高木教育センターのありふれた日々(11)

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「ならば、その感覚器官を削除すればいいのではないですか」

「そうなのですが・・・」

「司令官、やはり地球人は銀河にとって有害無益だと思われます」

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 私の母は若い頃に離婚したために、私が医学部に行きたいと言ったら黙って親戚にお金を借りたり、生命保険を解約したり、お金を用意するのに本当に苦労をかけてしまいました。

 だから、私は母の期待に応えるためにも絶対に「合格」するしかなかった。アホな男子の相手をしている余裕などあるはずもなく、クラブや生徒会活動をする余裕もなかった。

  高校時代はひたすら勉強。それ以外は考えられなかった。クラスメートが自分をどう見ているかなど、どうでもよかった。入試での合格。それ以外は、本当にどうでもよかったんです。貧乏生活から脱出する。

  また、貧乏生活にもどりそうな男子とつきあえるわけがない。母を楽にしてやりたいんです。

 

第百九章

「Love is blind.  ラブ イズ ブラインド」

n回目にAである確率をa(n),Bである確率をb(n),Cである確率をc(n)とすると
a(n+1)=(1/3)a(n)+(1/9)b(n)…(1)
b(n+1)=(2/3)a(n)+(4/9)b(n)+(1/3)c(n)
=(2/3)a(n)+(4/9)b(n)+(1/3)(1-a(n)-b(n))
b(n+1)=(1/3)a(n)+(1/9)b(n)+(1/3)…(2)
a(1)=1/3,b(1)=2/3,c(1)=0
(1)-(2)
よりa(n+1)-b(n+1)=1/3
よって
a(n+1)=(4/9)a(n)+1/27
これを解くとa(n)=(1/15)+(3/5)(4/9)^n

  このような高校レベルの数式を見たときに、頭がスッキリするのか、頭が痛くなるのか、ここで理系か文系か分かる。私は「教育学部」出身で、英語講師から仕事が始まったけれど数学ラブの人間だ。

  のめり込むほど好きだと、何も生み出さない人間関係のトラブルから目をそむけたくなる。時間とエネルギーの無駄に思えるからだ。

「Aくんが、Bさんを好きなんだって」

「Cの野郎が気にいらねぇ!」

 こんな話からは、何も生まれないように感じるのだ。好きだ、嫌いだと言っても5年も10年も続くことは稀だ。死ぬまで続いたとしても50年。何千年も続く、数式の普遍性や研究対象の宇宙や生物の進化に比べたら一瞬のうたかたのようなもの。

 したがって、「永遠の愛」といったテーマには興味を持てない。「永遠の友情」とか「絆」とか、定義も明らかでない概念は研究対象にならない。理系の人間はそう考える。ガリレオの湯川先生の姿勢をご存知でしょう?

  中学3年生には「理科」「社会」の指導もさせてもらっている。時には中学1年生で習う内容や、中学2年生で習う内容を全く知らない子もいる。詳しく聞くと、中学1年生や2年生の頃はクラブばかりやって遊んでいたそうだ。

  助け合いだ、チームワークだという人間関係を重視するように学校から、先生からプレッシャーをかけられる。理系の子は自分の判断で、

「そんなものは重要視するに値しない」

 と感じて数式や英語の勉強に没頭する。没頭すると、他のものが見えなくなる。私も数式ラブなので、そういう子の気持ちがよく分かる。さて、

3年後に、数式に没頭している生徒と人間関係重視でクラブばかりやっている人間のどちらの成績が上になるでしょうか。

  同じ才能なら、結果は明らかです。私は、そういう結末をイヤというほど見てきた。これは、受験指導をしている人なら誰でも知っている現実だ。なのに、口にすると攻撃される。

「勉強などより人間関係の方が大切に決まっているだろう!」

「成績が良くてもオタクじゃ困るだろうが」

 こんな誹謗中傷が乱れ飛ぶ。しかし、私の経験から分かっていることは理系女子の方が人間重視を叫ぶ方たちより、よほど冷静沈着で人格高潔の場合が多い。皆さんの経験ではいかがでしょう?

 学年で上位の5人を思い浮かべてください。その5名と、クラブばかりやって勉強を放置している5人を思い出してほしい。明らかに上位5名は人格が崩壊していますか?何千人もの受験生を指導してきた経験から、私は自信を持って言う。

「成績優秀な子の方が基本的生活習慣がしっかりして性格も円満な子が多い」

 私だけではなく、大多数の人が同じように考える。だから、就職の時に「学歴」が重視される。結婚の時に、女性も「学歴」を気にする。人生の重要な決断の時には、人間は本音が出るものだ。

  その第一歩は、中学生の時に始まる。高校受験があるからだ。中学生に

「クラブと勉強の両立が人生の大事だ。この社会は助け合いだ」

  と教えることの罪深さを分かってみえるだろうか。大多数の企業はそんな基準で学生を採用しない。大多数の女性はそんな基準で結婚相手を決めない。絵空事を教えて社会に放り出していいのだろうか。

  本気で生徒の将来のことを考えるのなら、きちんと現実を教えるべきだ。そして、準備をする時間を与えるべきだ。ウソを教えられてジャングルに放り出されたら生き残れない。

  別に数式でなくてもいい。どの分野でもいいのでプロにならなければならない。サッカーや野球ができれば生きていけるようなウソを教えるべきではない。そんなことを評価する大人はほとんどいない。

  アメリカにはクラブ活動などない。なくても、人格円満でいられる。健康でいられる。生き残るために必要だから、私は英検1級に合格し、京大を7回受けて成績開示をした。現実に京大の英語で8割、数学で7割とれることを実証しなければならなかった。そういう腕力が一番大切なのだ。

  具体的に言えば、英単語6000語。数学は2000題解かないと難関大の合格など無理。遊びながら、クラブをやりながら実行できる子は何万人に1人。できないなら、クラブも諦めるのは当たり前だ。

  それだけの覚悟がないのに、難関大に合格しようなんてあつかましい。

  もちろん、それは旧帝(東大、京大、阪大、名大、東北大、北大、九大)か国立大「医学部」をめざす子の話。医者、弁護士、研究職、教職に就く気がないのなら、サッカーでも、野球でもやっていればいい。

第百十章

高学歴男子に"頭が弱そう"と思われる禁句ワード」

9でもたびたび話題の高学歴男子。博識で律儀なイメージのある高学歴男子ですが、女子とは会話が噛み合わないこともしばしば……。

そんな高学歴男子の前で、うっかり口にしてしまうとバカにされがちなワードをまとめました。

科学的じゃないこと

© ローリエ 提供

秋は行楽デートの季節。心地いい自然の中にいると、つい口をついて出てしまうのが、「マイナスイオン」というワードなのではないでしょうか……。科学と論理に基づいて生きてきた高学歴男子にとって、そんな感覚的な発言は聞き捨てならないもの!?

  理系男子は仕事が安定していて、結婚相手として好まれるそうだ。しかし、理系女子を「変」と感じるような頭の悪い女子では、理系男子の方から

「お断り」

 だろう。私は文系出身の英語講師で、数学は余技だ。それでも、AKBのような女子はお断りだ(まぁ、向こうもそうだろうが)。感情的、感覚的に生きている女子といると苦痛だから、なるべく避ける。時間とエネルギーの無駄使いだからだ。

  学校の先生は

「何でもやり過ぎは良くない。バランスが大切」

 と言う人が多い。おそらく、徹底的に何かを追求したことがない。一流とか達人の域に達したことがない。だから、そんな発言がとびだす。一流の人は、凡人のものさしで測ったら思いっきり「歪んでいる」ものなのだ。

  「相棒」の杉下右京や、「ガリレオ」の湯川先生を思い出してほしい。「アタル」は病気と診断されてしまう。しかし、病気というのは「大多数の凡人を正常とした場合」という前提での話だ。

  私は格闘技オタクだ。もう40年も練習を続けている。ジャッキー・チェンと一緒に「TVジョッキー」に出演したのが自慢だ。格闘技の試合では、

「殴ったりしたら可愛そう」

 という通常の価値観は無用だ。しょせん、争いから派生した技術。野蛮なくらいで、ちょうどいい。戦争状態に置かれたら、平和なときの優しさなど無能で頼りないこと極まりない。

  状況が変われば価値観も変わるのだ。

  受験指導という戦いの場に身を置く私にしてみれば、

「クラブと勉強の両立」やら「助けあいと絆」やら「愛と友情」

  なんて、何の役にも立たない空虚なスローガンだ。受験に友情は要らない。就職試験に助け合いは無用。商売とスポーツは何の関係もない。評価されない。シロ・クロはっきりさせるのが理系思考というものだ。

 (1)

「日本語は難しいです。私は日本に着いて一週間目に友達に言われました」

「あぁ、先週着いたのね」

「センシューって、イッシュウカンマエと同じですか?」

「え?うぅん、まぁ、だいたいね」

「分かりました」

「じゃ、私はセンシュウカンマエに日本に来たとも言えるわけですね?」

(2)

「あれ?今日は涼子ちゃんがいませんね」

「あぁ、彼女は旅行に行った」

「そうなんですか。リョコウさんはリョウコに行ったのですね」

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