ社長

「どれって、これです」





「これってどれですか?」






「だから、これです!」

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